明るいときに見えないものが暗闇では見える。

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【風立ちぬ(2013)】

2014年11月19日 | 映画





世界の宮崎駿、最後の監督作。
一年越しでやっとこさ鑑賞です。

零戦を創った男、堀越二郎の半生を描いた作品。

昨年のロードショー上映時には、本作について『戦争賛美だ』、みたいなよくあるイザコザがネット上を賑わせていました。それで個人的にも少し色メガネを持ってしまい今日まで鑑賞せずに来てしまったのですが、観終わってからそれを深く後悔しました。

これは間違いなく宮崎駿監督の集大成。いや、集大成というか宮崎駿監督が本当に創りたかったものの一つの到達点だろうと。


世界を焼き尽くす巨人や猫のバスとかは出てきません。もちろん空を飛ぶと言っても、魔法の石を巡る冒険活劇でもありませんので、お話は地味です。

創作の部分もありながらも伝記ものですので、これまでのジブリとは趣きが違います。大人向けの実写の邦画があのジブリ絵で描かれているといった風情です。


ボクはジブリで一番好きなのは『紅の豚』なんです。どこが好きかって飛行機へのこだわりとエンジニアや職人への愛あふれるところ。

宮崎監督が航空機(特に飛行艇)が大好きなのは有名な話ですが、本作は好きなだけ、そしてこだわって、その好きなものがトコトン描かれていました。

ピストンの動きや漏れ散る油などの緻密なエンジンの描写。ドイツの飛行機を称えるその論評の妙。そしてなにより飛行機を愛するエンジニアたちの清清しさ。

舞い散る雪や風景には3GCGを使いながらも、愛すべき飛行機たちは手書きにこだわる。

そんな一つ一つが、もう楽しくてしょうがないといった様子です。


カントクくん(庵野秀明)の声優初挑戦もよかった。抑えたトーンの中に秘めた強い意思と情熱。本人の素が、二郎のキャラとよくマッチしていたと思います。


恋愛映画としてもステキでした。感想は割愛w


戦争云々といったところは全く関係ありませんでした。関東大震災から戦争へと突き進む激動の時代を背景にはしていながらも、「古き良き時代の気持ちのよい人々が精いっぱい情熱と愛情をもって生きる」、その姿を描くことの楽しさ嬉しさに溢れた傑作でした。



ところでまだ観ていないのですが、もはや“右派の急先鋒”とも見える百田尚紀氏の『永遠のゼロ』ですが、その立ち位置の違いを『風立ちぬ』と比較して観て見るのも面白いかと思いました。借りてこよ。





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