今年の夏のトムさま映画です。昨年の『オブリビオン』に続いてSFトムさまです。好み系です。
日本のラノベが原作とのことで、ものすごく日本っぽいと思いました。ていうかこれ完全にTVゲームです。
しかも今どきのTVゲームじゃなくてファミコンの超ムズゲーとか鬼畜ゲーとか言われる部類のもの。「ロックマン」とか「スペランカー」とか「魔界村」とかそのへん。1ドットの動きでも失敗したらすぐリセットボタンを押す。ヒットポイントが残っていようが、すごく苦労してそこまで辿り着いていようが、リセットして何度も何度もボス攻略を目指しプレイを繰り返す、まさにその再現です。
原作の桜坂さんの年齢を確認しますとほぼ同じ年。この人も小学生の時にボクと同じ時間を共有していたのだなぁと得心しました。
お話というか基本設定は時間ループものなので正直ありがち系です。SFなら『ミッション8ミニッツ』、コメディでも『恋はデジャ・ブ』が近いでしょうか。その上、なぜタイムループしてしまうのか、という設定「アルファだオメガだ」は、なるほど新たに捻り出した感に関心はしましたが、いまいちわかり易さと納得感に欠けます。
しかしここで考えこんではいけない、この作品の見どころは絶対その原理の妙ではなく、この“TVゲーム感覚”なのだと言い聞かせて、頭が鑑賞中に考えこむのを封じ込め、ぐるぐるループとトムさまの成長を楽しむことに集中。結果、すごく面白かったです。人が死ぬ・殺されるたびに笑える映画って珍しいです。そこ狙ったんでしょう。大成功です。
成長と言えば、トムさま含め役者さんがものすごく撮影大変だっただろうと思います。セットやスケジュールの都合上、時間軸を追って撮影できるはずもありませんが、その中で僅かずつ成長していく姿を演じるのです。怯えた目でうつむくヘタレなトムさまからスーパー戦士のトムさままで、これって何回目のループでどれぐらいの戦闘理解度なのか、彼女とは何度目の出会いなのか、どこまで一緒に命運を共にしたのか、すべてを加味してその場その場で演技をしていく。。。ラストシーンで彼女を観る眼差しに、役者としてのトムさまの巧みさを感じました。
まさに「自分を変えれば、世界が変わる」。
それをエンタテイメントSFとして見事に体現した傑作です。
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