明るいときに見えないものが暗闇では見える。

映画を消費モノにさせないための咀嚼用ブログ。自己満足風。
それと苦手な文章の練習用。

【カウボーイ&エイリアン(2011)】

2011年10月29日 | 映画



今年は異星人襲来映画が多数作られており個人的には嬉しい限りなのですが、ストーリーの良し悪しは別にして、すべての映画において大事な事がひとつ欠落してしまっています。

それはエイリアンに魅力や個性がないこと。

って、これmixiでマイミクさんが言ってたことの受け売り。でも激しく同意。

今年はたいして映画見れてないのだけど『スーパー8』『スカイラン』『ロサンゼルス決戦』と、どれもこれも個性なし。どんな異星人だったかは既にもう記憶ノ彼方。

『エイリアン』の恐ろしさに震え『プレデター』の精神性に萌えたボクらには、異星人映画だよーって観に行ったのに、「なんだよ、お前」みたいな無個性なエイリアンばっかり出てくる最近の作品たちはちょっと寂しいのです。いつからか爬虫類型やグレイの亜種みたいなのが主流になってしまい、「このエイリアンだけでスピンアウト映画作りてぇ」みたいなステキな造形や個性のエイリアンってのはもう観られなくなりましたね。

まあ作り手にもその気はないのでしょう。

『スーパー8』のところでも書いたのだけど、かの作品ではジュブナイルが描ければよく宇宙人はただの記号でしかなかった。『ロサンゼルス決戦』では軍隊映画である以上、ナチスドイツのような"エイリアン軍"と戦いアメリカ軍が勝利することが目的であり、逆に没個性が目的だったかも。『スカイライン』は最後がんばったのだけど、本当にちょっとだけ。続編あれば個性のあるものが観られるか。

で『カウボーイ&エイリアン』は、"真正面から西部劇"を作ることが目的だったみたい。これも宇宙人は過去の西部劇の原住民(インディアン)を模しているだけだったよね。

確かに西部劇の中でエイリアンと戦うカウボーイ達の画は、いままでに観たことのない体験でありキワモノ映画として貴重ではある。ただただやはり、あんな無個性なエイリアンと知能の低い肉弾戦などせず、プレデターのようなお互いリスペクトするような関係性の中、荒野のガンマンして欲しかったなぁ。。。

ストーリーも没個性な感じ。ハリソン・フォードまで没個性。
題名から想像できるようなハジけた映画ではなかったです。

もちろん嫌いじゃあないけどねw


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【ラスト・エクソシズム(2010)】

2011年10月26日 | 映画




ここのところ悪魔祓いの映画を連チャンで観ていますが、それぞれにオリジナル『エクソシスト』にはない新たな試みが施されており、なかなか楽しめるモノとなっていました。

『ザ・ライト(2011)』では神への信仰を持ちたいが持てきれない神父予備学生目線の話であり、『エクソシズム(2010)』では神父自体が実はすべての黒幕であった(その上さらにもう一捻りあり)という話で、どちらもカラス神父のような純真に悪魔に対峙する聖職者像からその立ち位置をズラすことで、話に新たな側面を与えている点がポイントとなっています。

さて今回の『ラスト・エクソシズム(2011)』もそれに同じで、神父の立ち位置に工夫があります。っていうか今度はカソリックの神父でさえない。長きに渡り悪魔祓いを行なってきた牧師自身がエクソシズム自体がインチキであることを証明するドキュメンタリーを作成するというのが基本プロット。

このマーカス牧師のキャラクターが面白く、若くカリスマ性もあり基本は大変良い人。この人も神への信仰が途中でなくなってしまった人なのだけど、皆が救いを求めているなら与えてあげれば良いし、悪魔祓いもそれを必要としている人がいて救われるのであればやってあげればいい、という非常に現代的でクールな考えという味付け。ただしカソリックの神父が行った悪魔祓いで子どもが亡くなったという記事をみて、考えを改めてドキュメンタリーに出ようというのが事の発端になります。

そっからマーカスは大変な事に巻き込まれていくのですが、手に負えないと思うやすぐに切り替えて医者や警察に頼ろうとする点も、現代的ですごく面白いです。

子どもを在宅教育にしているキリスト教原理主義の家庭が話の中心になるので、その時点でそこの親父さんが狂信的ワルモノに仕立て上げられていくのですが、最後はすっかりひっくり返したところは大変見事な仕上がり。実は娘を守りたい一心の良い父親だったのです。

とはいえオチはよくある系でちょっと安易だなぁと思ってしまった時点で一度グッとツマラナイ方へと評価が振れそうになってしまったのですが、あとあと噛み締めてみるとじわじわとオモシロ作品へと変貌してきました。そもそも最初に「キリスト教と土着宗教が混じり合う土地」と言ってたり、マーカスのインチキを見ぬいた時点で兄の方が安心していたりと、実はあちこち伏線が引いてあったり小ネタが散りばめてあったりと丁寧な作りだったことに気が付きます。

また最後のシーンでさえも本当の悪魔が訪れたのではなく、あの儀式事態がマーカスの悪魔祓いに同じフェイクだったのではないかとか考えだすと、どんどん話に膨らみが出てきます。それでも謎はたくさん残っていますので、消化不良な方々もいらっしゃるのではないかと思いますが、フェイクドキュメンタリーなので一部始終を收めたフィルムから垣間見えた現実/非現実のハザマと思えばちょうどよいさじ加減だった気もします。


実際のところイーライ・ロス制作とのことで、エゲツナイものを期待して観に行ったのですが、『ホステル』系のキツさはなく、良い意味での彼らしさが出ていてなかなかの好作だったと思います。

まだまだエクソシスト映画には伸びる可能性があるなぁと思わせる一本でした。
あ、冒頭の画像はフェイクでそんなシーンはありましぇん。すっかり釣られました(T_T)


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