明るいときに見えないものが暗闇では見える。

映画を消費モノにさせないための咀嚼用ブログ。自己満足風。
それと苦手な文章の練習用。

【クラッシュ (2004)】

2010年07月27日 | 映画
■クラッシュ 予告編(Youtube)


自動車事故にエクスタシーを感じるという、かのデビット・クローネンバーグ御大のR-18変態趣向映画の方ではありません。そちらも味わい深い映画なんですがw、こちらは2005年アカデミー受賞した方。

"人"というものは良いところも悪いところもあり、それはまったく矛盾なく“人”を形成している。そんなどうしようもない“人”はそれでも愛すべき存在である。。。そんな感じの映画。人と人の衝突(crush)の連鎖により運命を翻弄される人々の姿を個性的で豪華な俳優陣で描いています。


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アカデミー作品にしてはあまり周囲に観たという話を聞かないなと思ってましたが、おはなしが強烈な人種差別問題をベースとしており、確かにコレは日本人は感情移入しにくくウケないかもしれないです。その上魂をゆさぶられるような興奮や感動はないしトーンも重め。しかし非常に地味な作品と言えますが、群像劇としてとてもよくできた本だと思います。人の醜さ、稚拙さに絶望させられる中で、心臓を突き刺すような一言や、奇跡のような美しい瞬間も描かれ、前半でのどうしようもない"人間への絶望"を見せるストーリーが最後は不思議な暖かさかさと希望に包まれます。『透明なマント』の話、泣けます。秀逸です。これだけで一本でもいい。

雰囲気は同じ群像劇として賞賛されているブラピの『バベル』に非常によく似ていますが、個人的にはこちらのほうが断然好みで、人間愛に溢れています。アカデミーでの受賞は作品賞はどうあれ、脚本賞は間違いなくこれでOKだったでしょう。(まあ同年の他作品を皆見ているわけではないですが)

また俳優達の演技合戦もため息ものです。マット・ディロンはもちろんだと思いますが、ディレクター役のテレンス・D・ハワード(アイアンマン2に出なさいっ!)。彼の後悔と葛藤の演技が"人とは"という本作の命題に対する答えを明確に示していると思います。大好きなドン・チードルもオモロイ役で出てますしお気に入りのウィリアム・ファクトナーや有名どころではブレンダン・ブレイザーも出ていたりとお得感があります。

難を言えば、エピソードは多すぎだと思います。誰が見ても一生懸命見てないと「なんだっけ」と置いていかれる可能性ありです。そんなつまらないところで観客に気を使わせるには惜しい作品。最近米国で人気再来のサンドラ・ブロックが出てますが、エピソード的にも演技的にもこの部分が必要ないかもしれない。本作の俳優陣ラインナップとしてはお金は一番とってそうですがw。



評価:★★★★☆


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『ドラッグストアカウボーイ』以来、マット・ディロンってどこに行っちゃったのかと思ったら、ここでめっさイイ演技してます。でもその後また見ないねぇ。。。


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