明るいときに見えないものが暗闇では見える。

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【TIME/タイム(2011)】

2012年09月22日 | 映画



かの名作『ガタカ』のアンドリュー・ニコル監督だからと大きく期待しすぎた可能性はあるが、それにしてもどうしてこうなっちゃったんでしょう。宝の持ちぐされってのはこういう作品のことを言うのでしょうか。余命=通貨となっているという非常に良くできた設定をここまで生かしきれなかったのは、ある意味珍作とも言える出来かも。

序盤は大変おもしろい。ニコル監督お得意の持つ者と持たざる者の話であり、富裕層が主人公に時間を譲り渡すシーンは、いかに人の生きる意味を掘り下げてくれるか作品の哲学性を強く意識させ、母を失うシーンにおいては1秒の重さがすべてを左右する緊迫の時間サスペンスへの期待をふくらませる。

ところが富裕層ゾーンに移動してからの失速加減はすごい。主人公の行き当たりばったりな行動から、全く感情移入できない金持ちのお嬢との逃走劇へと発展。そのままボニー&クライド化し気がつけばなんとなく義賊化しているという状態。なんというか志というか一本筋が通ってないというか、全体に間延びすぎ。余命=通貨の設定もべつに普通の通貨で構わない利用のされ方ばかりでもったいない。序盤でボクが期待したものは何も提示されず自己満足ぎみなハッピーエンドで終わる。

よくよく考えてみれば、要所要所には面白く仕上げようという心意気が感じられるがその意気込みがワンカットしか続かない感じ。もしかしたら脚本はよかったのを編集でハチャメチャにしてしまったのかも。世界観も『ガタカ』に非常に近く、面白くなれる要素が多かっただけに残念すぎです。


ボクの大事な109分を返してください。もっと有効に使いますw。


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