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高槻は乙女高原にたくさんの種類のスミレが生育していると聞いており、調査におくたびにそのことを確認していた。毎年春になるとスミレの観察会が行われ、その豊富さが報告されていた。高槻は同じ属の植物が豊富に共存することには何か理由があると思い、一言で「乙女高原のスミレ」といっても各種のスミレにとっての細かな環境には違いがあり、スミレのもつ生理生態学的な特性の違いによって多種の共存が可能になっているのではないかと考えた。実際、サクラスミレは草地に多く、ミヤマスミレは林に生え、ニョイスミレは湿った場所を好むなどのことは経験的に知っている。そうであれば、多くのスミレに関心を持つ人がいるのだから、調査としてデータをとることを提案した。
2022年の春に調べる内容を考えて記録用紙を作り、観察会などで記録をとり、6月16日までに171の情報が得られた。このうち14は「なし」という記録なので、実質157ということになる。これを標高と生育地について整理したので報告する。標高は900 m台から100 m刻みで集計した。生育地は湿地、草地、林縁、落葉樹林(落葉広葉樹とカラマツ)、常緑樹林(常緑針葉樹林)に分けた。これを種ごとに集計し、記録が5以上であったスミレを取り上げた。
結果
多くの種は標高1500 mから1700 mレベルで多かった(図1)。低地でもみられたのはニョイスミレとタチツボスミレであった。アカネスミレは1700 m台だけとなっているが、実際にはこれより低いところにも生育する。ニョイスミレとタチツボスミレが1100-1400 mの間で記録がないが、これも実際には生育することはわかっている。その意味で、この結果は調査した場所の標高に偏りがあることを反映しており、来シーズンは標高による調査頻度をそろえるようにしたい。
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図1. 乙女高原一帯でのスミレの標高100 m刻みでの分布。マンジュリカとは狭義の「スミレ」Viola mandshuricaのこと
生育地については次のような傾向があった。サクラスミレが草地で多い、アカネスミレ、マンジュリカ(狭義の「スミレ」Viola mandshurica)は草地だけ、エイザンスミレとミヤマスミレ、ヒナスミレは落葉広葉樹りんが多い、タチツボスミレは湿地以外は多くの生育地にある、ニョイスミレは湿地と草地で多い(図2)。
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図2. 乙女高原一帯でのスミレの生育地ごとの出現頻度。マンジュリカとは狭義の「スミレ」Viola mandshuricaのこと
結論
記録用紙はやや複雑で記録がしにくかったので改良したい。データの取り方として、乙女高原周辺に集中したため、低標高での実態を捉えることができなかったので、調査地の調査頻度をそろえるようにすべきである。生育地については種ごとの傾向がある程度把握できた。まとまった調査でなくても、野外でスミレを見かけたら報告するようなシステムを工夫し、情報の充実を図るようにしたい。
今後はこれらの点を反省し、今後の調査を改善したい。
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