高木陽介「奔馳不息(ほんちふそく)」

衆議院議員 高木陽介のブログ

衆議院解散とバンザイ

2009-07-28 23:34:48 | 活動徒然
 「日本国憲法第7条により、衆議院を解散する」
 紫のふくさから取り出された解散詔書を河野衆院議長が読み上げた。すると、「バンザーイ、バンザーイ、バンザーイ」とクビを切られた議場の衆院議員は一斉に万歳をしていた。
 国会というところは「不思議なこと」「おかしなこと」がよくある。毎度の光景だが、解散の時の万歳もその一つ。リストラされたのになぜ「万歳」をするのか。私は今回で4回目の衆院解散に立ち会ったが、一度も万歳をしたことがない。
 解散の「万歳」の理由はいくつかあるらしい。
 歴史を振り返ってみると、最初の万歳は1897年(明治30年)12月25日。「拍手起こり万歳と叫ぶ者あり」と当時の議事録に残されている。ちなみにこの時解散の詔勅を伝達した議長は、民主党・鳩山由紀夫代表の曽祖父の鳩山和夫議長だった。このことから天皇への敬意を表すための「万歳」だという説がある。
 次は「士気を鼓舞する」という説。解散によって全衆院議員が失職するが、これからの選挙戦に向けて、戦時中の出征兵の送別になぞらえて「万歳」をするということらしい。
 一方、「万歳」しないと落選するというジンクスがあるとも言われている。これは自分の体験からいえば過去3回のうち、一度落選。確率は3割か。
 現状をみると、多くの議員は「慣例だから」と、万歳していると思われる。だが、テレビの映像を見ながら「変なことをしているな」と思っている人も少なくないだろう。
 衆院の解散は「議員をクビにすること」のはずだ。もちろん、引退する人以外は次の総選挙は勝ち抜いてこようと決意はしている。だが、いずれの説をとっても「万歳」をする必然性を私は感じない。
 小さなことかもしれないが、国民が「なるほど」と実感できないことについて、「慣例」だからと「万歳」をしている〝前〟議員を国民はどう思っているだろう。
衆院選の投票日まで一ヶ月余り。今、政党・候補者に求められているのは、国民がおかしいと思うこと、また望んでいること、それらを敏感にとらえて政策実現することではないか。
 たかが「万歳」かもしれないが、小さな「不思議」「変なこと」から、国民とのズレが始まるのではないだろうか。