高木陽介「奔馳不息(ほんちふそく)」

衆議院議員 高木陽介のブログ

年金記録問題と政治家の誠意

2007-12-17 22:21:14 | 活動徒然
 「必ずしも適切な発言とは思わない」
 北側幹事長が厳しい表情で語った。先週の水曜日(12日)の定例記者会見でのこと。
 年金記録問題で、前日の町村官房長官の発言に対しての質問だった。
 社会保険庁の長年にわたる年金記録のズサンな管理。5000万件が該当者不明ということで、今夏の参院選の与党大敗の大きな要因となった。
 当時の安倍首相は、街頭演説で、「最後の一人にいたるまで記録をチェックして、年金を支払う」と絶叫した。ところが、その5000万件のうち、1975万件が行き先不明で、さらに945万件が氏名の転記ミスなどで、該当者の特定が困難とみられることが、社会保険庁の調査で明らかになった。
 野党は一斉に「公約違反だ」と批判。それに対し、舛添厚労相は記者会見で「他の方が大臣になっても結果は同じ」「『できないかもしれないけどやってみます』なんて言えませんよ」と、開き直りともとれる発言をした。
追いうちをかけるように町村官房長官が、「選挙中だから簡素化してモノを言った」と釈明。これらの発言にマスコミから厳しい批判が相次いだ。
 冒頭の北側会見は、とんでもないという思いが込められていたと思う。
 町村長官はその後、「私のつたない説明でご迷惑をおかけしている」と派閥の会合で陳謝している。だが一度発信されたものは、なかなか元には戻らない。
 これらの発言を聞いて、参院選前夜のような感じがしたのは私だけだろうか。年金記録問題で野党が批判を繰り返し、マスコミが大きく取り上げる。そして閣僚の不適切な発言。
 町村長官の「簡素化して」との発言には違和感を感じた。選挙だからこそ、有権者に分かりやすいように、ていねいに語らなければならないはずだ。
それよりも、今回の年金記録の調査結果で、国民は不安と怒りを増幅させている。まずは閣僚として、おわびの言葉からスタートするべきではなかったか。どうのこうのという説明をする前に、「誠心誠意取り組んできましたが、照合できない記録の存在が分かり、申し訳ありません」という姿勢が、にじみ出ていれば、少しは展開が変わったかもしれない。
 政治家にとって必要なものは説明能力以上に、誠意ではないだろうか。

必ずしも適切な発言とは思わない

2007-12-17 08:21:51 | 活動徒然
 「必ずしも適切な発言とは思わない」
 北側幹事長が厳しい表情で語った。先週の水曜日(12日)の定例記者会見でのこと。
 年金記録問題で、前日の町村官房長官の発言に対しての質問だった。
 社会保険庁の長年にわたる年金記録のズサンな管理。5000万件が該当者不明ということで、今夏の参院選の与党大敗の大きな要因となった。
 当時の安倍首相は、街頭演説で、「最後の一人にいたるまで記録をチェックして、年金を支払う」と絶叫した。ところが、その5000万件のうち、1975万件が行き先不明で、さらに945万件が氏名の転記ミスなどで、該当者の特定が困難とみられることが、社会保険庁の調査で明らかになった。
 野党は一斉に「公約違反だ」と批判。それに対し、舛添厚労相は記者会見で「他の方が大臣になっても結果は同じ」「『できないかもしれないけどやってみます』なんて言えませんよ」と、開き直りともとれる発言をした。
追いうちをかけるように町村官房長官が、「選挙中だから簡素化してモノを言った」と釈明。これらの発言にマスコミから厳しい批判が相次いだ。
 冒頭の北側会見は、とんでもないという思いが込められていたと思う。
 町村長官はその後、「私のつたない説明でご迷惑をおかけしている」と派閥の会合で陳謝している。だが一度発信されたものは、なかなか元には戻らない。
 これらの発言を聞いて、参院選前夜のような感じがしたのは私だけだろうか。年金記録問題で野党が批判を繰り返し、マスコミが大きく取り上げる。そして閣僚の不適切な発言。
 町村長官の「簡素化して」との発言には違和感を感じた。選挙だからこそ、有権者に分かりやすいように、ていねいに語らなければならないはずだ。
それよりも、今回の年金記録の調査結果で、国民は不安と怒りを増幅させている。まずは閣僚として、おわびの言葉からスタートするべきではなかったか。どうのこうのという説明をする前に、「誠心誠意取り組んできましたが、照合できない記録の存在が分かり、申し訳ありません」という姿勢が、にじみ出ていれば、少しは展開が変わったかもしれない。
 政治家にとって必要なものは説明能力以上に、誠意ではないだろうか。

証人喚問と政治サーカス

2007-12-03 21:22:46 | 活動徒然
 額賀財務相の証人喚問が中止となった。
 参院財政金融委員会。自民、公明の与党が欠席のまま、民主、共産の野党が賛成多数で額賀財務相の3日の証人喚問を決めていた。
 収賄容疑で逮捕された前防衛事務次官の守屋容疑者と「山田洋行」元専務・宮崎容疑者との宴席に同席したと指摘された額賀財務相。前回のコラムでも「額賀氏に説明責任あり」と書いた。
 その後、国会での野党の質問に答えてきた額賀財務相。自民党も写真などの証拠を添えて、額賀氏の〝アリバイ〟を公表してきた。また同席したとされるジム・アワー氏も額賀氏はいなかったと会見までした。
 しかし、民主党は与野党逆転した参院で、多数決で〝強行〟してきた。証人喚問は立法府に与えられた重要な国政調査権の一つだ。しかし、証人喚問は偽証罪に問われる可能性もある厳しいもの。だからこそ証人の人権にもかかわるこということで、これまで全会一致が原則だった。
 今回の喚問の議決が行われた後、各新聞の社説は一斉に批判を始めた。「国政調査権の名が泣く」(朝日)、「政治的泥仕合の道具にするな」(読売)、「まだまだ再考の余地あり」(産経)などなど…。
 多数決による喚問が行われるとすれば、少数党に対して恣意的に喚問を行ない、政治的なダメージを与えることも可能になってしまう。
 もちろん、疑惑が出た場合に、特に公人たる政治家の説明責任を果たさなければならないのは当然だ。だが今回の額賀財務相の喚問は、「もっぱら世論受けを狙った政治利用ではないのか、と言われても仕方あるまい」と、朝日社説が主張しているように、政治ショーになりかねない。
 喚問決定に賛成した共産党も、その後、会見で喚問に賛成したのは誤りだったとしている。マスコミだけでなく、連携していた野党内からも批判が出て、民主党は行き詰まってしまったようだ。
 衆参で「ねじれ」が生じた国会。互いに主張しあうことは大事だが、一定のルールに基づいて進めていくことが求められている。
 国会に与えられた権限は、国民のために使うのであって、自らの党のパフォーマンスのためには存在しない。

額賀財務相の証人喚問が中止

2007-12-03 18:23:03 | 活動徒然
 額賀財務相の証人喚問が中止となった。
 参院財政金融委員会。自民、公明の与党が欠席のまま、民主、共産の野党が賛成多数で額賀財務相の3日の証人喚問を決めていた。
 収賄容疑で逮捕された前防衛事務次官の守屋容疑者と「山田洋行」元専務・宮崎容疑者との宴席に同席したと指摘された額賀財務相。前回のコラムでも「額賀氏に説明責任あり」と書いた。
 その後、国会での野党の質問に答えてきた額賀財務相。自民党も写真などの証拠を添えて、額賀氏の〝アリバイ〟を公表してきた。また同席したとされるジム・アワー氏も額賀氏はいなかったと会見までした。
 しかし、民主党は与野党逆転した参院で、多数決で〝強行〟してきた。証人喚問は立法府に与えられた重要な国政調査権の一つだ。しかし、証人喚問は偽証罪に問われる可能性もある厳しいもの。だからこそ証人の人権にもかかわるこということで、これまで全会一致が原則だった。
 今回の喚問の議決が行われた後、各新聞の社説は一斉に批判を始めた。「国政調査権の名が泣く」(朝日)、「政治的泥仕合の道具にするな」(読売)、「まだまだ再考の余地あり」(産経)などなど…。
 多数決による喚問が行われるとすれば、少数党に対して恣意的に喚問を行ない、政治的なダメージを与えることも可能になってしまう。
 もちろん、疑惑が出た場合に、特に公人たる政治家の説明責任を果たさなければならないのは当然だ。だが今回の額賀財務相の喚問は、「もっぱら世論受けを狙った政治利用ではないのか、と言われても仕方あるまい」と、朝日社説が主張しているように、政治ショーになりかねない。
 喚問決定に賛成した共産党も、その後、会見で喚問に賛成したのは誤りだったとしている。マスコミだけでなく、連携していた野党内からも批判が出て、民主党は行き詰まってしまったようだ。
 衆参で「ねじれ」が生じた国会。互いに主張しあうことは大事だが、一定のルールに基づいて進めていくことが求められている。
 国会に与えられた権限は、国民のために使うのであって、自らの党のパフォーマンスのためには存在しない。