高木陽介「奔馳不息(ほんちふそく)」

衆議院議員 高木陽介のブログ

「低負担・低福祉」

2008-07-29 22:48:38 | 活動徒然
 来年度の予算編成に向けての概算要求基準が29日、閣議了解された。
 歳出の無制限な増大を抑制するために、各省庁の予算要求に毎年、上限を設けている。
 年末にかけて来年度予算案の編成になっていくが、原油高をはじめ、物価が高騰する中、どーんと、景気・経済対策をうちたいものだが…。
 しかし現実は「収入」があって「支出」がある。家計や企業会計と同様、国の財政もあたり前の話だ。
 「収入」は国民の税金。「支出」は国民が受けるサービス。でも「負担はあまりしたくない」というのも、「サービスはもっと受けたい」というのも多くの国民の本音ではないだろうか。
 「こんなに税金を負担している」と思っている人は多いと思う。約5000万人が納税している所得税は07年度で総額12・7兆円。そのうち給与収入1430万円以上の人が2・5%(124万人)で、39・4%(5兆円)を負担。一方、給与収入785万円以下の人は79・9%(3934万人)で23・8%(3兆円)の負担となっている。
 また、租税負担率と社会保障負担率を合わせた国民負担率をみてみると、04年の国際比較で、日本は37・0%。欧州先進国の英47・6%、独51・3%、仏61・0%と日本より高い。さらに福祉が充実しているスウェーデンは70・1%になっている。つまり、日本はヨーロッパの国々と比べ、負担は少ないことになる。
 「低負担・低福祉」「中負担・中福祉」「高負担・高福祉」。急激に進む少子高齢社会にあって、わが国の針路を明確にしなければならない。「低負担で高福祉」といった話はありえない。
 政治は「弱い立場の人」を守るためにあると思う。「普通の人」もしくは「強い人」へのサービスには限りがある。
 所得再分配は、持たざる人に対し、持っている人が負担するということ。国民全員が出した分だけ「サービスで返してくれ」となると成立しなくなる。
 誰かの負担を和らげれば、誰かの負担は増えること。「弱い立場」とはどこで線を引くのか。辛い選択だが、政治の責任でもある。

クライマーズ・ハイ

2008-07-15 23:50:53 | 活動徒然
 「『クライマーズ・ハイ』観に行きたいね」。妻がつぶやいた。
 「『クライマーズ・ハイ』って?」。
 その時は、不覚にもよく分からなかった。
 1985年の夏。群馬県御巣鷹山の日航機墜落事故。「クライマーズ・ハイ」は当時、群馬県の地元紙の記者だった横山秀夫氏の原作。記者たちの激動の姿を描いた映画が公開中だ。
 私もその年、毎日新聞に入社したての一年生記者。静岡支局で、いわゆるサツ回り(警察担当)をしていた。あの時の状況は23年たった今も忘れられない。
 終戦記念日を間近に控えた8月12日。県警本部の記者クラブから支局に戻ったのが夜7時半近くだった。ソファーでNHKのニュースを見ていた支局次長が「日航ジャンボ機が消えた」。私は「ナニ冗談言ってるんですか」と笑いながら次長を見ると、真剣な目つきをしている。
 羽田発大阪行の日航123便が静岡上空で消息を絶ったとテレビでは流し続けていた。
 「やばい、大変なことになった」と新米記者の私にも緊張が走った。先輩達も次々に支局に戻ってきて戦争状態。「伊豆上空で消えたらしい」「焼津で旋回しているのを見たらしいぞ」。本社との連絡の中で不確定な情報が交錯する。
 「レーダーには映ってませんか」。航空自衛隊浜松基地への電話取材で、私は受話器を持って叫んでいた。
 それから数時間後、「長野・群馬の方で落ちたらしい」との情報。東京本社はもちろん現地の前橋支局、埼玉の浦和支局から現場が分からないまま、記者が飛び出した。山を隔てた長野支局も記者が現地に向かったが、群馬側に墜落したため、現場に到着できずに引き上げたという。
 翌13日の昼には、生存者が自衛隊ヘリに引き上げられる映像を、県警の記者クラブで他社の記者と共に見つめ続けていた。支局の赴任地によっては、御巣鷹の道なき道を登ってたかもしれない。
 結婚した当初は新聞記者の妻だった。昔よく語っていた記者時代の出来事を、妻も忘れずに映画に誘ってくれたのかもしれない。
 今は記者を辞めて、政治の世界に身を置いている。だが、国民の安心・安全を守るということは、さらに重く肩にのしかかっている。
 航空機の安全だけではない。政治は国民の生命を守るのが最も重要な仕事だ。その事を改めて考えるきっかけに、「クライマーズ・ハイ」を観たいものだ。

クールアース・デーと天の川

2008-07-01 22:52:08 | 活動徒然
 「天の川」に隔てられた彦星と織姫。年に一度出会うという七夕(たなばた)が間もなくやってくる。
 しかし、都会では「天の川」どころか、その他の星々を見ることがなかなか難しい。今の都会っ子にとって、七夕伝説は“お話”の世界かもしれない。
 ところが、今年の7月7日は、その七夕伝説が「もしかすると・・・」という状況になりつつある。7日は北海道・洞爺湖サミットの初日。政府はこの日を「クールアース・デー」としてライトダウンキャンペーンを行っているからだ。
 先月9日、わが党の青年局代表が、サミット初日を「みんなで地球温暖化を考え、行動する日」にしようと、クールアース・デーの創設を福田首相に直接訴えた。青年局はこの春から、クールアース・デー創設を街頭や携帯電話を通じて署名活動を行ってきた。
 署名を受け取った福田首相は、「大変結構な提案」と反応。ここらへんの言い方は、まさにクール?な首相らしい言い方だが・・・・。その後、「すぐに採用させていただきたい」と電光石火の決断。その日の日本記者クラブでのスピーチで「国民の意識転換を促すものとして、クールアース・デーを設定したいと思ってます」。
 政府は、7日の午後8時~10時の間、全国のライトアップ施設や各家庭の灯りを一斉に消灯してもらおうと、ライトダウンを広く呼びかけている。
 東京でも国会議事堂をはじめレインボーブリッジ、六本木ヒルズ、東京タワーなどのライトダウンが実施される予定だ。これまで昼間のような都会の夜に星空は戻ってきそうだ。
 「温暖化防止」「CO2削減」という言葉がサミットが近づくにつれてマスコミに登場する機会が増えてきた。
 だが、一度体験してしまった利便性を変えるのは容易ではない。今、首都圏で走る電車で、クーラーのない車両はどれくらいあるだろう。私が中学の時は「冷房化率」という言葉があったくらいで、夏は扇風機しかない車両で、窓を全開というのが当たり前だった。
 そろそろ温暖化防止に向け、個々人のライフスタイルも転換をしなければならない時期に来ているかもしれない。
 七夕の夜は、ライトダウンされた街でそのことを考える日にしたいものだ。