高木陽介「奔馳不息(ほんちふそく)」

衆議院議員 高木陽介のブログ

「再仕分け」政治主導とほど遠く

2010-11-16 15:22:03 | 活動徒然
 「何をやってんだろう」という気分になる。

 政府の行政刷新会議は15日、事業仕分け第3弾の後半にあたる「再仕分け」をスタートさせた。

 政権交代後の昨年11月に行われた事業仕分け。

「2番じゃダメなんですか―」蓮舫行政刷新担当相の厳しい追及には若干の批判があったものの、税金のムダ遣いにメスが入ったことに多くの国民は拍 手喝采した。その後、独立行政法人を対象にした第2弾、特別会計を対象にした第3弾前半と民主党政権の目玉として実施されてきた。

 今回の「再仕分け」は、これまでの仕分けや各省の「行政事業レビュー」(省内 仕分け)で、「廃止」「見直し」などの 判定を受けたにもかかわらず、各省が11年度予算の概算要求で〝復活〟させている事業が対象。その数は11府省の112 事業。

 「再仕分け」を報ずるテレビのコメン テーターは「ゾンビのようだ」「官僚がしたたかだ」などと論評しているが、 ちょっと待てよと思う。

 昨年の事業仕分けは、自公政権が編成した予算に対する切り込みだった。それまで与党の一員だった私も、キメ細かな チェックを怠ったことを反省した。とこ ろ が、今回の仕分け対象となった事業の概 算要求は、今年8月末に菅内閣で行われたものだ。

 民主党は「自公政権は〝官僚主導〟」と 批判していた。本年度の予算は予算編成 までの時間も少なく、全面的な組み替え は無理だったかもしれない。しかし、来年度予算案の概算要求は、「政治主導」の名のもと、大臣、副大臣、政務官の政 務三役が、最終決定をしたものではないのか。

 「再仕分け」の事業の中には厚労省の 「医師確保、緊急・周産期対策補助金」「 女性と仕事総合支援事業」なども含まれ ている。これらの事業の概算要求をした 長妻昭前厚労相が、今回「仕分け人」として「再仕分け」に加わっている。冒頭の「何をやってるんだろう」という気分 になってしまう。

 仕分け人の間では、仕分け判定に法的権 限や強制力がないことが、〝ゾンビ〟の ような概算要求の復活になるとの声がある。しかし、各省では同じ民主党議員が 政務三役という〝絶対権力者〟なのだから、「政治主導」で決断するだけで済む はずだ。

 そういえば、「尖閣ビデオ流出事件」でも、官僚である海上保安庁長官の更迭を示唆しながら、政治家である国交相の進退には「政治職と執行職のトップは責任のあり方が違う」などと、〝逃げ〟の見 解を述べた官房長官もいる。「政治主 導」 と言いながら、政治責任を回避しようとするのが今の内閣の姿だ。仕分け劇場も 結局はパフォーマンスにすぎないと国民は感じ始めている。

政治家も国民から“指名”受ける仕事を

2010-11-04 12:53:25 | 活動徒然
 「今年は豊作」といわれたプロ野球のドラフト会議。12球団の最初の入札は全て大学生投手だった。

 “ハンカチ王子”こと早大・斎藤佑樹投手は4球団が1位指名。抽選の結果、日本ハムが交渉権を獲得した。同じ早大の大石達也投手は斎藤を上回る6球団が競合し、西武が当たりくじを引き当てた。

 中大・沢村拓一投手。栃木・佐野日大高時代は無名だったが、大学に入って最速157キロを投げるまでに。〝相思相愛〟の巨人が単独指名した。会見では涙も見せたが、「100点のドラフト」と喜びをかみしめていた。

 米国のプロ・フットボールで始まったドラフト制度。日本のプロ野球は1965年からスタートした。この年指名された選手をみると、巨人の堀内恒夫、太洋・平松政次、近鉄・鈴木啓示など200勝を達成した投手がズラリ。それから45年。数々のドラマが生まれた。

 1978年のドラフト会議は「空白の一日」で大騒動となった。巨人入りを希望する江川卓投手がドラフト会議前日に巨人と入団契約。交渉権を得た球団は翌年のドラフト会議の前々日まで交渉ができるとする野球協約を逆手にとった契約だった。巨人はその年のドラフト会議をボイコット。「空白の一日」事件は読売新聞の不買運動が起こるなど社会問題にまで発展した。当時、若者言葉でゴリ押しをすることを「エガワる」といったことを覚えている。巨人ファンだった私も巨人に対する熱がさめていった(その後、毎日新聞に入ってアンチ巨人になったが)。

 ドラフト1位指名の選手がすべて活躍しているわけではない。一方、下位で指名されながらも、プロに入って大成する選手もいる。米大リーグで活躍するイチローは1991年、オリックスの4位指名だった。

 即戦力を期待して指名する社会人・大学生。将来性に期待する高校生。各球団のスカウトをはじめ首脳は毎年この時期は頭を悩ましているに違いない。

 企業もどれだけ人材を確保できるかが重要な時代。政界も同様だ。国会にはドラフトはないが、国民に選択権がある。昨年の衆院選で158人の新人議員が誕生した。今年の参院選は55人が初当選だ。

 プロ野球の世界は結果がすべて。政界も国民が納得できる仕事をしなければ、次の選挙で国民から指名されず、はじき飛ばされてしまう。