高木陽介「奔馳不息(ほんちふそく)」

衆議院議員 高木陽介のブログ

与野党とも蹲踞の精神必要

2011-01-25 15:43:20 | 活動徒然
 大相撲1月場所は予想通り横綱・白鵬の18回目の優勝で幕を閉じた。

 昨年の11月場所。63連勝で稀勢の里に土をつけられ、今場所も同じ相手に敗れたとはいえ、大鵬にならぶ6連覇は見事なものだ。まさに「平成の大横綱」になりつつある。

 感心するのはモンゴル出身でありながら大相撲の歴史と伝統を学び、日本人より日本人らしい力士に見えることだ。しかも25歳でありながら、言動に風格さえ漂わせている。これが「横綱の品格」なのか。

 「品格」といえば先日出演したBSフジの「プライムニュース」でも話題になった。この番組は2時間生放送で、ゲストにじっくり話を聞くという構成。当日は「菅第2次改造内閣の国会に野党・公明党はどう臨むのか」というテーマだったが、私は民主党政権を厳しく批判していた。

 番組も終盤になったころ、コメンテーターの中野晃一・上智大准教授が話し始めた。

 「高木さんの菅政権に対する叱責は、大横綱のいた時代は良かったなという郷愁のように聞こえる。確かに横綱のように品格があっていつも勝つのが与党であり、最高責任者の首相であるのが望ましい。自公政権も自民党という随分弱くなった横綱を後ろで公明党が支え、何とか相撲に勝っていた所もあるのではないか」

 私も思わず「うーん、なるほど」とうなずく。

 さらに中野准教授は「今の政治状況ではしばらく横綱はでてこないのではないか。たとえ出たとしても、かなり上げ底横綱で、弱いし品格もない。その状況下で、どういったルールを作るかだ。現実にあの程度の首相しか出てこないということが、しばらく続くのではないか」

 「あの程度」とはなかなか厳しい言葉だが、菅首相に対し多くの国民も同様に感じているのではないか。賛否はあるかもしれないが、「三角大福中」といわれた1970年代から80年代にかけての首相は、それなりの風格があった。それは宰相になるためにさまざまな準備を重ね、自らを鍛えてきたからではないか。

 今の時代、品格のない横綱相手にぶつかる野党も、ただ批判だけ繰り返しても何も生まれないのは確かだ。

 相撲は古来、神事から始まったといわれる。土俵は神の下りる場所であり、力士の所作もそれぞれ意味がある。その中で立ち会いの前の蹲踞(そんきょ)は相手を敬う意味があるという。

 24日から通常国会がスタートした。相手の話を聞く。相手の話に答える。言論の府において、深みと品格ある論戦をするためにも、与野党ともに相手を敬う蹲踞の精神が求められている。

政治の貧困感じる『タイガーの贈り物』

2011-01-13 09:02:12 | 活動徒然
 年齢を重ねると物忘れが多くなるのだが、不思議に昔の事は鮮明に覚えている。特に小学生時代のTVアニメの主題歌など、51歳になった今も歌うことができる。

 読者の中にもカラオケでアニソン(アニメソング)を熱唱して、周りからひんしゅくを買っている人もいるのではないだろうか。

先月31日付の産経新聞のコラム「産経抄」がアニメ「タイガーマスク」のエンディングに流れていた「みなし児のバラード」について触れていた。

 ♪温かい人の情けに
 胸をうつ熱い涙も
 知らないで育った
 僕はみなし児さ♪

 私も歌えるが、「産経抄」の筆者も「40年前以上も前に聞いた歌なのに、今でも時々口ずさむ」と語っている。

「産経抄」で紹介されていたタイガーマスクのプレゼント。年末年始に心温まるニュースに出会った。

 まずクリスマスの先月25日、前橋市の群馬県中央児童相談所の玄関に、ランドセル10個が置かれていた。「子どもたちのために使ってください」と記されたカードが添えられており、差出人は「伊達直人」と書かれていた。

 私たちの世代には懐かしい名前だ。プロレスのアニメ「タイガーマスク」の主人公と同姓同名。アニメは孤児として育った伊達直人が悪役レスラー養成機関の「虎の穴」での訓練を経て、タイガーマスクとしてプロレスデビューする。自分を育ててくれた孤児院に寄付をしながら戦うタイガー。寄付をした人は、明らかに「タイガーマスク」のストーリーを意識していると思われる。

 年が明けて元日。今度は神奈川県の小田原児童相談所の玄関前にランドセル6個が置かれていた。ラッピングされた箱の一つに「お年玉です伊達直人」と紙が貼られていた。添えられた手紙には「群馬のランドセルの件、非常に感銘を受けました」「タイガーマスク運動が続くとよいですね」と書かれていた。

 それぞれの相談所では今春小学校に入学する管内の児童施設の子どもたちに使ってもらうという。

「タイガーの贈り物」は暗い世相の中で、人の心の優しさを感じさせるニュースだった。だが、政治に関わっている立場で考えると、それだけ、この贈り物は今の政治の〝貧困〟を表わしているのではないか。

 菅首相は「最小不幸社会」を目指すと言った。親と一緒に暮らせない、もしくは親のいない子どもたちが現実にいる。その子たちに今、政治が何をするのか。

 通常国会を前に「政治とカネ」をめぐって党内抗争をしたり、問責決議に絡んだ内閣改造でバタバタしている政府・民主党。

 国民の生活から離れた永田町に、多くの有権者は怒りを持ちはじめている。