高木陽介「奔馳不息(ほんちふそく)」

衆議院議員 高木陽介のブログ

増税の前に公費削減が筋

2011-12-20 13:13:28 | 活動徒然
 年末にかけて野田首相が消費税増税に前のめりになっている。

 野田政権は「社会保障と税の一体改革」と称して、来年3月末までに消費税増税の法案を出そうとしている。

 そのために、政府・民主党内では、年金・介護・医療などの社会保障の改革案とともに、消費税をいつから、どれくらい上げるのかという素案をまとめようと、七転八倒している。

 急速に進む少子高齢社会。年金・介護・医療などの社会保障は、セーフティーネットとして持続可能な制度にしなければならない。

 一方で、日本の財政は赤字が積み重なり、来年度の予算案の編成でも、三年連続で収入より借金の方が多くなりそうだ。

 各マスコミの世論調査でも、消費税増税について半数近くがイエスの回答となっている。

 多くの国民は少子高齢社会の中で、社会保障の拡充のためなら、消費税のアップもやむをえないと思っている。

 だが、政府与党の「社会保障と税の一体改革」の議論の報道が増すにつれ、増税について、国民の目は厳しくなっているような気がする。

 それは、国民に負担を求める前に、政治家や公務員が、自ら身を切ることを、やるかどうかを見ているからだ。

 国会議員の定数削減や公務員の人件費削減が進んでいない中、国民に負担増を受け入れてもらうのは無理筋だ。

 また、これまでの政府・民主党の社会保障改革の議論も、国民を納得させるものではない。

 民主党は09年衆院選のマニフェストで、年金について、国民・厚生・共済の各年金一元化と、すべての国民に最低保障年金として月額7万円を支給し、その財源を消費税とするとした。

 ところが、政権交代して既に2年。年金はいくら払って、いくら支給されるかということが根本。民主党はその骨格さえ示していない。

 苦し紛れに、年金抜本改革(民主党のいう一元化)の法案は再来年の通常国会に提出するといいはじめる始末。

 ちょっと待ってもらいたい。

 そうすると再来年になってはじめて、年金の財源がいくら必要になるかが分かるわけだ。

 では来年春の消費税法案の増税分の根拠はどうなるのか。

 また会社員の厚生年金と公務員の共済年金も、不公平感がある中、2つの年金の一元化も先送りにしてしまった。

 実は2009年に当時の自公政権が、厚生・共済の一元化法案を出した。

 ところが民主党は「全ての年金の一元化」を主張し廃案に。

 今回の先送りも含めて、民主党政権は公務員の優遇を続けさせてしまっている。

 消費税増税については、足元の民主党内からも反対署名を集める動きがある。

 国民や野党を納得させる前に、まず身内を理解させるのが先ではないか。

 だが、根拠のはっきりしない増税では、国民の理解を得ることはできない。

一川防衛相は即辞任が当然

2011-12-06 13:15:32 | 活動徒然
 沖縄が怒っている。いや沖縄ばかりではない。多くの国民があきれている。

 防衛省の田中・前沖縄防衛局長の発言をめぐって、一川防衛相さらには野田内閣の対応についてだ。

 那覇市内で行われた地元記者とのオフレコ懇談の席で飛び出した前局長の驚くべき発言。普天間飛行場の辺野古移設で政府が提出する環境影響評価書をいつ出すのかという話を「犯す前に『やらせろ』といわない」などと言った。

 オフレコでの発言を報道するべきかとの問題は残るものの、そこには沖縄に対する現政権の姿勢が表れているのではないか。前局長は更迭されたものの

 一川防衛相の責任については、曖昧のままだ。
 
 一川防衛相は就任直後の会見で「安全保障に関して素人」と発言。ブータン国王の晩さん会を欠席し、民主党議員のパーティーに出て、「こちらの方が大事」と話すなど、大臣としての資質が問われていた。前局長の更迭後、参議院の委員会で、1995年の米兵による少女暴行事件について質問を受けた一川防衛相は「詳細には知らない」。この答弁にもびっくりした。

 政権交代して2年。沖縄は民主党政権に翻弄され続けた。鳩山元首相が強弁した「最低でも県外」。辺野古移設を否定しながら、結局、辺野古に戻ってしまった。この普天間問題の大きなきっかけとなったのが95年の暴行事件。沖縄県民には大変なショックだったが、県外の多くの国民も衝撃を受けた事件だ。

 今、防衛省にとって最も重要な課題の一つが普天間問題だ。にもかかわらず、そのトップがきっかけとなった事件について「知らない」という。開いた口がふさがらない。

 沖縄県知事にお詫びに防衛相が行ったものの、わずか8分間の会談で終わってしまった。

 県会議長は涙ながらに抗議文を防衛相に手渡した。防衛相は知事や議長をはじめとする沖縄県民の気持ちをどうとらえたのだろう。

 5日に行われた衆院予算委員会の集中審議。野田首相は「適材適所」として防衛相を擁護してきたが、予算委では「これまで以上に襟を正し職責を果たしてほしい」と罷免要求を拒否した。当事者の防衛相も自らの辞任を否定した。

 会期末には防衛相の問責決議案が自民・公明から出される方向だ。いずれにしても将棋で言えば防衛相はもう詰んでいる状態。辞めるのが一日延びれば延びるほど、沖縄の怒りが増幅される。

 戦後66年の沖縄の人々の痛み苦しみを少しでも感じるならば、即辞任が当然だ。