高木陽介「奔馳不息(ほんちふそく)」

衆議院議員 高木陽介のブログ

今こそ政治は「民のかまど」を

2011-11-22 16:10:29 | 活動徒然
 明日、23日は勤労感謝の日。

 「国民の祝日に関する法律」によれば「勤労をたっとび、生産を祝い、国民がたがいに感謝しあう」日と規定している。

 1948年に施行された同法だが、戦前も新嘗祭として祝日だった。新嘗祭は、天皇がその年に収穫された新穀や新酒を天照大神をはじめとする神々に供えて感謝し、自らも食する儀式だった。

 歴史は古く、日本書紀には皇極天皇元年(642年)に新嘗祭の記述がある。日本は「瑞穂の国」といわれるように、天皇家にとって農業に関わる重要な行事だったが、戦後のGHQ政策で、天皇家と切り離す形で「勤労感謝の日」となった。

 だが、今でも宮中祭祀として天皇陛下が皇居・神嘉殿において新嘗祭をとり行なっている。今年は体調を崩され、新嘗祭への出席はされないという。

 さて、「勤労感謝」だが、今、経済は不安定な状態。経営者やサラリーマン諸氏にとっては「感謝したいが、その前に景気を何とかしてもらいたい」というのが本音ではないか。

 ギリシャから始まった欧州の経済危機をきっかけに、円高が進み、日本経済も青色吐息。先日も衆院予算委員会で取り上げたが、輸出関連の中小企業は利益どころではない。「今の政権は中小企業を助けてくれない」とは東京・大田区の中小企業社長の言葉だ。

 第16代の仁徳天皇は「民のかまど」で有名だ。難波高津宮から遠くを見た天皇が、「民のかまどより煙がたちのぼらないのは貧しくて炊くものがないのでは」と、3年間の税を免除した。3年後、高殿に立つと多くの煙が見え、天皇は「私も豊かになった」。宮殿は荒れたままと指摘する皇后に、「民が富んでいることが私が富んでいることだ」と答えたという。

 3・11以降、計画停電のエリアでもないのに、天皇陛下は御所の電気を「自主停電」された。「民のかまど」の精神は歴代天皇に受け継がれている。

 一方、政治家は、今の国の危機に際して何をしているか。野田首相は「民のかまど」が好きなようだ。2008年1月に自らのブログ「かわら版」に「民のかまど」を引用。財務副大臣時代の昨年2月、財務省の広報誌の巻頭言では「民のかまどを最優先課題とする日本古来の政治を実現するため力を結集していかなければならない」と述べた。

 しかし、今の政権は仁徳天皇の減税とは逆の消費税増税に前のめりだ。「勤労感謝の日」を前に国民が働けることに感謝できる政治が今こそ求められている。


日本を公務員天国ギリシャにするな

2011-11-08 12:23:55 | 活動徒然
 ギリシャのゴタゴタで世界が揺れている。フラス・カンヌで開かれたG20首脳会議でも、ギリシャ危機を封じ込める首脳宣言が採択された。

 今から2年前の09年10月。ギリシャでも政権交代があり、前政権が財政赤字を過少に計上していたことが明らかになった。ギリシャの債務返済能力が疑われ、ギリシャ国債の格付けが引き下げられていった。

 人口1100万人で、GDPの7割が観光というギリシャ。公務員天国と言われ、財政赤字の中、給料はこの10年間で40%近くアップ。さらに年金も現役時代の報酬の8割もらえるというからすごい。

 今後、財政赤字がさらに悪化し、ギリシャ国債が債務不履行に陥ったら、欧州各国の金融機関が大打撃を受け、リーマン・ショックを上回る金融危機になると言われている。

 欧州各国は危機回避のために、ギリシャ国債元本の50%削減やギリシャ国債を保有する銀行の資本増強、欧州金融安定基金の拡充策などの支援策を打ち出した。一方で当事者のギリシャも財政再建のための公務員給与の削減や、年金の抑制を打ち出したものの、国民の反発を受け混乱。パパンドレウ首相は国民投票で信を問うと一時表明するが、それも断念。まさに、ギリシャに世界が振りまわされている。

 周辺の国々から財政支援を受けながら、自分たちは身を切ることもしない。支援国から見れば、「いったい何をやっているんだ」という気持ちだろう。

 だがギリシャの混乱も他人事ではない。日本の財政もかなり厳しい状況だ。

 国会では東日本大震災の復興のための第3次補正予算の審議中だ。財源としての復興増税をどうするのか。その上、野田首相はG20で、来春の通常国会に消費税アップの法案を提出すると明言した。

 ちょっと待ってもらいたい。財政の厳しい中、国民に負担を求めることは分からないではない。だが、その前にやることがあるはずだ。消費税の使い道として考えられる社会保障はどうするのか。「社会保障でこれくらいかかるので、足りない分をこれだけ負担してください」というのが筋だが、今の政権はそれを明らかにしていない。

 また、ムダを徹底的にはぶいたのかということも大切だ。ギリシャは公務員に甘かったが、日本はどうか。例えば公務員宿舎。2年前の事業仕分けで朝霞宿舎の建設が凍結されたが、いつのまにか復活。世論の反発を受け再び凍結と迷走している。

 現在も行われている財務省の公務員宿舎削減の検討会の議事録を読むと、どうも宿舎存続の雰囲気を感じてしまう。

 ギリシャにならないためにも、公務員天国にしてはならない。