高木陽介「奔馳不息(ほんちふそく)」

衆議院議員 高木陽介のブログ

政府の子ども手当法案は法律違反だ

2011-02-22 14:49:01 | 活動徒然
 民主党が迷走している。小沢一郎元代表に近い衆院議員16人が会派離脱を表明。菅政権は内部から崩壊し始めている。今国会の焦点は予算関連法案の成否だが、会派離脱を表明したメンバーは採決で造反する可能性を示唆した。

 注目されている法案の一つに「子ども手当」法案がある。元々は公明党が党をあげて推進してきた「児童手当」だ。

 1967年、千葉県市川市で始まった。その後各自治体で広がり、公明党が国としてやるべきだと主張して71年に児童手当法が成立。翌年1月から国の制度として給付がスタート。

 公明党が連立政権に参加した99年当時、児童手当は3歳未満の支給で対象は240万人だった。その後4回にわたって法改正を行ない、対象も小学6年まで拡大。支給児童数は1290万人にまで増えた。ところが、この4回の法改正に全て反対した唯一の政党が民主党だった。

 政権交代時の民主党マニフェストは、子ども手当について中学3年まで月額2万6000円、全額国が負担し、児童手当法は廃止するとしていた。「子ども手当と児童手当は理念が違う」と民主党議員はTVなどでも話していた。

 だが、民主党政権が昨年、提出した法案は児童手当法を残し、地方と企業の負担をそのままにし、上積み分だけ国費をあてる内容。しかも一年限りの時限立法で、まさに児童手当の拡充にほかならなかった。

 公明党は、現金給付だけでなく、2011年度以降は保育所の整備など「全般的な施策の拡充をしていく」という修正を加え賛成した。ところが今回出てきた法案は相変らず一年だけの時限立法。しかも他の施策の拡充もない。つまり、昨年の法律に違反した内容になっている。

 「法律違反の法案には賛成できない」というのが我が党のスタンスだ。

 さらに今年までに子ども手当法は財源を明確にした恒久法にするとしていたが、その約束も破られた。

 公明党の坂口力元厚労相は「恒久法にしなければ話にならない」と主張するが、それを聞きつけた厚労省の官僚が坂口さんの所へ訪ねてきた。

 その官僚は「恒久法は厳しいです。今の月額1万3000円で恒久法にしてしまうと、マニフェストの月額2万6000円を諦めたことになります。民主党内には2万6000円と言う人もいれば、中には1万3000円でいいという人も。恒久法では党内がまとまりません」。

 ここはいったん、白紙に戻して本当に必要な子育て支援は何かを民主党は考え直したらどうか。だが、党内のゴタゴタで冷静な政策議論もできなくなっている民主党にこの国を運営するのは無理かもしれない。


命を守れない菅政権を倒さねば

2011-02-08 17:02:37 | 活動徒然
 「金の切れ目が命の切れ目」
 
 何と切ない、何とやりきれない言葉だろう。だが、それは今の社会で起こっている。
 
 先日の衆議院予算委員会。質問に立った私は「高額療養費制度」について、菅首相に問い質した。
 
 「がん」の治療や慢性的な疾患で高額な医療費負担に苦しんでいる人が多くいる。同制度は医療費が高額になった場合一定の金額(自己負担限度額)を払えば済むというもの。
 
 ところが、この制度は所得に応じて自己負担限度額が3段階に分けられている。市町村民税が非課税の低所得者(年収約200万円以下)の限度額が月額3万5400円。上位所得者(年収約790万円以上)は限度額が月額約15万円。その中間の一般所得者はどんなに高額な医療費になっても月額約8万円を払えばオーケーだ。
 
 しかし、この中間の「一般」に問題が潜んでいる。年収200万円の人と年収700万円の人が同じ病気にかかり、毎月8万円を負担し続けるのはどうなのか。この中間層に、もう一段階ラインを引いて、負担軽減を図ったらどうだろう。公明党は具体的に年収300万円以下の方は、限度額を月8万円から半額の4万円にと提案している。
 
 予算委では、慢性骨髄性白血病の治療費負担に苦しむ女性が薬の服用を中断し、自殺に至るのを夫が寸前で防いだ事例を紹介した。その時の夫がつぶやいた言葉。それが「『金の切れ目が命の切れ目』という現実が今でもあるんですね」
 
 2009年4月。高額療養費制度の引き下げの方向性について自公両党で合意していた。ところがその年の秋に政権は民主党に。実は民主党も衆院選マニフェストで高額療養費に関して「患者の負担軽減を図る」と掲げていた。ところが10年度予算にも反映されず、今回の予算案も自己負担限度額の引き下げは見送られた。
 
 限られた財源で優先順位をつけるのが「政治主導」のはずだ。農家の戸別所得補償、高校無償化、子ども手当て、高速料金の無料化と比較しても「命を守る」政策を優先するべきではないか。
 
 「命を落としそうな人、この人を守るのが政治じゃないですか」
 私は衆院第1委員会室で叫んだ。「高木委員の今おっしゃった基本的な考え方に私も同感いたします」と菅首相。だが、限度額の引き下げは明言しなかった。
 
 鳩山前首相も昨年の施政方針演説で「命を守りたい」と訴え、「命」という言葉を24回も使った。だが、高額な医療費に苦しむ患者には言葉はいらない。限度額引き下げの事実が必要だ。命を守ることのできない政権は倒さなければいけない。