高木陽介「奔馳不息(ほんちふそく)」

衆議院議員 高木陽介のブログ

将棋@今年の名人戦

2009-06-30 22:09:26 | 活動徒然
 将棋ファンにとって今年の名人戦は見応えがあった。
 羽生善治名人に挑戦したのは郷田真隆九段。7番勝負の第一局は4月、羽生先勝でスタートを切った。
 一進一退の攻防は第5局、郷田が3勝目をあげ王手。そこから羽生は粘りを発揮。カド番をしのいで3勝3敗のタイに持ち込み、最終局も81手で郷田を退けた。これで6期目の名人獲得し、7冠のタイトルでは大山康晴十五世名人の80期に次ぐ73期となった。
 小学校に入る前だったと思う。亡くなった父から将棋を教わった。せっかちな父は、考えながら指しているかと思うほど早指しだった。小学生の時はクラスで将棋ブームになったこともあった。その頃、「プロとアマの差が最も開いているのが将棋」と誰かに聞いた。
 将棋のプロには現在約150人の現役棋士がいる(国会議員722人よりも少ない)。プロになるには奨励会に入会。6級からスタートし、昇級昇段して四段でプロとなる。
 都道府県のアマ将棋のトップレベルでも奨励会の6級といわれるそうで、自分たちのヘボ将棋からみたら、まさに将棋のプロは雲の上だ。
 そのプロ棋士の世界には7大タイトルがあり、その最高峰に名人戦がある。
プロ棋士がA級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組と5クラスに分かれ、1年かけて順位戦を戦う。成績によって上のクラスに昇級、下のクラスに降級したりする。
 トップ棋士の集まりである10人が総当り戦を行なうA級順位戦。ここでトップとなってようやく名人戦の挑戦権を獲得する。つまり、プロとなって、どんなに早くても名人に挑戦するのは5年かかることになる。
 江戸時代から世襲制だった将棋の名人位。昭和12年に実力制名人位がスタートして、名人位に就いた棋士は12人。ちなみに平成5年に私が衆院議員に初当選してから16年の間に首相は10人。
 国会では党首討論が先日行なわれたが、本来は次の首相を目指す政治家同士の一騎打ち。政治の〝名人戦〟でなければいけないはずだ。
 だが、「名人戦の域には及ばない」と思った人もいたのではないか。
 将棋は奨励会、順位戦と厳しい戦いを経て、名人になる。対局中の一手で天国から地獄へ転落する将棋。今の政治も全魂を傾けた一手が求められている。

テレビの影響力

2009-06-16 23:11:17 | 活動徒然
 テレビの影響力は怖いなと感じた。
 11日の朝、TBSの「みのもんたの朝ズバッ!」での一コマだった。
 前日夜に麻生首相が発表した温室効果ガス削減の中期目標に関するニュース。「中期目標 家庭頼み」という見出しの朝日新聞の記事を参考に伝えていた。
 中期目標実現のためには「7割以上が太陽光発電を設置」「5割がハイブリット車などを選ぶ」とのフリップも。
 ハイブリット車について、みの氏は「税制優遇だとかいろいろやっているよね」と、温暖化対策の政府の政策を紹介。
 ところが、太陽光発電に話が移ると、コメンテーターの毎日新聞OBの嶌信彦氏が次のようにコメント。
 「太陽光とかね、自然エネルギーを使うような施策をどんどんやっておけばよかったんですよね。(日本も)これからそういうことをやらないと減らないということですね」
 それに対して、みの氏は、「太陽光の発電なんかもさぁ、余った電気ね、電力会社が少しいい値段にしてもらって買い取ってもらいたいね」
 「そういうことも多分、制度として導入せざるを得ないでしょうね」と嶌氏が答えた。
 ちょっと待てよと、私は思った。太陽光発電を推進するため、自宅で余った電気を現在の2倍で電力会社が買い取る法律が、その日の午後、衆議院で可決される予定だった。
 法律案は今年3月に国会に提出され既に報道されている。また太陽光パネルの設置についても、本年度予算で助成制度が導入している。
 視聴者の中には、今回の中期目標は負担だけ増え、太陽光発電の普及についても、そう簡単ではないと思ったかもしれない。
 麻生首相の記者発表の前に、温暖化対策について様々な手が打たれている。だが、コメンテーターをはじめ、番組関係者は、その事実を知らなかったのか。
 知っていて、その背景を報道しないとしたら〝偏向報道〟になる。一方、知らないで報道しているとしたら、それは論外だ。
 前の週ではマスコミ各社は90年比7%減」で決定のような報道があった。そこから1%減を積み上げたが、そこには斉藤鉄夫環境相の粘りがあった。
 たかが1%かもしれないが、その1%は地球の未来にとっては重要な一歩だと思う。テレビ報道はその意味もしっかり伝えてもらいたい。

内容不足@党首討論

2009-06-02 21:13:30 | 活動徒然
 久しぶりに党首討論が行われた。
 周りの与野党議員のヤジについて、テレビでコメンテーターが「子どもに見せられない」と批判していた。
 ヤジもひどかったが、麻生首相・民主党の鳩山代表、共に相手の非を突く展開だったが、率直に言えば「内容がなかった」。
 麻生首相は「どちらが内閣総理大臣にふさわしいか。どちらの政党が政権を担う力があるか」と冒頭語りかけた。まさに、近く行なわれる衆院総選挙を前に、国民は注目していたはずだ。だが、互いに抽象論が多く、具体性に欠けていた。
鳩山代表は国のあり方として「友愛社会の建設」と言った。「人の幸せを自分の幸せと思える世の中にしたいと思っている」と述べたが、どのような政策をやれば、そのような世の中になるのか。有権者はそこを聞きたかったのではないか。
 民主党が政権を取ったら、これまでの野党としての行動と、どのように整合性をもつのだろうか。興味深いところだ。
 例えばテロ対策のための自衛隊のインド洋派遣。国際的連携の中で築きあげた国際貢献を、民主党政権は放棄するのか。
 また、海賊対策のためアフリカ・ソマリア沖に展開中の海上自衛隊。民主党は派遣に反対した。貿易立国の日本にとって生命線でもあるソマリア・アデン湾の安全対策は重要だ。
民主党と連携する社民党もソマリア沖の自衛隊派遣は大反対。ところが、同党の辻元清美衆院議員が設立した「ピースボート」の旅客船が先日、自衛隊に護衛されてアデン湾を航行した。「ピースボート」は市民団体による海自派遣反対の共同声明に名を連ねている。言っていることとやっていることが違う。果して民主党はどう対応するのか。
 民主党の小沢代表は今年2月、在日米軍再編に関して「極東におけるプレゼンス(存在)は第七艦隊で十分」と発言。折しも、北朝鮮が再び核実験を行った。日本の安全保障について民主党はどう考えるのか。「第七艦隊で十分」と言った人は、代表を辞めたものの、代表代行として執行部に残った。今後の党首討論では、これらのことを具体的に国民は聞きたがっている。
 ちなみに、ビデオリサーチによると、党首討論のNHK中継の視聴率は5.7%。抽象論が続くと視聴率はさらに下がるに違いない。