高木陽介「奔馳不息(ほんちふそく)」

衆議院議員 高木陽介のブログ

水至りて、自然、水路となる

2001-01-15 22:20:03 | 活動徒然
話題が北朝鮮問題の時だった、胡錦濤国家主席が口を開いた。「友達はやめることができても、隣同士はやめられない」。
 それまで終始、笑みを絶やさなかった胡主席の表情が一瞬、淋しそうに感じられた。
 7日から9日まで、公明党訪中団のメンバーとして、太田昭宏代表らと共に北京を訪れた。小泉内閣の5年間の日中関係は厳しいものがあった。だが、昨年秋、安倍首相が訪中し、日中首脳会談を行い、短期間の間に「著しい(関係)改善をした」(胡主席)。
 訪中2日目。午後4時。場所は人民大会堂・福建の間。
 約45分の会談であったが話題は多岐にわたり充実した内容であった。昨秋の首脳会談で確認しあった「戦略的互恵関係」の構築について、何をテーマに進めていくのか意見交換をした。
なかでも、日中共通の課題としての北朝鮮問題は白熱した。太田代表は「中国の役割に期待したい」。特に拉致問題は日本にとって重要なので、「中国のサポートをお願いしたい。(6ヵ国協議の)俎上にのせてもらいたい」と強調。
 6ヵ国協議についてしばらく議論が続き、冒頭の胡主席の言葉となった。日朝の溝は深い。中朝の関係も核実験以降、ギクシャクしたものとなっている。同じ東アジアの隣国としての苦しい胸のうちを吐露したように私は感じた。
 訪中3日目の午前。武大偉外務次官と会談。6ヵ国協議の議長でもある。
 太田代表が国連安保理の日本の常任理事国入りで中国に応援してもらいたいと主張した。武次官は「中国一国だけで常任理事国入りを決めることはできない。他の多くの国々に(日本が)働きかけるよう」と消極的な回答。
 さらに前駐日大使の武次官は通訳を介さず、日本語で語り始めた。中国の古典に「水至りて、自然、水路となる」との言葉があると武次官は紹介した。水が集まって自然に水路ができるように、常任理事国への道も支持が集まれば、自然となれるとの意なのだろう。
 太田代表がすかさず「『人が歩いて道となる』との言葉もあります。」と返した。人が意思を持って歩かなければ道もできない。中国の意思はどうなのかとの意であろう。
 この話題は平行線に終わったが、今後も継続的に訴えなければとの思いを強くした。