高木陽介「奔馳不息(ほんちふそく)」

衆議院議員 高木陽介のブログ

震災乗り越えセンバツ出場の石巻工・阿部翔人主将の宣誓に目がウルウル

2012-03-27 12:25:55 | 活動徒然
 年をとったせいか涙もろくなっている。

 第84回選抜高校野球大会の開会式。21世紀枠で出場した宮城・石巻工の阿部翔人主将の選手宣誓を聞いて、目がウルウルしてしまった。

 東日本大震災で石巻工も津波で校庭が水没した。練習をしていた部員は校舎3階に避難。出られたのは3日後だった。

 グランドに積った泥を部員全員で除去する中、自衛隊、米軍、ボランティアが駆けつけ、1カ月後にようやく泥とがれきが撤去された。練習再開は4月22日だった。

 しかし、昨年9月の台風15号で、再びグランドが水没。全国から寄せられた野球用具も水浸し。選手たちは苦難を乗り越え、昨年秋の県大会で準優勝し、21世紀枠で甲子園に。今月15日の組み合せ抽選会で、選手宣誓の大役のくじを引き当てた阿部主将。宿舎のミーティングで選手たちは、それぞれの思いをホワイトボードに書いていた。

 「人は誰でも、答えのない悲しみを受け入れることは苦しくてつらいことです。

 しかし、日本が一つになり、その苦難を乗り越えることができれば、その先に必ず大きな幸せが待っていることを信じています」

 自宅が全壊した阿部主将。選手の中には肉親を亡くしたメンバーも。大人でもショックが大きい中、高校生がその現実を直視して、「苦難」の先に「大きな幸せ」を信じている。今も復興の途上で苦労している被災者の方々がどんなに勇気づけられただろう。

 「だからこそ、日本中に届けます。感動、勇気、そして笑顔を」

 私は「ここで『笑顔』か」と思った。それは極限の状況の中で乗り越えたナインだからこそ言えるのか。「笑顔」は前進への原動力に違いない。

 最後に阿部主将は誓った。「野球ができることに感謝し、全身全霊で、正々堂々とプレーすることを」

 感謝の気持ちが甲子園の切符をたぐり寄せたのかもしれない。

 石巻工はその2日後、1回戦で敗れたが、宣誓通りのプレーをしたと思う。開会式の日の夕刊各紙は宣誓の全文を掲載した。夜9時のNHKの「ニュース9」も2分15秒の宣誓を全て放送した。

 心に響く言葉。それは命からほとばしるからだろう。

 震災から1年が過ぎた。同じ「シュショウ」だけど、菅前首相や野田首相の言葉が国民そして被災者の心に響いていないのは確かだ。

「社会保障」の間違った“常識”

2012-03-06 15:21:46 | 活動徒然
 「社会保障は『世の中の常識』と『実際』の間の乖離度合いが大きい。『天動説』と『地動説』くらいのレベル」 

 「いわゆる専門家といわれている人たちも含め、皆間違っていたというような、常識的にはあり得ないようなことが、社会保障においては起こってしまっている」

 2012年度予算案も今週中に衆院を通過する。1ヵ月に及ぶ予算委の審議だったが、やはり「社会保障と税の一体改革」がクローズアップされた。先月27日には有識者を招いて、参考人質疑が行われた。

 少子高齢社会が急激に進むわが国にあって、特に年金問題は国民の関心も高い。

 だがマスコミをはじめ多くの国民が持っている常識は間違っていると主張した参考人がいた。

 自公、民主それぞれの政府の社会保障に関する会議の委員を務めた経済評論家の細野真宏氏。冒頭の言葉は細野氏が予算委で配布した資料に書かれていた。

 04年の年金改革以来、民主党は年金の不安をあおって、それを原動力に政権交代を果たしたといっても過言ではない。細野氏は予算委で次のように述べた。

 「(保険料の)未納が増えると年金が破綻するという話。(略)これほどの見事なひっかけ問題はない」

 08年の自公政権下の社会保障国民会議。11年の民主政権下の社会保障検討会議といずれも未納が増えても年金財源は破綻しないことが明らかにされている。

 それは未納だと年金の受給がその分減るため年金財政そのものには影響はないということだ。しかし、未納の問題は受給が減るため放置していてはいけないと細野氏は主張する。

 もう一つの「ひっかけ問題」は「少子高齢化で年金が破たんする」ということ。人口の推移をみると、90年代は現役世代5.1人で高齢者1人を支えていたが、2030年は1.7人で1人を支える。このままいくと年金は破綻するとマスコミでも言われていた。(民主党も同様に主張していた)

 だが、このデータは今の年金制度の前提となっている数字で、今後、出生率が1.26になると想定している。細野氏は今年1月に出された人口推計では出生率を1.35に上方修正され、プラスの方向に進んでいると指摘。

 さらに、「そういう話が出ても、いや、これはより深刻なことを意味しているという解説が、いまだにテレビとかに多いのは、あまりにも勉強不足」とバッサリと切り捨てた。

 細野氏の陳述に、年金不安をあおってきた民主党議員は、静かに耳を傾けていた。

 「月額7万円の最低保障年金」。絵に描いた餅のような民主党マニフェストに書かれた年金案だが、もうそろそろ取り下げた方がいいかもしれない。