高木陽介「奔馳不息(ほんちふそく)」

衆議院議員 高木陽介のブログ

〝ねじれ国会〟の土俵際

2008-03-24 22:00:14 | 活動徒然
朝青龍が4場所ぶり22回目の優勝で、大相撲春場所は幕を閉じた。初場所はモンゴル出身の後輩横綱・白鵬に遅れをとったが、今場所は〝強い〟朝青龍が戻ってきた。日本の国技とはいえ、しばらくは〝青・白〟2強時代が続くだろう。
相撲は一瞬の勝負。しかし、その一瞬でも互いの力と力がぶつかりあっている。直系4.55mの土俵だが、東西南北の四方にある「徳俵」に救われて、逆転する場面も相撲の醍醐味だ。
一方、国会の与野党の攻防は一進一退を繰り返している。
1月末。いわゆる「つなぎ法案」を与党が国会提出し、野党を追い詰めた。この法案が成立すると、3月末に期限切れの道路特定財源をはじめとする暫定税率が、実質的に延長される。野党の攻め手が無くなってしまうところだった。だが、「議長あっせん」という「徳俵」で残った。
仕切り直しとなった2月末。再び与党が攻勢に出て、予算案と税制関連法案の衆議院を通過させた。
ところが舞台が参議院の〝土俵〟に移ると攻守逆転。日銀総裁人事は2度にわたって不同意となって、与党側は土俵際まで追い詰められてしまった。
ただ、今回の日銀総裁の人事に対する民主党の反対理由は、どうも理解しづらい。総裁候補となった武藤、田波両氏とも財務省の事務次官を務めたから〝財金分離〟に反するという。しかし、財務省出身だからといって、日銀の独立性が揺らいでしまうのか。
先日、NHKの日曜討論に出演した時、私は次のように述べた。民主党の出演者は同党の税制調査会長を務める藤井裕久氏。「藤井さんは(旧)大蔵省出身で、大蔵大臣まで務めた。だからといって、財務省から影響受けているわけではない。人間の問題であって、出身の問題ではない」
日銀総裁は空白のまま、白川副総裁がしばらく代行することになった。
これから一週間、国会の〝土俵〟は税制関連法案が年度内成立するかどうかの攻防戦だ。ここは、与野党どちらが押し切るかという単純な話ではない。国民生活に直結する重要な問題だ。
ここは〝政局〟に絡めたり、与野党互いの面子にこだわることなく、修正協議をして結論を得るべきだと思う。双方が智恵を出し合い、一歩ずつでも国政を前進させることが大切ではないか。
春場所のテレビ桟敷は熱狂したが、〝ねじれ国会〟の土俵を見守る国民は、与野党の単純なぶつかり合いではなく、智恵の出し合いを期待している。

花粉症と道路特定財源

2008-03-10 22:15:55 | 活動徒然
 街を歩く人にマスク姿が目立ちはじめた。春風の訪れとともに花粉症の季節がやってきた。かくいう私も花粉症に悩まされ、外に出る時はマスク姿になる。
 日本人の5人に1人は花粉症ともいわれている。このコラムをマスクをかけながら読んでいる人も多いと思う。
 私の場合は3年前の春。急に〝鼻水〟に襲われた。それまで、花粉症で苦しんでいる人が横にいると、「大変ですね」程度に思っていた。ところがある日、帰宅してホッと一息、くつろいでいると、鼻水がタラーっと流れ出した。
 「風邪かな?」と一瞬思ったが、サラサラした鼻水で、かんでもかんでも出てくる。ティッシュ箱がすぐ空になった。「もしかして花粉?」。それから付き合いが始まった。
 私の住む東京・多摩地区はスギ花粉の飛散が多い。東京西部に多くのスギが植林されているからだ。
最近の新聞・TVの天気予報は花粉情報を出している。わが家では飛散量の多い日など車のフロントガラスが、黄色くなっていることもある。
地球温暖化の事を考えると、緑の保全は大切だが、春の〝鼻水〟に襲われるたびに、「全部切ってしまえ!」と思ってしまうのは私だけだろうか。
 そもそも花粉症は身体の免疫反応といわれる。体内に侵入してきたウィルスや細菌などの異物を排除する反応だ。本来なら、有害なものを排除するという、身体にとってきわめて大切な反応なのだが、過剰になりすぎて花粉症となってしまう。
 政治の世界でも過剰に反応しすぎて、うまくいかない場合が多々ある。先週一週間、国会が空転した。先月末に予算案と歳入法案の衆議院での採決をめぐって、与野党がぶつかりあった。野党は「強行採決だ」と言い、与党は「審議は十分尽くした」と反論する。
 また、日銀総裁人事をめぐっても与野党の駆け引きが行われている。
 各党ともそれぞれの主張があるのは当然だ。しかし昨年夏の参院選後は「ねじれ国会」となり、与野党が合意しなければ、物事が進まなくなっている。
 これから始まる参議院での予算審議。最大のテーマは道路特定財源。ここは相手の主張を〝異物〟と過剰反応するのではなく、受け入れていく、譲り合うことが与野党ともに必要ではないか。
そうでなければ国全体が〝花粉症〟になってしまう。困るのは国民の一人一人だから。