高木陽介「奔馳不息(ほんちふそく)」

衆議院議員 高木陽介のブログ

何をしたいのか語らぬリーダー

2010-08-25 12:01:43 | 活動徒然
 開いた口が塞がらないー。

 菅首相が19日、自衛隊4幕僚長との会合でのあいさつのことだ。首相はこう述べた。

 「改めて法律を調べたら、自衛隊に対する最高の指揮監督権を有していた」

 実際、自衛隊法第7条に「内閣総理大臣は内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する」と明記されている。  

 さらに首相は「昨日予習をしたら、(防衛)大臣は自衛官ではないそうだ」とも述べた。  
 こちらも憲法66条に「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」と規定している。  
 
 条文を暗記する必要はないが、首相が自衛隊の最高指揮監督権を有するなどということは、国会議員でなくても常識だろう。中高生も授業で「文民統制」について習うはずだ。

 折木総合幕僚長は会合終了後、「冗談の話と思う。指揮官と自覚した上での発言と認識している」と大人の対応をしてみせたが、「冗談じゃない」というのが本音ではないか。首相発言の新聞記事を読んだ大学2年の長男も、「ホントに知らなかったのかなあ」と驚きの声をあげていた。  

 鳩山前首相が米海兵隊の抑止力について、「学べば学ぶにつけ(海兵隊が)連携し、抑止力を維持できるという思いに至った」と語ったが、菅首相にも同じ“ニオイ”を感じるのは、私だけではあるまい。  

 そもそも安保・防衛について菅首相はどう考えているのか。いや、それ以外にわが国の経済・財政や社会保障をどう考えているのか。参院選前に突如言い出した「消費税増税」は、どうするのか。国民には全く伝わってこない。  

 むしろ、そんなことそっちのけで民主党は今、来月14日の代表選に夢中。「反菅」VS「反小沢」による駆け引きが過熱しているようだ。  

 何をしたいか明確に語らない菅首相。一方、対抗馬とみられる小沢前幹事長の動きも、3カ月前に鳩山前首相と一緒に辞任した理由を忘れているかのようだ。「政治とカネ」が理由で辞めた小沢氏。説明もしないまま、今度は代表選に担ごうとす 声が 高まっているのは、理解できない。  

 参院選で国民から“レッドカード”を突きつけられた民主党政権だが、国民感覚からかけ離れたところで、代表選が展開されている。  

 円高と株安で景気の先行きが不透明になる中、経済対策の議論も遅れ気味。民主党は何のために政権についたのか。このままでは犠牲になるのは国民だ。

気がかりな家庭崩壊

2010-08-10 13:00:00 | 活動徒然
 イヤな感じがする。 

 高齢者の所在不明が各地で相次いでいる「消えた100歳」問題のことだ。

 昨年9月の「敬老の日」を前に、日本は100歳以上の高齢者が4万人を突破するという報道があった。平成元年には3078人だった100歳以上の高齢者が20年で100倍以上になったわけだ。

 また、先月26日には厚生労働省が平均寿命を発表した。男性79.59歳、女性86.44歳と、ともに4年連続で過去最高を記録した。女性は世界1位、男性も5位だったが、男女合わせた平均寿命は1位となっている。しかも、女性の1位は25年連続という。 

 だが、世界に冠たる〝長寿国〟という心温まるニュースが、「消えた高齢者」問題という暗い話題に、かき消されてしまった。

 発端は東京・足立区の事件だ。111歳の都内最高齢の男性が白骨遺体で発見された。家族が同居していたにもかかわらず、30年前に死亡していたらしい。

 これを契機に、各自治体が慌てて100歳以上の高齢者の所在を確認。共同通信の調べによると、7日までに不明者は19都道府県で75人に達したという。

 不明やすでに死亡していながら、家族がその年金などを受け取っていた事例もあるから、開いた口がふさがらない。

 高齢者の所在や安否については、自治体職員や民生委員が面会するケースがあるものの、今回はいずれも本人とは面会せずに時間が経過した場合がほとんどだ。家族から「会いたくない」「施設に入った」と言われ、それ以上の調査ができない場合があったという。

 高齢化社会の進展に伴い独居老人が増える中、行政による高齢者の所在や安否確認の方法も検討していかなければいけない。 

 しかし、一連のニュースで気になるのは「家族の崩壊」である。

 「どこにいるか分からない」。テレビのインタビューに平気でこう答える〝所在不明〟の高齢者の家族と、同じ時期に大阪で1歳と3歳の幼児が部屋に放置され、遺体でみつかった事件が重なる。

 幼児の母親は23歳。死体遺棄容疑で逮捕され、調べに「ご飯も水も与えなければ生きていくことはできないとわかっていた」と供述したという。

 自分の親がどこに暮らしているのか知らないし、気にならない子。一方で一人では生きていけない子供の生命を奪う親―。国や地域社会を構成する最も小さな絆ともいえる「家族」はどうなってしまったのか。

 国の根本が揺らぎはじめている。政治の大きな課題だ。