著者:喜多川 泰 ディスカヴァー・トゥエンティワン (2007/8/15)刊
Mixiのあるコミュで、著者の本を薦められた。
薦められた当の本はまだ手に入れていないが、先に縁があって
手元に来たのが本書。
※ ちなみに、薦められたのは
「『福』に憑かれた男 人生を豊かに変える3つの習慣」
作者の本は初めてだったが、文章も平易で非常に読みやすかった。
ただ、その平易さとは裏腹に、実に奥行きのある一冊であった。
主人公は、大学4年生。
就職という、人生の大きなイベント時期を控えて、自分の進みたい
方向を決めきれず、悩んでいる。
ちょうど、先日取り上げた「フライト」の井上工のような状況である。
ただ、井上工の場合は、そのままモラトリアムの延長としてフリーターの
道を歩んだのに対して、本書の主人公・西山諒太はふとしたきっかけから
始まった、手紙屋と名乗る不思議な人物との文通を通じて、自分自身が
進むべき道筋を明確に意識していくようになる…。
手紙屋とは、文字通り手紙を出す人のことである。
依頼主と、10通に渡る往復書簡を通じて(つまりは、合計20通の
コミュニケーションだ)、手紙屋は様々な依頼主の持つ悩みに対して
アドバイスを送っていくことを生業としている。
その報酬は、決まっていない。
いつ、何を持って、どのように報酬を支払うのかは、全て依頼主の
思い一つにかかっている。
つまりは、文通を通じてそれほど得られたことが無かったと思えば、
それこそ10円切手を最後に同封して送って終わり、としても良い
訳である。
それで、本当に職業として成り立つのか?と不思議に思われる人も
多いだろう。
まあ強いて言えば、その辺りがラストでの手紙屋の正体の秘密の
種明かしとも相まって、本書の弱い箇所でもある。
だが、本書を通じて、より明確に読み手に作者のメッセージを伝える
ためには、こうした設定にした方が、手紙屋という存在が際立つことは
間違いない。
後は、それが絵空事と思えないよう、この内容ならば誰もが納得して
報酬を払ってくれるだろうと、読者を納得させられるだけのものを、
作者が掲示出来るかどうか、であり、そしてそれは概ね成功したと思う。
上述したように、ラストに用意された手紙屋の正体の話も含めて、
作者がストーリーを膨らませるために用意した構図的なところは
あまり僕としては合点がいかなかったが、手紙屋の書いた10通の
手紙にこめられた思いに対しては、十二分に共感し、素直に心に
染み入らせることが出来たのだから。
僕が大学4年生だった頃。
就職というものに対する考え方は、本書冒頭における主人公とほぼ
同じレベルだった。
一応、自分なりに志望動機を考えて、会社を絞り込み、採用試験に
臨んでいったものの、それらはまず間違いなく、ことごとく後付け
に過ぎず、ただ単に見栄えのいい会社に入ることがその根底にあった。
そして、その思いの浅薄さに思い至ることも無いままに内定が
決まってしまい、時節を経て今に至っている。
僕が就職活動をしている最中に、本書を読んでいたら…。
今の会社は、恐らく選んでいなかったのではないか?
そう考えさせるに十分足る力を、本書は内在している。
10通の手紙を通じて、作者が訴えたいことは、働くということの
意義であり、働くことを通じて何を為すべきか?であり、そして、
何を得るべきか?ということである。
様々な角度から、労働という言葉の持つ意味が、まるで大きな岩を
少しずつ彫琢していくように浮き彫りになっていく。
それは、自分自身の就職活動時のメンタルの低さを思い知らされた
ことでもある。
ただ、読んでいて、一つ胸を張って良かったと思えたこと。
それは、少なくとも今の時点においては、自分が為すべき夢はある、
と言えるものを掌中にしていることである。
それは現時点では夢である。
夢である以上、それを現実化するために努力をしないといけない。
どれほどの努力を明確に意識し、そしてそれを乗り越えることで
しか夢は叶わないのだから。
その条件に関して言えば、まずもって今の僕は、作者の言葉を
借りれば、乗るべき船を手にし、出航したと言える。
後は、旅に倦むことなく、また、目的地を見誤ることなく、
無事に僕の夢を目的地に入港させられるか、ということが僕の
課題だ。
振り向けば、まだ出航地はすぐそこにあり、かつ進路は茫漠と
した海原が広がるだけである。
だが。
確かに、夢の大海へと一歩漕ぎ出した自分がいる。
その一漕ぎを、そっと後ろから後支えしてくれるような。
そんな、本書に出会えたことに、感謝を。
全ての、夢に向かって歩む人に。
あるいは、夢が何かを模索する人に。
この本を、お勧めしよう。
(この稿、了)
Mixiのあるコミュで、著者の本を薦められた。
薦められた当の本はまだ手に入れていないが、先に縁があって
手元に来たのが本書。
※ ちなみに、薦められたのは
「『福』に憑かれた男 人生を豊かに変える3つの習慣」
作者の本は初めてだったが、文章も平易で非常に読みやすかった。
ただ、その平易さとは裏腹に、実に奥行きのある一冊であった。
主人公は、大学4年生。
就職という、人生の大きなイベント時期を控えて、自分の進みたい
方向を決めきれず、悩んでいる。
ちょうど、先日取り上げた「フライト」の井上工のような状況である。
ただ、井上工の場合は、そのままモラトリアムの延長としてフリーターの
道を歩んだのに対して、本書の主人公・西山諒太はふとしたきっかけから
始まった、手紙屋と名乗る不思議な人物との文通を通じて、自分自身が
進むべき道筋を明確に意識していくようになる…。
手紙屋とは、文字通り手紙を出す人のことである。
依頼主と、10通に渡る往復書簡を通じて(つまりは、合計20通の
コミュニケーションだ)、手紙屋は様々な依頼主の持つ悩みに対して
アドバイスを送っていくことを生業としている。
その報酬は、決まっていない。
いつ、何を持って、どのように報酬を支払うのかは、全て依頼主の
思い一つにかかっている。
つまりは、文通を通じてそれほど得られたことが無かったと思えば、
それこそ10円切手を最後に同封して送って終わり、としても良い
訳である。
それで、本当に職業として成り立つのか?と不思議に思われる人も
多いだろう。
まあ強いて言えば、その辺りがラストでの手紙屋の正体の秘密の
種明かしとも相まって、本書の弱い箇所でもある。
だが、本書を通じて、より明確に読み手に作者のメッセージを伝える
ためには、こうした設定にした方が、手紙屋という存在が際立つことは
間違いない。
後は、それが絵空事と思えないよう、この内容ならば誰もが納得して
報酬を払ってくれるだろうと、読者を納得させられるだけのものを、
作者が掲示出来るかどうか、であり、そしてそれは概ね成功したと思う。
上述したように、ラストに用意された手紙屋の正体の話も含めて、
作者がストーリーを膨らませるために用意した構図的なところは
あまり僕としては合点がいかなかったが、手紙屋の書いた10通の
手紙にこめられた思いに対しては、十二分に共感し、素直に心に
染み入らせることが出来たのだから。
僕が大学4年生だった頃。
就職というものに対する考え方は、本書冒頭における主人公とほぼ
同じレベルだった。
一応、自分なりに志望動機を考えて、会社を絞り込み、採用試験に
臨んでいったものの、それらはまず間違いなく、ことごとく後付け
に過ぎず、ただ単に見栄えのいい会社に入ることがその根底にあった。
そして、その思いの浅薄さに思い至ることも無いままに内定が
決まってしまい、時節を経て今に至っている。
僕が就職活動をしている最中に、本書を読んでいたら…。
今の会社は、恐らく選んでいなかったのではないか?
そう考えさせるに十分足る力を、本書は内在している。
10通の手紙を通じて、作者が訴えたいことは、働くということの
意義であり、働くことを通じて何を為すべきか?であり、そして、
何を得るべきか?ということである。
様々な角度から、労働という言葉の持つ意味が、まるで大きな岩を
少しずつ彫琢していくように浮き彫りになっていく。
それは、自分自身の就職活動時のメンタルの低さを思い知らされた
ことでもある。
ただ、読んでいて、一つ胸を張って良かったと思えたこと。
それは、少なくとも今の時点においては、自分が為すべき夢はある、
と言えるものを掌中にしていることである。
それは現時点では夢である。
夢である以上、それを現実化するために努力をしないといけない。
どれほどの努力を明確に意識し、そしてそれを乗り越えることで
しか夢は叶わないのだから。
その条件に関して言えば、まずもって今の僕は、作者の言葉を
借りれば、乗るべき船を手にし、出航したと言える。
後は、旅に倦むことなく、また、目的地を見誤ることなく、
無事に僕の夢を目的地に入港させられるか、ということが僕の
課題だ。
振り向けば、まだ出航地はすぐそこにあり、かつ進路は茫漠と
した海原が広がるだけである。
だが。
確かに、夢の大海へと一歩漕ぎ出した自分がいる。
その一漕ぎを、そっと後ろから後支えしてくれるような。
そんな、本書に出会えたことに、感謝を。
全ての、夢に向かって歩む人に。
あるいは、夢が何かを模索する人に。
この本を、お勧めしよう。
(この稿、了)
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