活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

オカエリナサト 大阪市立科学館 特別プラネタリウム その5

2010-07-09 12:55:38 | 自然の海

     (TOP画像は、(C)JAXA,大阪市立科学館。飯山学芸員撮影)

タイトル:帰ってきた「はやぶさ」
上映場所:大阪市立科学館
上映日時:平成22年6月27日(日) 午後4時~(45分間)
解説者:飯山青海学芸員(JAXAによるはやぶさ回収部隊光学撮影班員)




■こんなこともあろうかと…

まず。
飯山氏が投影していただいたのが、TOPにある画像。
魚眼ワイコンレンズで撮影したと思しき、360度ぐるりが移りこんで
いるものである。

画面中央やや上部を左上から右下に流れているのが天の川。
(いやまったく。Milky Wayとはよく言ったものだ)

最上部には、車や木々も写りこんでいる。

そして…。

画面下部に。

すうと流れる、よく見れば二筋の光。

これこそが、彼の最後の輝きである。


この。
美しくも切ない写真を眼前に見ながら。

前日までは、曇り空だったこと。
当日になって、ようやく青空が覗いてくれたこと。
計算し、待ち構えていた正にその位置から、彼が還って来てくれたこと。
(確か、土星の方向と言われていたと思う)

飯山氏の語りは、淡々と続いていく。


JAXAからの正規の回収メンバーとして現地入りした氏の仕事は、
はやぶさの最後を看取る光学撮影班。

といっても。

はやぶさ本体を、ではない。

カプセルの落下方向を割り出して、確実迅速に回収を行えるようにする
ために、カプセルを撮影し続けることがその役割である…。


何しろ。
当初の予定年数を3年も超過して、7年振りにようやく帰ってきた彼である。

しかも。
その間、100度を越すイトカワの上での30分に渡る着陸とか。
化学燃料であるヒドラジンの機体内外への噴出。
その他、経年劣化を含む数多のダメージを受けているのだ。


彼が満身創痍なのは、ここ数週間の報道で様々なメディアでも著名な
事実となっているが。

少し熱心なはやぶさファンであれば。
JAXA公式HPにおける、川口PMの独白を読むことで。
その不調がメカニカルな機構部はおろか、メモリにまで及んでいる
ことは聞き及んでいるだろう。

と、なれば。

リエントリ・カプセルについても。

カプセルの密閉性は、大丈夫か?
射出機構は、正常に作動するのか。
パラシュートの展開は無事出来るのか?
ヒートシールドは、期待通りの効果を発揮してくれるのか?
ビーコンの発出用バッテリは、容量低下を起こしていないか?


といった、様々な心配が沸き起こってくる。

この中で、上四つについては今となっては対処不能であり、
天におわす糸川博士に祈るしか無いのだけれど。

せめて、最後のものだけは。
目視観測によるカプセル追尾を徹底的に行うことで、万一の事態に
備えよう。

そうした目的に向けて、編成された班である。


文字通り、「こんなこともあろうかと」という事態に備えて設営
された班なのである。


勿論。
ビーコンがちゃんと発信されれば。
資料的価値はともかくとして、カプセルの着地した方位を映像から
割り出して探索班に報告するという、光学観測班の当座かつ喫緊の
仕事は不要となってしまうのだけれど…。


そうした話を伺った後は。

いよいよ。
動画での、彼の最後の解説となる。



(この稿、続く)


宇宙を開く 産業を拓く 日本の宇宙産業 Vol.1 (日本の宇宙産業 vol. 1)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
日経BP出版センター

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