アイ・アム・レジェンド

またカラスが勝ち誇ったように鳴いている駅前ターミナル。

なか卯で朝定食。

ガラガラの中央通りを通る。

必要緊急の打ち合わせで今日も仕事。

喫茶店も開いていないしサボってちっともデレワークが出来ない。

いつも日曜日は朝からごった返す通りもスイスイ。

朝日を浴びながら黙々と歩く。

天満宮も静まり返っている。

通行人にも出合わないのでマスク取っ払って深く深呼吸。

マスクなしで歩いていることが気分いい。

あ、向こうから人が歩いて来たのが見えたので渋々装着。

この街に生きた人間がいなくなったのかと

不気味に思えた矢先だったのでほっとした。

この世に生きている人間が自分一人だとしたら天寿をまっとう出来るだろうか。

いつも孤独を歓迎してるような口ぶりでいるが本当に一人ぼっちになった時

正常でいられるのだろうか。

小6のころ出合った漫画さいとうたかを「サバイバル」を思い出す。

トム・ハンクス「キャスト・アウェイ」を思い出す。

生き甲斐は何だろう。夢は何だろう。将来を描けるだろうか。

いがみ合ったり喧嘩したり笑いあったり泣いたりしあえる相手あってこそ。

今この時にこそ思い出してしまう相手は確かにいる。

後悔しない生き方を真剣に考える。

会いたい人には必ず会っておくべきだと痛感する。

「今は忙しいからまた今度でいいや」は死語になる世の中がくる。

「これが」落ち着いたら今すぐに！でしょ。

そうだよな酒でも人でも後回しにしていたらその次は来ないと思っていたほうがいい。

開店閉店時間プレイバック

昭和50年代ごろなら

スーパーも蕎麦屋も中華食堂もクリーニング取次店も酒屋も

みんなどこも２０時で営業終了だったよな。

祭日だって休みのところがほとんどだ。

セブンイレブンが朝７時から夜１１時までやりますなんてスタートした時は

本当に驚いたもの。

テレビ番組だって０時で終わっていたじゃんか。

懐かしいなと思う。

あの頃は夜九時過ぎには駅前も商店街も真っ暗だったじゃん。

４０年前は当たり前だったんだ。

盆暮れ正月も祭日もなく３６０日開いているなんて・・・どうなの。

雨の日にこそ靴をおろす

仕事用も遊び用も

新しい靴を買ったら

雨の日に履いて外に出る。

新しいユニフォームも雨の日に泥だらけにしていた。

仕事着のおニューのスーツだって雨の日に着て出る。

びしょ濡れになったおニューの靴や服をを次からは気兼ねなく使える。

吹っ切れた時の自分が好きだ。

汚した時こそ自分のものになっている。

愛着がわく。

本当にやりたいことは何だよ

都からの自粛要請企業でないから今日も仕事だよ。

でも顧客訪問できんから、コメダで朝飯休憩。

日曜の午前中来たの初めてだ。

どうせ商談も打ち合わせもすべて延期だ。

サボることにした。

キューブリックの映画観て映画監督なりたいと思った。

水島新司の漫画にはまって漫画家になりたいと思った。

小学一年の時ばあちゃんちに泊まりに電車一人旅したとき車掌に車掌になりたいと思った。一日中切符切りやりたいと思った。

全然違う人生歩んでた。

普通の社会人になれないと思っていた。

会社の組織の中で働けないと思っていた。

家庭も持てないと思っていた。まあこれは半分叶って半分消えたってことになるか。

予定外が人生。想定外が人生なら。

やっぱり今の状況も人生の王道なのか。

思い通りの人生なんて籠の中の鳥になったみたいで息苦しくなる。

予想外の展開が世界を広めていくのか。

まだ見ぬ世界がその奥行きを感じさせるのか。

みんな自分のことで精一杯。

俺も一杯だ・・・・・・嘘。そうでもないな。気楽だよ。

でも良い機会だ。

何も約束されたものもなく保証もされもせずやっぱりこの国の人間の９０％は

フリーランスだと見ていたことも露呈された。

助けてくれないよ。フリーなんだもの。

サバイバル時代の形が見えてきている。

守るべき人がいる人は大変だ。

でもその人がいるから生きる力が湧くのだ。

そういう人はそういう生方しなければならない。

孤独を受け入れ覚悟した人はまた違った生き延び方を模索する。

狭き門を目指せ。

みんなと同じ方向へ逃げることだけは絶対にしないよ。

話がそれた。

何をして生きていきたかったのか俺は。

そうだ。子供のころに何の制約もなく自由に夢膨らませたころを思い出せ。

そうだ。

俺には夢がある。

家族も家も失ったが夢はある。肉体もある。頭脳もある。こうやって書いているエネルギーもやる気もある。

神がいるかどうか分からないが間違いなく俺自身はいる。

やりたいことは一人でもやる。連れションは大嫌いだ。

一人でもいい。俺の夢なんだ。俺一人で行けばいい。

昔の友人からの一言

お前はよ…今日という日がまた同じように明日もその次の日も来ると思ってるんだろ？

またいつものようにやってくると思って生きてるんだろ？

だらだらと生きているもんな…。

日蓮宗派の住職のそいつの一言が俺を変えた。

安穏と生きてきた俺はどこかその一言を頭の片隅で気になりながら生きてきた。

だから今日誘われた酒の場は断らない。

男でも女でも飯の誘いは断らない。

その誘いを断ったらもう二度と誘われないと思っておけ。

だから断る時はその覚悟で辞退した。

なにを大げさな？

いやいや逆だ。一分一秒でも自分の時間は代替できないと思えばましてや他人の時間も然りだ。

他人の気持ちを軽く見る奴は自分の気持ちをもっと軽く見る。

つまり自分を本当に大切にしていないやつだ。

自分を軽く扱わないやつは逆に自分を捨てられる奴だ。

簡単じゃないのだ。

最近腹立つことが少ない。

小さなこと些末なことなどどうでもいいようになってきた。

酒は体に良くないのじゃないのか？と聞いた奴がいた。

そんなに飲んだら体壊すよと注意してくれた子がいた。

良いんだよ。俺は自分の精神状態と体と内臓に向かってきっちり感謝してこの一杯を大事に飲んでいるんだ。

簡単じゃないんだ。

今日で最後なんだと思っていつも今日を過ごす。覚悟して朝外に出る。

簡単じゃないんだ。