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<「漢字の学習の大禁忌は作輟なり」・・・「作輟(サクテツ)」:やったりやらなかったりすること・・・>
・長らく中断しておりました「熟語の読み・一字訓読」シリーズを再開しています。
・223回からは、漢検漢字辞典第2版の内容を加味したり、調べる辞典の範囲を大字源・漢字源などまで拡大した内容にて、整理していきますので、初期のこのシリーズの記載内容とは濃淡・精粗があります・・・この回からのほうが内容が濃いと思います。お含み置きください・・・追って、初期の内容についても、内容を拡充していきたいとは考えています。
・なお、別の記事などにて、漢検2記載内容を踏まえた「熟語の読み・一字訓読、音訓整理」を案内したものもあり、一部重複しているかもしれません・・・この点もお含み置きください。
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●熟語の読み・一字訓読(その230)です。 ゴチック・太字は漢検2にも記載あり。
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<臀:デン、しり、そこ> *デン(慣用音)・・・他の辞書には他の音もあるが、気にしなくてok。ちなみに、大漢和では「トン、ドン、デン」。
・しり:
臀部=しりのあるあたい、しり。臀肉=しりの肉、臀杖=しりたたきの杖、臀癰(デンヨウ)=臀部に生ずる癰(ヨウ、はれもの)
・そこ:(「周礼」の中に)「其臀一寸・・・」=「其底、深、一寸也」という表現あり・・・「其臀(キデン)」とでも読むのか・・・。
<参考>「周礼(しゅらい)」・・・
「中国の礼に関する3種の古典、<周礼(しゅらい)><儀礼(ぎらい)><礼記(らいき)>の総称。<周礼>は<周官>ともいい、理想の官制をしるした行政法典。」(コトバンク)
「儒家の経典の一。六編。三礼の一。周公旦が制定した礼制を記録したものと伝えられるが、実際の成立は前漢の頃か。統一天下の理想的官制を、天官・地官・春官・夏官・秋官・冬官の六つに分類された三百余の官名について詳細に述べる。」(Weblio 辞書)
<臂:ヒ、うで、ひじ>
・うで:臂環=うでわ・手釧・臂釧(ヒセン)・腕釧(ワンセン)、臂使=臂指=自由に人を使うこと(臂のごとく指を使うこと)、
猿臂、攘臂
・ひじ:(“ひじ”は“邦語”らしいが該当しそうな熟語として・・・)臂筋=ひじのすじ、臂肘=ひじ=肘臂(チュウヒ)、臂臑(ヒドウ)=肩下の部分・かいな・肘と肩の間・肘と腕の間・・・「臑(ドウ)」読みについては「臑」の項、参照のこと・・・別の意味での他の音もあり・・・
*「うで」と「ひじ」・・・厳密な区分ななさそう・・・
「交臂屈膝(コウヒクッシツ)」=腕を組み膝を曲げる=降服すること
「把臂入林(ハヒニュウリン)」「錯臂左袵(サクヒサジン)」=腕を組み衣を左前にあてる=夷狄の風俗 「断臂投地」=ひじを断って地に投ず=(貞節を示した故事)
<膺:オウ、ヨウ、むね、う(ける)、ひきう(ける)> *オウ(呉音)~「オウ」音による熟語見当たらず。*「ひきう(ける)」~漢検2には訓読み掲載なし・・・。
・むね:
服膺、膺肺=心の中、胸中、膺門=馬の胸、膺庭=牛の胸前、膺腫(ヨウショウ)=胸の腫れる病気
・う(ける)、ひきう(ける膺受=うける、膺任=任に当たる、膺保=うけ保つ、膺命=命をうける
・う(つ):):
膺懲=打ちこらす
<臉:ケン、ほお、かお> *現行は「ケン」音のみ。ただし、「レン」音の熟語多し・・・。ここでは「レン」音熟語は参考まで。
・ほお:面臉、臉波(ケンパ)=清らかな目のような波
・かお:
花臉(カケン)、紅臉(コウケン)、臉面(注)、臉嫩(ケンドン)=顔面のふくよかなこと・面の皮の厚くないこと、臉前(ケンゼン)=面前・目前、臉頬(ケンキョウ)=顔、
(注)「臉面」:大漢和・字通ともに「レンメン」・・・他に、「臉色(レンショク)」=顔色(字通)、臉皮(レンピ)=面の皮、臉霞(レンカ)=顔の赤み(字通)
*「ケン」音も「レン」音も慣用音という説明なし・・・使い分けがよくわからないが、現行「ケン」音で訓んでも間違いにはならないと思う・・・。
<臑:ジ、ジュ、ドウ、やわ(らか)、に(る)、すね>
(漢検2:音熟語の掲載ナシ。掲載内容:「臑(すね)」「臑当(すねあて)」「臑噛り(すねかじり)」)
・漢検2では、意味欄に「①ヒツジやブタの前肢。うで。②やわらか。やわらかい。③に(煮)る。やわらかく煮る。④すね。ひざからくるぶしの間の部分。」との記載あるも、音による意味分けはなし。
・やわ(らか):臑若(ジュジャク・ジジャク)=肉が煮えただれる、一説に、肉の柔らかいさま
・に(る):臑羔:煮た子羊の肉(大辞典:ジコウ)、煮た子羊の柔らかい肉(漢字源:ジュコウ)
・すね:臑骨(ドウコツ)=すねの骨、熊臑(ユウドウ)=熊の前肢の柔らかい肉(漢字源)
*「臑(ドウ)」に“うで”の意もある模様。
臑骨(ドウコツ)=腕の骨・腕骨(大字源)、臂臑(ヒドウ)→「臂」の項で説明ずみ、臑折(ドウセツ)=ひじを折ったもの
・その他
「臑鼈(ジュベツ)」=肉のほじしと鼈 *この「臑(ジュ)」は“肉びしお”の意(=肉醯:ニクケイ)
<参考>大字源による、音による意味分け
①ジュ、ジ(漢音)=やわらかい
②ジ、ドウ=羊や豚の前足
③ダン・・・(略)
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