ガザの人々を殺すな!~パレスチナ犠牲者の名前掲げてデモ
8月3日、東京・新宿の新宿駅東口アルタ前で、「ガザの人々を殺すな!8.3 新宿デモ」(呼びかけ・実行委)が行われた。参加者は約600人。集まった人々は、プラカードや旗を掲げて駅周辺を練り歩き、ガザに対して一方的な攻撃を繰り返すイスラエル軍と、その大量殺りくを支える日本政府を厳しく糾弾した。
灼熱の太陽が容赦なく照りつける日曜の午後。アルタ前の狭いエリアが参加者で埋まった。集合時間の14時を過ぎると国富健治さん(反安保実)の司会で集会が始まった。「無差別大量虐殺で、すでに1600人を超える人々が殺されたと言われている。イスラエルの残虐な行為を絶対に許さない。ガザの人々の怒りと悲しみに応えよう。暑いなかがんばってデモをやり抜こう」。国富さんはこう呼びかけ、NPO法人・ヒューマンライツ・ナウの伊藤和子さんを紹介した。
「参加者に心から敬意を表します。この瞬間にも虐殺が継続されている。学校や病院への空爆は国際法違反だ。しかし日本を含む国際社会は、この非人道的な行為を許している。人殺しを即時止めろと声をあげ、毎日仲間を増やして、イスラエル政府を追い詰めていこう」。
奈良本栄佑さん(法政大教授)がマイクを握った。「依然として攻撃が続いている。これはメディアが宣伝するような『暴力の連鎖』ではない。圧倒的な軍事力を背景に、人口密度が高い所に爆弾の雨を降らせている」。「(ハマスが否定している生徒誘拐事件に関して)イスラエルは片っ端から容疑者を牢獄へ入れている。これはイスラエルが挑発して起こした、大量のなぶり殺しだ」。奈良本さんは怒りをあらわにした。
在日エジプト人の男性(写真)も駆けつけた。「私たちは国際的な人権侵害に抗議するためにやってきた。連帯を込めて参加した。虐殺はガザだけでなくレバノンにも行なわれたが、アラブおよび世界の人々は止めることができなかった。これまでの和平プロセスは実を結ばなかった。イスラエルに対抗したのはラテンアメリカだけ。エジプト政府も何もしなかった」。通訳を介した発言に参加者は大きな拍手を送った。
田浪亜央江さん(ミーダーン・写真)は、イスラエル国内におけるパレスチナ人への差別やヘイトスピーチについて語り、「レイシズムの高まりは日本と重なり、それを背景に今の攻撃がある」と指摘。「20年間この問題にかかわってきた。かつて中東は遠いと感じたが現在は日本が軍事協力をするほど近づいている」。「時代についてこれなかった。自分の言葉を回復して外に向かって発信したい」と語った。
「ノー・ジェノサイド」「ストップ・ザ・キル」――デモ隊は新宿通りを出発した。コースは新宿駅を8の字のように周回する。新宿通りから伊勢丹前を右折しさらに右折、中央通りへ。駅舎に近づく地点で突然警官が横並びに割り込み、デモ隊の行く手をふさいだ。参加者は抗議を続けるが、前のグループとの間が開いていく。警察によるこうした不当な妨害が何度か行なわれたが、それをはねのけながら力強いアピールを続けた。横長の白い紙には、犠牲になったパレスチナ人の名前が記されていた。
主催者は参加者の体調にも配慮。歩道に救護要員を配置するとともに給水車を用意。ペットボトルの飲料水を配るなど、熱中症対策をとった。「税金で人を殺すな、税金で戦争をするな」「無関心はもうやめよう、『他人事』はもうやめよう」「イスラエルは虐殺やめろ、ガザに自由を」。真夏の一日。新宿駅周辺に、怒りと正義のコールが響きわたった。(Y)