パヤオこと宮崎駿監督の、今度こそ本当に最後の作品?公開後は観た人の評価がけっこう分かれていると聞き、ちょっと怖くて行くのをためらっていたのだが思い切って見ることにした。
キャラクターは馴染んだデザイン、「千と千尋の神隠し」や「天空の城ラピュタ」あたりと非常にカブる。戦争で疎開する下りは「風立ちぬ」を連想させる。だがストーリーはシンプルなようで難解に感じられた。
一番気になるのは、主人公の敵のようであり最後は友となった「アオサギ」は何を表しているかと言う点か。きっと色々と登場する障害や人物、動物も、何らかの暗喩なのだろう。そこら辺の謎解きをするのが、宮崎作品をより深く楽しむコツではあるのだが、さて。
これは、単に冒険活劇と見るだけでは何となく物足りなく、内容を読み解くには一回ではとうてい無理で、低評価が付くのも仕方ないのかなと思った。そこら辺の解説が出たところで安易に手を出さず、自分でじっくり考えることこそファンとしての喜びなのだが。イチゲンの客にそれを求めるのは酷だ。
ところで本作のタイトルとなったのは、1937年に出版された、吉野源三郎による同名の小説で、その本は作中にも出てくる。だが本作の内容は、同署と直接リンクしてはいないと言う。パヤオさん紛らわしいことを…せっかくなので同書も読んでみようと思うが、あまりに古くて読み辛そうなので漫画版にしようか迷う。
2023年8月22日 川崎・チネチッタにて