原作が元アイドル・乃木坂46一期生である高山一実と言うことで注目された作品、なのだそうだ。スマン全然知らんかった。作品以前に高山一実を知らんのだからして。
過去にオーディション全落ちしたけどそれでもアイドルになりたい少女が、「戦略」を考えノートにまとめてゆき、それに従って行動し「仲間」を得てゆく。4人で行動してゆくうちTV局のアシスタントADの目に留まり、そこからはトントン拍子。少女の思い描いていたアイドルへ一直線…のはずが、ついてゆけなくなった仲間との間に不協和音が生じ、軌道に乗りかけていた活動は暗礁に。主人公は、仲間たちはどうなってゆくのか。「仲間」でなく「踏み台」の間違いじゃない?
主人公の少女はルックス良く強い意思を持つだけでなく、それに向けた準備を検討するアタマも持つ。その反動で、巻き込んだ周囲を思いやれず自分本位に突っ走ってしまい、ついて来られない仲間を非難する独善性が強い。「仲間」となった3人もそれぞれ個性豊かだが、何かしらトラウマを抱えている点で共通する。良い子が仲良く頑張って花開く、なんて甘っちょろいストーリーでないのは良い。
一方、4人のユニットが空中分解した後も(少し経ってからではあるが)友人としての関係性が保たれる点は理解し難い。年月が経ってからならともかく、作中せいぜい数か月の間にまた会って(ギクシャクにしろ)話ができるとは思えないのだが。下手すれば人生を狂わされた張本人など、一生顔を見たくないとなっても不思議ではなかろうに。この辺の「救い」にはホッとするが、甘いとも思えた。10年後の再会がハッピーエンドなのは仕方ないか。
Wikipediaによれば、「トラペジウム (英: Trapezium) は、オリオン大星雲中心部の星生成領域にある散開星団である。名称はラテン語で台形を意味する。 」とのこと、さらに「通常の望遠鏡では台形を形作る4つの星を確認できる。」ことから、作中の4人組「東西南北(仮)」をイメージしたことは間違いなかろう。
エンドロールを見ていて、原作者の高山一実と、同じく元乃木坂46一期生である西野七瀬の名前を見つけた。意外な役を演じているのにちょっと笑えた。
2024年5月15日 川崎・チネチッタにて