飲兵衛の酔写アルバムPartⅡ

毎週1回月曜日に更新します

熊野(ゆや)の長藤

2022-04-21 00:00:01 | 四季の草花

平安時代の末、都では平家が栄華を極めていた頃、
遠江の国・池田の庄に、花のように美しく優しい熊野(ゆや)という娘が
住んでいました。
遠江の国府・見付(現在の磐田市)に赴任して来た平宗盛に見初められた
熊野は、やがて宗盛と共に都へ上って行きました。

宗盛と幸せな日々を送っていた熊野御前のもとに、ある日、母の病の報せが
届きます。

いかにせん都の春も惜しけれど
      なれしあずまの花やちるらん

(都も離れがたいが、故郷で命をを散らそうとしている母が心配です)

熊野御前は京を離れ母の元に駆けつけましたが、母は間もなく息を引き取りました。
更に愛する宗盛の戦死と平家滅亡の報に接した熊野御前は、尼となりその生涯を
終えたと伝えられております。

 

 

4月17日(日)、
雨の合間にをぬって、熊野御前が祈りを捧げた庵跡の行興寺(磐田市池田)
を訪れました。
行興寺の庭には、母のために熊野御前が植えたと伝えられる藤の花が長い
花房をつけ、
庭一面に甘い藤の香が漂っていました。