米ブラックストーン、アジアでは印と日本に集中-来年のPE投資
谷口崇子、Lisa Du
2023年11月6日 10:34 JST 更新日時 2023年11月6日 12:15 JST ブルームバーグ
日本の注目セクターはITや消費関連、PE事業統括のバラッタ氏
投資金額は1件当たり3000億円超も、大企業の事業売却には強い関心
米投資ファンドのブラックストーン・グループは、2024年の同社のプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資について、アジアではインドや日本に案件が集中するとの見通しを明らかにした。
PE事業を統括するジョー・バラッタ氏は、ブルームバーグの取材に対し「インドは最も成長率が高く、最も活気のある市場だ」と指摘。「日本も市場として非常に興味深い。日本経済は、世界の他の地域で起きている現象と切り離されているように思えるからだ」と述べた。
PEファンドによる日本への投資を巡っては、欧州系EQTが「アジアで最優先の市場」と位置付け、今後2-3年内に30億ドル(約4500億円)を投じる方針。ここ2年ほど他のグローバルファンドと比べて日本へのPE投資を抑制していた世界最大級のオルタナティブ(代替)投資運用会社であるブラックストーンも同様の認識を示したことで、海外勢からの日本への関心の高さが改めて示された形だ。
バラッタ氏は、日本での注目セクターとしては、IT(情報技術)サービスやヘルスケア、旅行・レジャー、消費関連を挙げた。「日本企業のデジタル化に多くのビジネス機会があると思う」といい、IT分野に成長余地を見込む。また、日本の消費支出は堅調になってきているとみており、レジャーや消費関連も有望だとした。
投資規模は1件当たり3億ー20億ドル(約3000億円)を想定。場合によってはそれ以上もあり得るという。大企業の事業売却案件などには強い関心を持っているとした。「好ましい投資機会がなければ無理して投資する必要はない」とも述べ、厳選していく方針も示した。
日銀正常化でも「投資の意思決定に影響ない」
発表資料によると、ブラックストーンの直近の日本でのPE関連投資案件は22年、傘下のアリナミン製薬を通じたスキンケア商品製造販売を手掛ける悠香ホールディングスの買収。一方、ブルームバーグ・データによると、22年以降に米KKRは日立物流(7000億円弱)など6件、米ベイン・キャピタルはオリンパスの科学事業(4300億円弱)など8件、大型案件を含む積極投資をそれぞれ実施している。
バラッタ氏は21年夏以降、インフレや金利の先行きに対する不透明感が強まったことから、グローバルな投資方針がやや慎重になっていたと説明。一方、同社のパイプラインは同時期以降で最高水準に積み上がっているという。
また、PE投資は得られるリターンに比べて資金調達コストの割合が小さく「金利にそれほど敏感な市場ではない」として、日銀が大規模な金融緩和政策から正常化に向けて動いたとしても、投資の意思決定に影響を与えることはないとした。
1ドル=150円前後で推移する現在のドル高円安は、ブラックストーンによる日本への投資を後押しする可能性がある。バラッタ氏は円安という要素がないよりもあった方が、「より良いと感じるかもしれない」と述べた。
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(最終段落を追加し、円安に関するコメントを加えます)
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