【米国市況】株が急反落、インフレ期待上昇が響く-ドル148円台後半
Stephen Kirkland、Lu Wang (News)
2022年10月15日 6:21 JST Bloomberg
14日の米株式相場は急反落。米ミシガン大学消費者マインド指数で1年先のインフレ期待が7カ月ぶりに上向き、5-10年先のインフレ期待も小幅ながら上昇したことに反応し、大きく下落した。
ドルは主要通貨に対し全面高。円は一時1ドル=148円86銭に下落し、32年ぶりの安値を更新した。鈴木俊一財務相が「急速で一方的な動き」を指摘し、ドル・円が伸び悩む場面もあった。
米国株は急反落、インフレ期待上昇が響く-銀行の一部は上昇
米国債は下落、10年債利回りが4%を突破
円は1ドル=148円台後半、32年ぶり安値-ポンド安い
NY原油は急反落-週間でも下落、景気減速懸念で需要見通し悪化
金は続落、週間で7月以来の大幅安-タカ派政策継続の見通しで
S&P500種株価指数は前日比2.4%安の3583.07。ダウ工業株30種平均は403.89ドル(1.3%)安の29634.83ドル。ナスダック総合指数とナスダック100指数はそれぞれ3.1%低下した。
インフレ期待の上昇は米金融当局の懸念材料となり得る。前日には米消費者物価指数(CPI)コア指数が40年ぶりの大きな伸びとなったことが示された。
フェデレーテッド・エルメスのチーフ株式市場ストラテジスト、フィル・オーランド氏は「昨日の取引では見事な相場急反発が見られたが、それは完全に間違っていた」とコメント。「今朝の米消費者マインド指数はこのところの経済動向に整合しており、それを反映して株式相場は下げに転じた」と分析した。
ファースト・アメリカン・トラストのジェリー・ブラークマン最高投資責任者(CIO)は、米金融政策の先行きに関する手掛かりを得ようと「多くの投資家がインフレを注視している」と指摘。「しかしCPIや失業の統計を見る限り、経済が過熱しているのは明らかだ。インフレが落ち着くにはまだ時間がかかるだろう」と述べた。
JPモルガン・チェースやウェルズ・ファーゴは7-9月(第3四半期)決算発表後に株価が上昇。ユナイテッドヘルス・グループは業績見通し引き上げなどを追い風に買われた。
米国債市場ではニューヨーク時間午後4時18分現在、10年債利回りが7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の4.02%。2年債利回りは再び4.5%に迫った。
外国為替市場ではポンドが急落。クワーテング英財務相の更迭や法人税引き上げ凍結の撤回をきっかけに売りが膨らんだ。ドルは対円で続伸。ただ、鈴木財務相が円には「過去にないような急速で一方的な動き」がみられると声明で指摘し、ドル・円は伸び悩む展開となった。
鈴木財務相、円には「急速で一方的な動き」-NY市場でドル伸び悩む
主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.7%上昇。ニューヨーク時間午後4時18分現在、ドルは対円で1%高の1ドル=148円65銭。ユーロは対ドルで0.5%安の1ユーロ=0.9727ドル。ポンドは対ドルで1.3%安。一時1.5%安となった。
マネックス・ヨーロッパの外国為替アナリスト、サイモン・ハーベイ氏は「著名な英保守党議員がトラス首相に辞任を要求しているとうわさされる中、週末にかけてトレーダーが抱えるリスクは極めて大きい」とリポートで指摘。「首相退陣となれば将来的には経済と政治の基盤はより安定するはずだが、短期的な不安定さは対英投資と同国への信頼を阻害する一方だ」と述べた。
ニューヨーク原油先物相場は急反落。週間ベースでは7.6%下げ、前週の上昇分を一部失った。世界的なインフレ抑制の動きや中国での需要低迷を受けて相場見通しが悪化。主要産油国からの供給が減少する見通しを、こうした懸念が上回った。今週発表された米CPIコア指数が40年ぶりの高水準となり、金融当局は積極的な利上げを続けざるを得ないとの観測が高まった。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物11月限は、前日比3.50ドル(3.9%)安の1バレル=85.61ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント12月限は2.94ドル安の91.63ドル。
オアンダのシニアマーケットアナリスト、エド・モヤ氏は「原油需要に関する主な話題は全て、原油にとって非常に弱気なものになりつつある」と述べた。
また、ベタフィのエネルギー調査責任者、ステイシー・モリス氏は「先週の急上昇後、今週の原油相場はニュースで売れという流れに押された感がある」と指摘。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」の会合を受けて供給面はやや明確になったとし、「リセッション懸念とそれに関連する需要への影響が引き続き注目されるだろう」と語った。
金相場はドル高を受けて続落。今週はタカ派的な米金融政策が続くとの見通しを補強する経済指標が相次いだ。金スポット価格は週間ベースで7月以来の大幅安となった。
スポット相場はニューヨーク時間午後3時55分現在、前日比1.4%安の1オンス=1642.49ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は1.7%安の1648.90ドルで終了した。
サクソバンクの商品戦略責任者オーレ・ハンセン氏は、予想以上に堅調な雇用統計とインフレ圧力の強さを示す新たな指標が発表されたことから、米金融当局による方向転換のタイミングは先送りされ、「追加の大幅利上げを行う必要性とリスクを浮き彫りにした」と語った。
原題:Stocks Upended by Inflation Survey’s Sobering View: Markets Wrap(抜粋)
Pound Retreats Versus Dollar After U-Turn Rally: Inside G-10(抜粋)
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