米国株、ダウ続落し339ドル安 景気敏感株に売り ナスダックは「調整局面」入り
米国・欧州株概況2022年1月20日 6:47
【NQNニューヨーク=戸部実華】19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落し、前日比339ドル82セント(1.0%)安の3万5028ドル65セントで終えた。市場予想を上回る決算を発表した銘柄が買われてダウ平均は上昇して始まったが、買い一巡後は景気敏感株を中心に売られて下げに転じた。取引終了にかけて売りが強まる展開で、ほぼこの日の最安値で終えた。
前週発表の昨年12月の米小売売上高が前月比で減ったのを受け、米景気への強気の見方が後退しつつある。その中でインフレ加速に対応して米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急げば、景気の減速感が強まるとの懸念がくすぶっている。19日の米原油先物相場は連日で7年ぶりの高値を更新したのも、インフレ観測を招いた。
景気敏感株の下げが目立った。航空機のボーイングは4%、建機のキャタピラーは3%下げた。消費関連株も売られ、クレジットカードのアメリカン・エキスプレスやホームセンターのホーム・デポが安い。前日に発表した決算で1株利益が市場予想を下回った金融のゴールドマン・サックスも連日で売られた。
米長期金利は19日未明に1.90%と2年ぶりの高水準を付け、日中も1.8%台半ばで高止まりした。金利の先高観は続いており、株式相場には資金が入りにくい。長期金利が上昇すると相対的な割高感が意識されやすいハイテクなど高PER(株価収益率)株への売りも続いた。
スマートフォンのアップルは2%安、ダウ平均構成銘柄以外では電気自動車のテスラと半導体のエヌビディアは3%あまり下げた。半導体製造装置のアプライドマテリアルズが6%強下げるなど、半導体関連株は総崩れだった。
多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数が、長らく下値支持線になってきた100日移動平均を下回って終えた。チャート上の下値のメドが見えなくなり、一段と売りを誘った。投資家心理を測る指標となる米株の変動性指数(VIX)は前日比で5%高い23.85で終え、不安心理が高まった状態とされる20を上回る水準で推移した。
一方、好決算を発表した銘柄には個別に買いが入った。19日に発表した2021年10~12月期決算で1株利益と売上高が市場予想を上回った日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は3%高となり、医療保険のユナイテッドヘルス・グループも買われた。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続落し、前日比166.642ポイント(1.1%)安の1万4340.255で終えた。昨年11月に付けた過去最高値からの下落率は10.7%となった。高値から10%以上下げ場合に当てはまる「調整局面入り」した。