那須太社 錦輔 の日記

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1971年の悪霊 堀井憲一郎

2019-11-17 08:59:43 | 読書感想文

面白かった。

60年代、70年代の左翼運動を総括した本て読んだことがなく、この本も本格的に総括したものではないが、当時の象徴的な事象を取り上げて、著者の視点で解説してくれている。

左翼運動に取り組んだ人たち本人たちが、口を閉じ自己批判することから逃げているから、その少し後の世代の堀井氏があえて本を著したのではないだろうか?

岡林信康

フォークジャンボリー

高橋和己

パリ五月革命

等々、なんか気になるけど良く分からない、学生運動全盛期のいろいろな事象を明確に定義してくれている。

神田カルチェラタンの解説では、フランスの五月革命を見て格好良いな、と思った我が国の学生が真似してみたけど、共感する者もなくあっさり粉砕された空虚なイベント、みたいに書いてある。

ウッドストックとオルタモントが同じ年のイベント/ビートルズが解散してからストーンズの人気が出た等々知らなかった。

あと、共産主義・社会主義についての論評が面白かった。

P194.・・・「共産社会」は夢のようなユートピアである。人類がかつて持ったことのない社会であり、今後も残念ながら持つことのない社会である。仏教でいえば極楽になる。極楽は、地上に存在しない。ただ、極楽浄土があるという信念を抱くことが仏教信徒にとって大事なように、理想郷を示すのは、”人類は永遠に発展しつづけると信じる19世紀思想教徒”には大事だったのだろう。宗教に代わる概念として、がんばって考え出しました、という感じがしていて、そのへんは元気な19世紀らしくて、いいと思う。・・・

宗教の代わり、といわれるとわかりやすい。

著者の他の本も読んでみようかと思ったが、こういった社会評論はあまりやられてないようだった。


追記 11/30 鈴木敏夫/ジブリの哲学 を読んでいて思ったが、寺山修司という人も謎の60-70年代インテリ学生文化の1つだった。

若い頃、書籍の中でよく名前は目にしたが、その作品に触れる事はなかった。サブカルチャーの中で一時代を築きながら、完全に消えてしまったかのようだった。

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