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那須太社 錦輔 の日記

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みいちゃんと山田さん 

2025-07-23 23:14:19 | 読書感想文

「みいちゃんと山田さん」という漫画を読んでいるのだが、主人公のみいちゃんが可哀そうでならない。

少し知的障害がある女性で生活はできるのだが他人とうまくやっていく事ができず、子供のころ親が普通の学級に通わせたため、おちこぼれて登校拒否してしまって読み書きなどの基本的な教育を身につけていない。

周囲から酷い事され続けて、故郷をでて東京でキャバクラ勤めをしているのだが、そこでも周囲となじめず同僚や店員、お客さんなどからお金や性的な搾取をされ続けている。

国民保険や年金のことも分からないし加入しておらず、DV男に奪われてまとまったお金は持っていない。出費が必要になれば大久保で立ちんぼをする。

わずかに救いなのは同僚のキャバ嬢で狂言回しの山田さんが、みいちゃんの事を気にかけて距離をおきながら何かと手を差し伸べている事と、みいちゃんが知的障害があって天然なので自分の境遇を深く気に病んでおらず時には小さな喜びを感じられている事、それから一緒に故郷をでてきたやはり少し知的障害があるおさななじみの友達が東京にいることくらいだ。

自分は人付き合いがほとんどないので分からないのだが、こういう人って結構いるのではないだろうか?

どうすればみいちゃんのような子がこんなつらい生活をしないですむようになるのだろう?

読み続けるのが辛くてやっと既刊3冊を読み終えたが、どこかに吐き出したくてこのブログに書いてみた。

 

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七帝柔道記 増田俊也

2025-07-05 21:05:09 | 読書感想文

北海タイムス物語が面白かったので、同じ作者の作品を探して読んだのだがこちらも面白かった。

北海タイムス物語は前半の主人公がヘタレすぎてイラッとしたが、こちらはそういう演出的な展開はなされず終始一貫バンカラな主人公像であっという間に読めた。

主人公たち新入生が旧制高校時代の応援歌を覚えさせられ、それが好きになる描写があって良いなと思った。

歌の歌詞が昔の言葉なのだが品格があって良い。

大木敦夫の「戦友別杯の歌」を思い出した。

私も昔大学で小さな体育会系クラブに入って、やはり新入生歓迎会のために校歌と応援歌を覚えさせられた事があって、いい歳になってから何かの拍子にふと、その歌が頭に浮かんで来ることがある。

ただ、気になったのは主人公が柔道をやるために北海道大学に入学した、と言い切ってほとんど授業に出ずに柔道の練習に専念している描写がなされているが、それってプロみたいなもんでおかしくないかと思った。

先輩たちは勉強もして、資格を取ったり就職したりしているようだし、ライバル校の選手も同様なのではないだろうか。

勉強しつつ部活に取り組む人と、24時間部活のみに取り組んでいる人では成果もかわってくるだろう。

七帝柔道と言うのはプロもないし、テレビ等でも放送されないし(多分)、スポーツ推薦入学もないようで、商業化されていないので問題にならないようだが、学生のスポーツ活動としては増田さんのような取り組みはフェアではないと思う。

Google Mapを開いてでてくる地名を時々検索して確認しながら読んでいたのだが、ちょっと北海道、札幌に行きたくなった。どころか住んでみたいな、と思った。

 

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街道をゆく 南蛮のみちⅡ 司馬遼太郎

2025-04-06 15:38:14 | 読書感想文

やはり普通の紀行文より知識が詰まっていて面白いのだが、司馬さん特有の無駄な饒舌さというか、その場限りのレトリックが多かった。

特に我が国日本を語るとき、やたらと謙譲しすぎるというか、下に見て語るところが気になった。

以前からなぜポルトガルはスペインと別の国なのだろうかと思っていて、司馬さんは何かおっしゃっているかなと思ったが、同じように疑問をもっていたらしいが、結局明確な答えにはたどり着けなかったという事だった。

ローマ帝国時代にはローマの属国であり、その後はゲルマン系のゴート族の支配下にはいり、八世紀初頭に西ゴート王国が滅ぶとイスラム帝国の支配をうけた。

そして、八百年の支配ののちにレコンキスタに成功しキリスト教勢力がイスラムを破って国土を再征服した。

とこれがイベリア半島の支配者の流れなのだが、ポルトガルの方が国土回復がかなり早かったらしいのだが(スペインは十五世紀末、ポルトガルは十三世紀)、それも不思議だ。ポルトガル勢力が「我々はここまで」のように線を引いて進撃を止めたのだろうか?

司馬さんによると、スペインはフランスと近いが、ポルトガルはイギリスと近しいらしいが、それも何か関係したのだろうか?確かにポルトガルはヨーロッパの西端でフランスとの間にはピレネー山脈があって陸上の往来は大変そうだ。

スペインも元々は複数の王国に分かれていて確かレコンキスタの最中に婚姻によって一つの国にまとまったのだったと思うが、なぜポルトガルだけはそうならず別の国として存在し続けたのだろう?スペインとポルトガルの間には大きな山脈のような地理的に両国を分断させるものはない、ということなので不思議である。

言語もスペイン語とポルトガル語で分かれていて、どれほどの違いなのかは分からないがポルトガルとは不思議な国だ。

あと、エンリケ航海王の母がイギリスから嫁いできた人で、イギリス人はエンリケ(英語読みヘンリー)はイギリス人だといってるとか、イエズス会はポルトガル王ジョアン三世のお抱え団体であったとか雑学が面白かった。

 

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成瀬は天下を取りにいく

2024-12-28 12:16:25 | 読書感想文

子供のころ、この小説の舞台である膳所に短期間住んでいたことがある。

幼い頃のことで割とすぐ引っ越してしまったため膳所の事はほとんど覚えていないが、その後の引っ越し先が結構近かったので西武大津店がオープンした際には親に連れられて行ったおぼえがある。

西武百貨店の創業者である堤さんが滋賀県出身だから大津にお店を出さはったんやで、みたいなことを親が言っていた。今検索すると西武百貨店大津店が開業したのは1976年の6月のことで、2020年8月31日に閉店しているからもう50年近く前の記憶だ。

この本は実家の最寄り駅の駅前書店で平積みされていて、表紙の少女のイラストがキリッとしていて良いなと思って買おうかと思ったのだが、最近本を読めなくなっているためあきらめた。

だけど軽い小説なら良いだろうと「怪物の木こり」という文庫本を買ったらかなりつまらなくて、もうライトノベルを買うのは止めようと思っていたのだが、この本はネットで評判が良いみたいなので図書館で予約してみた。

人気があるので順番待ちになりやっと最近貸し出してもらえた。

本を読むことが出来なくなっているので正月休み中に読めたら良いなと思っていたのだが、この本は割と楽にすぐ読みとおすことができた。

それほど劇的なストーリー展開があるわけではなく膳所の地元ローカル色濃厚な6つのエピソードからなるオムニバス形式で最後にうまく複数の物語が収斂されている。漫才のM1とか「いろはかるた」とかの流行り?が取り入れられている。破綻がなく作者はかなり頭の良い人なんだろうなと思った。

成瀬という主人公の造形が面白く、普通だったら男がやりそうなことを女がやっているのが面白い。

細かなところでは、主人公の少女成瀬がびっくりドンキーで子供のころから同じメニューしか頼んだことがない、という設定が可笑しかった。

ただ、レッツゴーミシガンというエピソードで成瀬に一目ぼれする男子高校生が出て来るのだが、フワフワしていてなんか恋する少女っぽくて、そんな男子高校生いるか?やっぱり女性作家だから男の子を書いても中身は女の子になるな、と感じてこのエピソードだけはなんか違和感があった。

成瀬が女の子っぽくないさばさばしたキャラなのでストーリーも恋愛要素が入らず進んでいたところに、男子高校生目線で恋愛エピソードを挿入したのは、成瀬のそのさばさばしたところを描写したかったのではないかと思うが、男子高校生の友人が恋愛応援する筋立ても含めて嘘っぽいというか女の子っぽくて、このエピソードだけ読むのが少し苦痛だった。

続編も出版されているのでまたお借りして読んでみたい。

 

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同志少女よ、敵を撃て

2024-07-03 23:02:04 | 読書感想文

案外しっかりした小説だな、と読み始めて思った。

最初の方の訓練シーンとか、作者が狙撃兵のことを良く知っているんだなあ、と感心した。

軍事オタクのようにやたらと蘊蓄を並べるのではなく、最小限の情報で狙撃兵の育成とはどういうものなのかが描かれていて、これは凄い小説かも、と思った。

だが、だんだんそうでもないか、という気持ちが強くなった。

女性が女性言葉をしゃべるのが違和感。「〇〇だわ」、「〇〇なのよ」、兵士であり軍隊なので実際はもっと荒っぽい喋り方になるのではないか。今時の女性が使わない女性言葉に違和感があった。

女言葉を使うのが時代を感じさせるため、だとしたら、もっと古風な話し言葉を使えばよかったと思う。

あと、作者がもろにリベラルな進歩的文化人的価値感を持っているように思えて、そこが好きになれない。

満州国のことは傀儡国家の一言で片づけているし、ユダヤ人虐殺についても途方もない犠牲者数を上げてナチスドイツの罪としており、主人公がソ連人だからということを差し引いても、戦勝国側の価値観で第二次大戦を評価しているらしい文章が随所に現れる。

戦争で犠牲になる女性、についても描かれるが、だったら男性主体の軍隊の中の女性兵士の生活をもっと描けばいいと思うのだがそれはない。

あと主人公たちが若い女性だからって、生理のことを中途半端に言及しているのも鬱陶しい。

作者は男性だと思うが、結局生理の事なんて男にはしっかり理解できないのだから、ほうっておけばいいのにちょっと書いてしまっている。

逆に誰だったか忘れたが、女性作家が少年の精通だったか夢精だったかの事を書いていて、分かってないのに書く必要あるか?と思ったことがあるが本作でも同じように思った。

結論としては、読書をあまり楽しめなかった。

比べる事がおかしいが、ソ連、赤軍ときたら、ショーロホフの「大いなるドン」がやはり私のとっては最高の作品である。

 

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