後半、彼のボリビアでの彷徨があまりにも悲惨。
飲み水、食べ物にことかく目的地のない行軍。
もっと華々しい活躍をした人だと思っていた。
しかし、そのさなかで
P273「それは人間の最高の姿である革命家に到達し、人間として熟達するための試練なのだ」
と部下たちに訓示している。
また耐えられないものは離脱してかまわない、と言い渡したがキューバ人の部下は全員チェと行動を共にする、と誓った。
著者はもちろん心情的にチェを応援しているのだが、右派の人物もかなりフェアに描いているのではないかと思う。
右派政権を必ず「〇〇軍政」としてはいるが。
また1か所かなり恐ろしい表現もある。
P276「隊内の弱い輪だったボリビア人四人を早い段階で処罰しなかった優柔不断、ないし人道主義が取り返しのつかない禍を招いた」
革命至上主義というか、他国の実情を鑑みないで自分たち流の革命を敷衍していこうとする硬直性・直情的なところは日本の学生運動家・過激派(連合赤軍等)に似ていると思った。
またチェは元々共産主義者ではなく、革命~と唱えているがそれは正義感からくる反米主義、米国の傀儡となっている政権に対する反感であった。
米国、ソ連の両陣営とは異なる第三世界の勢力を糾合しようとしたがかなわかった。
盟友カストロは、米国に潰されないためにキューバをソ連よりに導いていく。チェがソ連批判を繰り返すためソ連はカストロにチェを指導部から外すよう指示する。
元々アルゼンチン人であるチェは空気を読んでキューバを離れコンゴへ、そしてボリビアへと「革命」の拡散のための戦いに臨む。。
おそらくは純粋で善良な男だったのだろう。キューバから彼に付き従ってきた数十人の兵士たちは最後まで離れようとせず、殆どが殺される。
チェ・ゲバラの事、ほとんど知らなかったのだが、入門編としては、左右に偏らず、感情的にもならずで、良い本だったかなと思う。
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