今一つだった。
後書きとかWebの書評を読んで、単なる娯楽ミステリではなく文学的な要素のある小説かと思っていたが、ロス・マクドナルド系のハードボイルド・娯楽ミステリだった。
確かにサクサク読み進められる。でも読み終わって思い返すと色々つじつまが合わないな、と思ってしまう。
ネタばれになるのですが、
主人公は人を殺したのに名家の跡継ぎ、ということで罪をもみ消し都会に逃げた、という設定であり、地元に帰ってきた主人公を皆が嫌うが、最後に種明かしされたあとでは、主人公がそんなに嫌われるのオカシイような気がする。だって##さんが¥¥のためにXXしただけで、主人公はかなりのナイスガイとして描かれているのだから、皆が¥¥のいう事を鵜呑みにして誰もかばわないのはオカシイ。
主人公がこれほど嫌われる訳が分からない、というかつじつまが合わない。
ロス・マクドナルドが陥ったのと同様、つじつまあわせのパズル小説になっている。
心に傷を負った孤高の男が愛する者を守るため汚れた街を一人行く、みたいな男向けのハーレクイーンロマンス=通俗ハードボイルドの定型にドッカリ乗っかった、読んでる間だけ面白い小説だと言わざるを得ないのである。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます