楽茶碗の展覧会は1998年「楽茶碗の400年伝統と創造」展もありました。その時に展覧会の図録を買ったので、今回の展覧会はパスしようかと思ってました。
しかし、久しぶりの陽気に誘われて出かけました。
会場は驚くべき暗さです。その中にガラスケースに入れられた茶碗がぼんやりと浮かび上がっています。
次第に目が慣れてきたのか暗さはだんだん気にならなく茶碗が良く見えてきました。
長次郎の茶碗がなんと14碗も・・・こんなに沢山長次郎の茶碗を一気に見たのは初めてです。感激!
長次郎、2代常慶くらいまでは黒も赤も小ぶりで、かせた感じです。内側は散々使われたと感じられる茶浸みで変色しています。きっと利休様もこのお茶碗でお茶を頂かれたことでしょう・・ロマンを感じます。
3代の道入から光沢あるものや、シンプルな山形のような模様の付いたものが現れます。
「青山」という銘の黒楽は美しく、新品のようでした。道入の茶碗も10碗でています。
常慶や道入に指導を受けた本阿弥光悦の茶碗も6碗。
以後各代の方の作品がずらっと・・模様のあるもの、ヘギメを付けたもの、印をたくさん表面に押したもの、貫入のあるものなど、また、赤楽でも薄い赤、濃い赤と微妙に色が違います。
11代慶入の茶碗「潮干」は見込みに小さな貝を貼り付けた白楽です。遊び心を感じます。
14代覚入の赤楽平茶碗「紗衣」は緑色も入った幾何学模様のある美しい茶碗です。
最後に当代吉左衛門の焼貫のずっしりとした岩のようなごつい茶碗が30点以上も展示されていました。同じく焼貫の水指や茶入れもありました。
焼貫の水指・茶碗・茶入れを揃えて設える展示もありましたが、結構調和がとれて斬新な道具組になっていました。
茶碗の銘は漢詩からとった四文字のものが多く、これも今までになかった趣向です。焼貫の物は「用の美」でなく芸術作品。
「私が生きている間に、これほどの展覧会は二度とできない」と15代楽吉左衛門氏が書かれているよう、今回の展覧会は見事でした。