白雲去来

蜷川正大の日々是口実

移民政策には反対です。

2014-04-30 16:23:17 | インポート

四月二十七日(日)晴れ。

週刊新潮の五月一日号の数学者、藤原正彦さんのコラム「管言妄語」が出色である。「西欧の壮大な失敗」と題した文章は、東北復興や東京オリンピックがらみで、労働力の不足から、政府は外国人労働者の大幅受け入れ拡大を決めたことを痛烈に批判している。要点を挙げると、

①、単純労働者の移入は、国内の非熟練労働者の職をいずれ奪うことになる。そうならないために、また人権上の見地から移民に対する労働条件や社会保障を整えようとすれば、財政負担が増える。

②、彼らの滞在が長引けば家族を呼び寄せ、住宅問題や、日本語の出来ない子供たちが通う学校の問題もある。

③、稼いだ金の多くは本国に送金するから、経済の活性化にはつながらない。また日本の労働者の賃金も需要と供給の関係で低下するのでデフレ要因となる。

④、ヨーロッパに例をとっても、移民は、やがて家族を呼び寄せ、様々な手段を用いて帰国せずに定着した。言語、宗教、習慣などの違いから特定地域に固まる。景気が悪くなればまっさきにクビになるから社会的底辺層を形成し、居住地はスラム化し犯罪も多くなる。

差別への鬱憤から、2005年のロンドン同時爆破やパリ郊外暴動など大規模な騒乱を起こしたことは記憶に新しい。ドイツのメルケル首相はじめ各国の首脳が、これまでの移民政策は「誤り」とほぼ異口同音に言っている。移民を受け入れることよりも、現在、260万人の完全失業者や1900万人の非正規雇用者への対策が必要。その人たちに適正な賃金さへ支払えば若者を中心として多くが土木建設業や介護に向かうだろう。結果、安心して結婚して子育てにも取り組めるので少子化へのブレーキにもなる。藤原氏は、「移民政策」とは、とどのつまり、財界主導の「経費節減対策」とまで言っている。まだ書店にあるのなら、是非、ご一読をお願いしたい。

夕方に、家族で松原商店街へ夕食の買い物。割合に良い「カツオ」があったので即購入。夜が待ちどおしい私でした。


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山寺(さんじ)春を尋ぬれば春寂寥・・・か。

2014-04-30 11:18:42 | インポート

四月二十六日(土)晴れ。

東北の桜の名所である弘前城の桜が開花したとニュースで知った。弘前城には一度訪れたことがあるが、残念ながら桜の季節ではなかった。

桜の名所と言えば何と言っても奈良の吉野山。五万本と言われている吉野の山の桜は下の千本から咲き出し、中の千本、上の千本と順に咲揃う。いつの日か、後醍醐天皇の御陵「延元陵」やその下にある如意輪寺でも訪ねながら桜でも愛でてみたいものだ。この吉野の桜や延元陵、如意輪寺などを詠んだのが藤井竹外の「吉野懐古」。好きな詩である。

古陵の松柏天飃(てんびょう)に吼ゆ

山寺(さんじ)春を尋ぬれば春寂寥

眉雪(びせつ)の老僧時に箒を輟(とど)め

落花深き処南朝を説く

古い御陵の松などは吹きすさぶ疾風に唸り声をあげている。その下にある山寺に春をたずねると、花は風に散ってしまい、春はうらさびしい。眉毛の真っ白な老僧が庭を掃いていたが、その手を休めて、落花の積もった庭で南朝の物語を話してくれた。(駒田信二訳)

藤井 竹外は、幕末の漢詩人で、その飄逸(ひょういつ・人事や世間のことを気にしないで明るく呑気なさま)で疎放(そほう・おおらかで、荒っぽく、しまりがない)ゆえ酔士とも号した。高槻藩の武士の家に生まれ詩を頼山陽に学び、七言絶句を得意とすることから「絶句竹外」と称された。梁川星巌、広瀬淡窓らとも親交があった。詩集に『竹外二十八字詩』などがある。晩年は京都に隠居し、詩酒に耽る生活を送った。「詩酒に耽る」だけで生活ができるのだから、実に羨ましい限りである。

蜷川正大は、昭和から平成にかけての酔っぱらいで、道の兄であった元楯の会の故阿部勉より、「五人(ごじん)、五乱」には遠く及ばない凡人と称された。野村秋介を師とし思想を学ぶが凡庸(ぼんよう・すぐれたことがないこと)で愚鈍(ぐどん・頭の働きが悪くすることも間が抜けていること)。くわえて風狂(ふうきょう・常軌を逸していること)の人。何もなさず、何もなしえず、酒食の日々を送ることから、酔狂と号す。

因みに「五人」とは、「奇人・変人・狂人・ルンペン・不良」で、五乱とは「酒乱・淫乱・錯乱・貧乱・風乱」のこと。「貧乱」は文字通り貧乏しても働かず、国事を論じている人。「風乱」は、一度出かけると、いつ帰ってくるか分からないことを言う。すべてをクリアして真の浪人と阿部さんは言っていた。その昔、友人の長谷川光良氏が、奥方から「まつたくアンタは、一度出かけるといつ帰ってくるか分からないので、電話ぐらい入れなさい」と言われたそうだ。すると長谷川氏は、「馬鹿もん。いちいち連絡なんかしていられるか。懲役でも行ったらどうするんだ」と答えると、奥方曰く、「その方が居場所がはっきりして良い」。彼こそ「風乱」の人である。

新潟の社友である山田喜一氏より、様々な山菜をご恵送頂いた。おしたし、ナムル、てんぷらにして我が酔狂亭にて季節を味わいつつ月下独酌。


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帰りなんいざ。

2014-04-30 09:32:09 | インポート

四月二十五日(金)晴れ。

中国の晋の時代の詩人の陶淵明が彭沢(ほうたく)県の長官をしていたとき、若い上役が視察に来るから礼服で出迎えよと言われたのに対して、陶淵明は「我、豈(あに)、五斗米の為に腰を折りて郷里の小児に向かわんや」(わずかな俸禄の為に人の機嫌を取るのは嫌だ)と言って即日、職を辞した。そしてこの時に有名な「帰去来の辞並びに序」を作った。

帰去来辞の冒頭の 「歸去來兮」を「帰りなんいざ」と訳したのは菅原道真。引退するときの心境を読んだものとして有名だが、陶淵明の「飲酒二十首」と共に最も人口に膾炙されている漢詩であろう。

なぜこんなことを書いたかと言えば、古い友人でもあり、同志でもある平澤次郎先生から、先日、貴重な資料や本がどさっと送られてきた。「北一輝著作集」(全三巻)や「現代史資料・国家主義運動」(二巻)、権藤成卿の「自治民範」など、民族派はもとより国家主義運動の研究者にとっては正に垂涎の書であろう。かねてより平澤先生が古稀を機会に田園に居する、ということを聞いていた。そのための身辺整理と思うが、その書籍や資料の移転先に私を選んで頂いたことは光栄の至りである。

過日も、亡くなられた小早川貞夫先生宅の蔵書の整理を依頼された。本当に驚く量で、とてもすべての蔵書や雑誌の類を私の会社の書庫に移すことは物理的に不可能なので、政治思想に関するものだけを頂いてきたが、それでも段ボール箱に十箱もあった。正直言って、我々に限らず、どんな研究者や趣味の人であっても、ほとんどが一代限り。亡くなってしまえば、その人たちが集めた本や資料などは、正に紙くず同然である。近頃流行のブツクオフなどでは、まず古書や政治思想に関する書籍などは引き取ってはくれない。

私の先輩が、ある事情があって事務所を閉鎖し、その際に事務所にある蔵書を整理しようと思って、古書店に連絡し、見積もりをして貰った。幾らぐらいになるかと期待したら、反対に引き取り料を請求されたと、愕然としていた。私が持っている「大川周明全集」や玄洋社関係の書籍、民族派関係の書籍も興味のない人にとっては雑本の類と一緒にされてしまう。

実現が可能かどうかわからないが(ほとんど無理だと思うが)民族派関係の書籍や資料を集めた「大宅文庫」みたいなものを作ってみたい。それが不可能ならば、蔵書を一覧表にしてデータ-化する。それをインターネットで公開して役に立てたいと思っている。先は短い。ぼやぼやしてはいられない。

P1000174 ※ご恵送頂いた書籍。

夜は、久しぶりに山崎雅夫氏、佐伯かめちゃんと待ち合わせて藤棚の「やまと」へ。山崎氏、退職して日々暇を持て余しているとのことだが、釣りでも教えようかな。その後「一休」へ転戦して帰宅。


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オバマあれま、オバマ遊園地~。

2014-04-27 11:36:19 | インポート

四月二十四日(木)晴れ。

オバマの来日の一番の焦点は、尖閣諸島が日米安全保障の適応対象であるという言質を取ることであるらしい。サムライの子孫である日本人が、かつての戦争当事国であり、各都市への無差別攻撃、原爆で日本人を虐殺した相手に、頭を下げて日本の領土の防衛を頼まなければならないとは、情けない話ではないか。オバマが「尖閣諸島が日米安全保障の適応対象」と言ったからと言って、アメリカが本当に尖閣を守ると思っている人がいるとしたら、全くの平和ボケと言わざるを得ない。私は、今回のオバマ来日で、ある故事を思い出した。豊臣家滅亡の故事である。

秀吉は、晩年に生まれた息子、秀頼を溺愛した。諸大名に幼い秀頼に忠誠を誓わせるために「誓書」を提出させたと言われている。溺愛するあまりわずか六歳にして従二位権中納言に叙任(位に叙して官に任ずること)させた。また秀吉は死の直前にも、家康、前田利家ら五大老と石田三成、浅野長政ら五奉行などから誓詞を取り、遺言状にも息子秀頼の行く末を頼んだ。しかし、元和元年(一六一五)の夏の陣で敗れ、生母である淀殿とともに、大阪城内で自刃して果てる。二十三歳であった。約束なんて、野望の前には単に紙切れ。

オバマの「言質」など、中国の覇権主義、侵略の野望に何の保証もないことを歴史が証明している。フォークランド紛争の時にイギリスは他の国を頼ったか。日本は、日本人自らが守るという気概を見せなければ尖閣どころか沖縄だって危ない。政治家が能天気ではどうしようもない。

ご近所さんから、とても大きな筍を頂いた。こういったものを頂くと、単に食べ物というよりも季節を頂くと言う感じがする。四季のある日本に生まれて良かったと思うのはこんな時である。

筍は時間との勝負。幸いに糠も一緒に頂いたので早速、筍を洗い、余分な皮をはいで茹でた。約一時間、そのまま冷まして水を張ったタッパーに入れて保存。当然夜は筍尽くしの料理。まず油揚げと白滝に筍を入れた炊き込みご飯。私が好きなのは、筍の唐揚げ。醤油、酒、生姜のつゆに筍を三十分ぐらい漬けて置き、小麦粉を絡めて揚げる。筍は茹でてあるので、高めの温度の油でさっと揚げる。もう一品は、わかめを入れた「若竹煮」。ラッキーな夜だった。オバマさんには分かるめぇなー旬の筍のえぐみと歯ざわりは。酔ったついでに歌でも歌うか。オバマあれま、オバマ遊園地~。


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まっ難しいことは後回しにして、まず一献。

2014-04-24 11:40:38 | インポート

四月二十三日(水)晴れ。

スーパーの鮮魚のコーナーに行くと、つい買ってしまう魚がある。アコウダイの粕漬け、メヌケの粕漬け、柳カレイの干物である。粕漬けは我が家では私以外は食べない。柳カレイもあまり人気がない。だからその魚たちはいつも私が独占している。カツオもそうだ。

私は、美味そうな肴を見ると一杯飲みたくなる。酒があって肴があるのではなく、まず肴から酒がイメージされるのである。従って、男性でも女性でも、良く食べ、良く飲む人が好きだ。酒を美味しく飲むために健康に気をつけている。

以前に、かかりつけの医者から「酒を控えろ」と言われたので、「酒を飲みたいから健康に気を遣い、こうして医者にも来る。酒が飲めなくなったなら、病院には来ない。と言ったら、呆れられた。競輪や競馬、麻雀、ゴルフと言ったことをしない私の趣味と言えば、酒と食以外にない。ただ飲んだり食べたりするのではなく、酒と食に関する本も好きだ。知らぬ他国を流れ流れて・・・。その土地の旨い物を食べながら酒を飲む。現実にそんなことが出来ないから酒と食に関する本を読む。考えてみれば、いや考えなくともアホな人生かも知れない。

オバマさんが来日した。何でも、日本での最初の夜は、安倍さんと「数寄屋橋ジロー」で食事とのこと。実に羨ましい限りである。でもそういった高級店では私のようにダラダラと飲む客は嫌われるだろうから、敷居を跨がない。寿司屋も邪道だが、肴をつまみながら飲むのが好きだ。当然、高級店では、居酒屋ではないと嫌がられる。

TPPを交換条件にして尖閣の防衛のお墨付きを貰いたいとか。情けない話ではないか。尖閣で中国が露骨な挑発を繰り返すならば、日本は当然防衛行動に出る。戦も辞さない。その時に同盟国であるアメリカが、しり込みしたり、知らぬ顔をしたら、アメリカの信用は地に落ちますよ。同盟国を見捨てたと。これくらいのことを安倍さんも言って欲しいね。

今夜は、TPPと日米関係、集団的自衛権、シリア問題を真剣に考えつつ、そごうの地下の魚屋で仕入れた特上のカツオと、冷奴を「三岳」で味わおう。まっ難しいことは後回しにして。まず一献。

コメント (1)
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