白雲去来

蜷川正大の日々是口実

われに憤怒 あれども涼し紺朝顔

2024-08-25 18:30:56 | 日記

8月23日(金)晴れ。

毎年、群青の会の大熊雄次さんから朝顔の鉢植えを送って頂く。朝、玄関に新聞を取りに行く時に、今日はどのくらい咲いているのか。と楽しみにしている。今年は、暑すぎるのか、置いている場所が良くないのか、例年ほど花を咲かさない。野村先生の獄中句集『銀河蒼茫』の中に「8月15日、一句」と題して「われに憤怒 あれども涼し紺朝顔」というものがある。終戦の日に先生に去来した「憤怒」とはどんなものだったのだろうか。紺色の朝顔を見るたびに、先生のその句のことが浮かぶ。

朝顔には、忘れられない思い出がある。盟友でもあり、同志でもあった折本満さんのこと。彼が、今から8年前の9月20日にすい臓癌で亡くなられた。64歳だった。折本さんが、すい臓がんを患って入院手術した折に幾度か彼を見舞い、退院した時は、友人らと「激励会」を行い、何とか元気な体に戻ってほしいと願ったが、薬石の効なく、亡くなられた。奥さんから、「余命二三ヶ月」ということを聞いた時は、ショックだった。最後に大熊雄次氏と一緒に、自宅に彼を見舞ったのは、亡くなられる一月ほど前の8月4日のこと。すっかり痩せてしまい、一回りも小さくなった姿を見て、不覚にも落涙してしまった。

折本さんの寝ているベッドから見えるベランダに、大熊氏が送った朝顔の鉢植えが置いてあった。奥さんが、折本が、毎朝目を覚ますと、「ああ今日は沢山咲いている。昨日は、一つだけだ」と、いつも楽しみに見ています。と話をした時に、彼の手を握って、声を上げて泣きたかった。このお見舞いから一月余りが過ぎた9月の20日の正午過ぎに、折本さんの奥さんより電話が入り、午前中に折本さんが家族に見守られながら、眠るように息を引き取ったと、連絡を頂いた。折本さんは、亡くなられた日の朝も朝顔を見たのだろうか・・・。来月は彼のご命日。今朝も、紺朝顔を見て、折本さんを想った。

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