白雲去来

蜷川正大の日々是口実

虫の声さえ聞こえない。

2024-09-04 15:02:08 | 日記

9月2日(月)晴れ。

昨日大して飲んでいないのに、やや二日酔い気味である。七時過ぎに寝てしまい、深夜の一時半ごろに目が覚めてしまった。なんとなく野村先生の獄中句集『銀河蒼茫』の「秋の部」に目を通す。こういう文章があった。

某月某日 晴 いまが虫時雨のもっとも盛んな頃なのだろう。毎夜毎夜の虫の声が実に綺麗だ。娑婆は近代化が進んで最近では虫も棲めないと仄聞してる。そこえゆくとここは別天地だ。外界から隔絶された長期刑務所の奥の奥の虫時雨、なんとまあ風流な話じゃないか。昨夜もその虫の声で何度も目が覚めた。その都度、リンリンと鳴き澄ます虫時雨の激しさに驚かされたものである。そして眠られぬままに私はこんな句を詠んだ。みたび目覚めみたび激しき虫時雨。「某月某日」とあるが、恐らく昭和40年の中程であると思う。

昭和の40年代くらいまでは、確かに虫の声が聞こえた。当時はボロアパートの二階に住んでいたが、夜になると虫の声に耳を澄ませたものだ。夕方に道を歩いていても、道路の草の中から虫の鳴く声が聞こえた。しかし、今では、我が陋屋の周りは、舗装されているので虫の住処はない。夏には、蝉の声がうるさいと感じることもまれにあるが、可哀そうに電柱や家の壁にしがみついている。都会では小さな命の虫さえも住めなくなったのか。

幾らか涼しくなったのか、大熊雄次さんから送って貰った朝顔が、ここのところ見事な花を咲かせている。そろそろ終わりが近づいているので最後の力を振り絞って楽しませてくれているのだろうか。朝刊を取りに行くのが楽しくなった。

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