白雲去来

蜷川正大の日々是口実

お前、ホントに秋刀魚なの。

2024-08-23 13:58:13 | 日記

8月21日('水)晴れ。

そういえば、スーパーに行ったら「秋刀魚」が並んでいた。二匹で580円。安いのか高いのか良く分からなかったが、一瞬、サヨリかと思うぐらいの小ぶりの物だったが、まあ初物だからと自分に言い聞かせて買った。普通ならこの時期「暑さ寒さも彼岸まで」と、魚屋に秋刀魚が並ぶ頃には暑さも一段落するのだが、文字通りの「残暑厳しき」日が続いている。

そう、その秋刀魚の話。人生古希を過ぎるまで生きてきて、数えたことはないが随分と秋刀魚を食べてきた。しかし、こんなにパサパサで不味い秋刀魚は記憶にない。「お前、ほんとに秋刀魚なの」と嫌味が思わず口から出た。まだイワシの「目刺し」の方がずーっとましだった。以下は、一年前の私のブログ。

「あはれ秋風よ 情(こころ)あらば伝えてよ――男ありて 今日の夕餉(ゆうげ)に ひとりさんまを食ひて思いにふける と」。有名な佐藤春夫の「秋刀魚の歌」である。佐藤がこの詩を書いた当時も、今から10年ほど前も秋刀魚は庶民の味方、安かった。一人暮らしの中年男が、秋刀魚を食しながら思いにふける・・・。これがマグロの中トロであったりカニやイクラであったなら、情景が違ってくるのだろう。しかし、昨今では、秋刀魚を食しても悲壮感などない、出始めの頃には一匹、千円近くもすると、とても買おうとは思わない。

冗談ではなく、群青の会の大熊雄次さんの行きつけの上野の「もん」という居酒屋のマスターのみきちゃん(男です)が、「上野の吉池の魚屋では、一匹5千8百円の定価が付いていました」と、スマホで撮った証拠の写真を見せてくれた。翌日、みきちゃんが吉池に行って「売れましたか」と聞いたら「売れませんでした」。当然だろうなぁー。初鰹をすべて買い占めて近所に配り、残った一匹を食した紀伊国屋文左衛門が生きていたら、その吉池の秋刀魚を買って吉原で食べてもらいたいものだ。

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