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旅行記、世相独言

大いなる躍動感 -ソウル-(異文化体験11 世界貿易センターの旅2)

2011年01月15日 17時52分42秒 | 異文化体験_アジア
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大いなる躍動感 -ソウル-  1988.11.20~21

 釜山-ソウルを4時間で結ぶセマウル号

 釜山からソウルへはセマウル号で4時間の旅。日本で言えばさしずめ新幹線の旅。車窓に見える小高い丘は、いずれも農作に不向きな岩肌を剥き出しにし、貧しい韓国の農村の一面が覗える。

 
(左)林立する煙突 お風呂屋さんだそうな   (右)漢江と大韓生命63ビル

 田園風景を見飽きた頃、セマウル号は市街地の中に滑り込むように入って行く。林立する煙突、お風呂屋さんだそうである。およそ、100所帯に1軒ぐらいあるのではないかと思えるほど、もくもくと黒煙をあげている。大韓生命63ビルを左手に漢江を渡るとソウル駅も真近。日曜日とあって駅前広場の雑踏は大変なもの。RINNAIの大看板が一際目立つ所に建っている。欧米ならさしずめ日立やソニーといったところか。

 
 ソウル駅にて 右は日本統治時代に建設された京城駅(現ソウル駅) 

 オリンピックを終えたばかりのソウルの町は、それでも至る所でビル建設が進んでいる。4本の地下鉄が網の目状に張り巡らされ、国産中型車が走り回り、昔風の都心の家並みと郊外の高層住宅のコントラストは、何ら日本と変わりがない。
 しかし、車検のない車から吐き出される排気はロサンゼルス顔負けのスモッグとなり、有事の際は滑走路と化すコンクリート舗装の幹線道路は砂塵を巻き上げている。
 高層住宅のベランダは二重窓で、洗濯物を日本のように屋外に干す家は少ない。これも景観よりは防寒のためなのだろう。高層住宅の多くは現代、三星等の大企業の社宅であり、公共投資による住宅整備の遅れが目立つようだ。

 景福宮庭園 後の山を超えると北朝鮮 

 景福宮は、20世紀初頭まで500年にわたって栄えた朝鮮王朝の王宮。1592年の壬辰の乱で焼失し、1867年に再建された。10余棟の殿が再建されているがオンドルの煙突を地下利用し風下に整備する等、生活の智恵が生かされている。
 隣接する国立博物館は高麗の青磁、李朝の白磁のコレクションが圧巻である。一方、古代の埴輪等は奈良国立博物館からの借用であり、日本が略奪したものもあったのではと疑いたくなる。

 国立博物館入場券

 オリンピックで有名になったブランド物のコピー屋さん、意匠権に抵触するので我が国でも持込み禁止になり、そのためかどうか知らないが近々閉店するとかで、大安売り。500~1000円程度の偽ブランド財布を沢山買い込む。次の欧州出張から帰った時に配ると値打ちが全く違うのである。皮ジャンを2万円まで値切って購入。ホテル新羅の免税店で同行のS氏お勧めの濃縮高麗人参を買う。男性の特効薬だそうである。日本なら1瓶1万円が、5瓶で1万円。

  
(左)KWTC一体のビジネスセンター複合開発 (中)宿舎のインターコンチ (右)ホテルから見たオリンピックスタジアム
 
 夕暮れ迫る頃、漢江を渡って最近特に発展著しい江南地区のKWTCに向かう。世界貿易センター(WTC)、ホテル、シティエア・ターミナル(CAT)、ショッピングセンター等が整備された新しいビジネスセンターである。
 近くにオリンピックスタジアムやロッテワールドも立地している。ロッテグループが総力を挙げて取組むロッテワールドは都心型屋内レジャー施設として日本で関心を呼んでいるが、ここ韓国では意外とあまり評価は得ていない。生産活動に直接結び付かない第3次産業の社会的認知度が低いためである。

 
(左)建設途上のロッテワールド  (右)(参考写真)完成後のロッテワールド 

 いずれ近い将来、韓国は間違いなく先進国の仲間入りをするであろう。国民の勤勉さ、真面目さは、まさに一昔前の日本と同様である。徐々にいろんな規制が緩和され、国民の思考が多様化してきた時、この国は一体どのような道を歩むのであろうか。
 少なくとも日本以上に国際感覚は発達しており、多くのエリートが世界を相手に動く時、日本は彼等の数歩手前を何を拠り所に歩けるのか、熟考せねばなるまい。