「65歳以降も働き続けようと思っているが、年金も満額受給したいと思っている。年金がカットされない範囲での就業の仕方をしたいのだが・・・・・人事担当に訊いてもはっきりとは答えてくれないし、『社会保険労務士(社労士)とか年金事務所に相談して、一ヶ月にどの程度勤務するか決めてください。』と突き放されてしまう。」
会社の先輩達から、このような相談があります。
老齢厚生年金の受給者(就業所得水準により全額支給停止となっている人も含む)が厚生年金の被保険者として働いた場合に、「在職老齢年金」として年金額が一部停止されることがあります。
逆に言えば、厚生年金の被保険者とならない程度でパートとして働く場合や、自営業を開始する場合等は、在職老齢年金の対象にはなりませんので、老齢厚生年金は満額受け取ることができます。
60歳~65歳になるまでの在職老齢年金と、65歳~70歳になるまでの在職老齢年金には少し違う点がありますが、上述した点は共通です。
65歳になると老齢基礎年金が支給されますが、老齢基礎年金は在職により減額されることはありません。
「年金月額+総報酬月額相当額」が47万円以下の場合、老齢厚生年金は全額支給されます。
47万円を超えると、超えた分の1/2が支給停止となります。
この47万円という基準額は、平成22年(2010年)4月からの改正によるものです。それまでは48万円でした。
※ 平成23年4月からの改正で46万円になりました!
「年金月額」とは、加給年金額を除いた年金の年額を12で割ったものです。
「総報酬月額相当額」とは、直近の標準報酬月額と、直近1年間にもらった賞与の額を12で割ったものの合計額です。言い換えれば、直近1年間に会社から貰った給与・賞与の総額を1ヶ月平均した額と言っていいでしょう。
つまり、1か月分の年金額と1か月分の会社から貰った報酬額の合計が47万円以下であれば、老齢厚生年金は減額されないということです。
【加給年金額とは】
厚生年金保険の被保険者期間が20年以上(中高齢特例による短縮あり)ある者が年金を受けるようになったときに、生計を維持している65歳未満の配偶者及び子(18歳到達年度の末日までの子又は20歳未満で1級或いは2級の障害の状態にある子)がある場合に加算されます。
これらのことは、PCを持っていて、インターネットサイトを閲覧することができる人なら、社労士や年金事務所に相談しなくても、日本年金機構のホームページにアクセスすれば、知ることができます。
但し、個人個人の年金受給額は年金事務所で計算して貰ってください。
<手順>
①日本年金機構にアクセス
URL:http://www.nenkin.go.jp/
②画面を下にスクロールし、右サイドのメニュー中の「パンフレット」をクリック。
遷移先URL:
http://www.nenkin.go.jp/pamphlet/index.html
③画面を下にスクロールし、「年金の給付に関すること」の内、
「厚生年金保険の60歳台後半の在職老齢年金の仕組み(pdf 417kb)」をクリック。
④PDFのパンフレットが表示される。