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スケルトンハウス‐きまぐれCafe

生活とビジネス

そのときの思いや状況で、いろいろなことを話し合ってきた喫茶店。きまぐれに、思いつくままに・・・

報奨金の経理処理・税務処理

2011-02-26 09:46:21 | 社会・経済

  就業規則の規程により功労者を表彰し、副賞としてQUOカードを贈呈するのだが、このQUOカードの経理処理と受賞した人の税務処理について教えて貰いたいとの質問がありました。



Photo



  報奨金(QUOカードなどの金券を含む)の支給であれば、会社としては〔販売費及び一般管理費又は労務費〕(分類)の〔福利厚生費〕(科目)で処理します。

  通常の勤務に対する功労賞であれば、受賞者本人には給与と同様の扱いになりますので、源泉徴収の必要があります。


  受賞者本人の税務処理については、所得税基本通達「法第
23条から第35条まで(各種所得)共通関係(使用人等の発明等に係る報償金等)2335共-1で以下のように規定されています。


  事務若しくは作業の合理化、製品の品質の改善又は経費の節約などに寄与する工夫、考案などの提案をした人に支払う報奨金(特許又は実用新案登録若しくは意匠登録を受けるに至らないものに限る)については、


(1)その工夫、考案などがその人の通常の職務の範囲内の行為である場合には給与所得

(2)その他の場合には一時所得

(3)継続的に支払われるものは雑所得

となります。

  “通常の職務の範囲内の行為”とは、事務や作業の合理化などに寄与する工夫、考案などを、通常の職務をしている人が行うことをいいます。

  一般的に、提案制度に基づく工夫、考案などが通常の職務の範囲内の行為として行われることは少ないと思われますので、多くの場合、報奨金は一時所得となります。

  即ち、日常業務に関連した報奨金であれば給与として源泉税の対象となり、日常業務に関連しない場合は本人の一時所得となります。

  報奨金贈呈後の直近支給給与に、報奨金額を含めて処理します。
  報奨金が現物給与である限り、支払時の源泉徴収が原則となります。

  報奨金が『現金』であるか『金券』であるかによって、処理の仕方に少し違いがあります。

1.報奨金を渡すときに仮で源泉税を引いて支給。その後、年末調整時に本来の報奨金額の収入と仮で引いた源泉の支払があったとして、年末調整時に清算する。

2.報奨金はそのままの金額を支給して直後の給与支給時に現物支給があったとして課税対象額に報奨金の金額を加えて計算する。


  一時所得については、本人が申告をする必要が有りますが、給与所得者の場合、給与以外の所得が年
20万円以下であれば申告の必要が有りません。
  ただし、医療費控除などで確定申告をする場合は、給与以外の
20万円以下の所得も全て含めて申告する必要が有ります。


<参考>

国税庁サイト:通達目次/所得税基本通達




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信書とは何

2011-02-19 08:48:55 | 社会・経済

  クロネコメール便の出荷票に『信書』ではないと云う、出荷者の宣言が必要とされている。この『信書』とはどういったものを指しているのでしょうか。



Kuronekomail001_2



  一般的には何となく“『手紙』が信書に該当するのかな”といったくらいの認識であり、周知徹底されているとは到底思えません。

  広辞苑には、「特定の人が特定の人に意思などを通ずる文書。てがみ。書状。」と記載されていますが、具体的には解りません。


  そこで、信書が扱える郵便事業を管轄している総務省のホームページで調べると、情報流通行政局郵政行政部のページがあり、そのメニューに「信書便事業」がありました。
  これをクリックして信書便事業のページに遷移すると、「信書のガイドライン」が掲載されています。

  私たちは、このガイドラインで『信書』に該当するとされている書類を“信書ではない”として、信書便事業者ではない業者に配送を託してはいないでしょうか?

  とはいえ、この区分について、実務的でない部分があるとも思えますが、彼のソクラテスが言った「悪法もまた法なり」といったことも念頭に置いておかなければならないと思います。

  しかし、一方で、哲学の分野における『法実証主義』の考え方も無視できないと思います。
  法実証主義は、法の存在条件を社会的事実のみに求め、法が法であるというだけで遵守されるべきだとは主張しません。したがって、「悪法もまた法であるが、悪法については、法だからといって従う義務はなく、寧ろ従うべきではない。」と主張しています。

  さて、賢明な私たちはどのように対処すればいいのでしょう。



【関係法令】

1.郵便法

2.郵便法施行規則

3.民間事業者による信書の送達に関する法律

4.民間事業者による信書の送達に関する法律施行規則



《信書のガイドライン》

【基本的な考え方】

○「信書」とは

「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と郵便法及び信書便法に規定されています。

○「特定の受取人」とは

  差出人がその意思又は事実の通知を受ける者として特に定めた者です。

○「意思を表示し、又は事実を通知する」とは

  差出人の考えや思いを表現し、又は現実に起こりもしくは存在する事柄等の事実を伝えることです。

○「文書」とは

  文字、記号、符号等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物のことです。(電磁的記録物を送付しても信書の送達には該当しません。)

【具体例】








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我々は何を期待して政権交代を実現したのか

2011-01-22 09:14:41 | 社会・経済

    20099月に実施された衆議院議員総選挙で、自由民主党から民主党への政権交代を実現しました。これにより、1955年(昭和30年)11月の戦後保守合同で結党された自由民主党は55年間の政権の座から降りることとなりました。



Photo



  さて、我々はこの総選挙でなにを期待して民主党政権を誕生させたのでしょうか。

  人それぞれに思いは異なるとは思いますが、大多数的には自由民主党の長期政権下、内輪での馴れ合いや政治・経済・社会保障等の閉塞感にピリオドを打ちたかったのではないでしょうか。

  政権政党が換わることにより、前政権において閉塞感を齎していた原因を優先的に排除して欲しいとの思いが強かったのではないでしょうか。

  そして、イギリスやアメリカのように、政権交代が当り前であり、政権交代があっても社会基盤に関する行政の安定が保証される制度運営が確立されることを望んだのではないでしょうか。

  自民党の物真似でもなければ、長期政権でもない。
  議会、内閣、行政の全てが、自己保身中心の内向き理論で物事を考えるのではなく、常に国民目線で必要な政策を考え、制度作りが迅速に成され運営されること。経済面では安定的微インフレの維持が成される政治介入を。憂国の情をもって事に当たる国家のリーダーたる立法・行政集団・組織を望んでいるのではないでしょうか。

  その為に、与党(政権政党)も野党も
innovatorであることを我々は望んでいるのだと思います。

  『事業仕分け』だけが
innovationではありません。金銭的効率性のみに基づいて『事業仕分け』を行うと、誤った結論を齎すことがあるという事にも気づいて貰いたい。時には国家としての“見栄”や“体裁”も必要だということも考えに入れておいて欲しいものです。

  何よりも良くないのは、議会や省庁の内向き理論によるお手盛り予算であったり、政策の決定協議を議会以外の料亭で密かに行ったり、議会では対立政党との非難合戦ばかりを行ったりと、なんとも幼稚で恥かしいばかりです。
  『事業仕分け』を公開で実施したように、政策や立法の決定協議を議会で正々堂々と行い、対立政党との非難合戦、足の引っ張り合いこそ夜の帷に紛れて、料亭や私邸で行ってもらいたものだと思います。

  我々は、
innovatorとしての期待を込めて政権交代に結びつく投票をしているのだということを、現政権政党の民主党に限らず、全ての政党に、真摯に受け止めて貰いたいものです。




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国家の基本理念

2010-11-13 08:58:11 | 社会・経済

  土地政策や経済政策、雇用対策などは、わが国を形成、維持するために欠くことのできない対策であるということに異論を唱える人はいないだろうと思います。
  しかし、これらは場当たり的ではなく、国家運営という超長期的なグランドデッサンがあってこそ、国民の各世代の納得を得ることができる方針になると思います。

  このグランドデッサンが確固たるものであればある程、社会保障は充実し、雇用も安定化し、結果として将来における生活不安が発生しなくなることから、少子化といったマイナス的な現象も発生しなくなるものと思います。



Newspaperasahi002



  これは中国のレアアース輸出制限といった行為に対する米国下院議会での国としての見解の統一を図ったものと思われます。

  朝日新聞が伝える記事で最も注目したいのは下段の表現です。

  これを一般化した表現に直すと、

「重要な資源を外国一国に依存するのは、国際競争や安全保障上、問題がある。」

ということになるのではないでしょうか。

  更にいうなら、あらゆることを『国家の安全』、『自国の国際競争力の維持強化』といったことを基盤に置いて考え、決定するといっているのではないでしょうか。

  あの大国アメリカをしてこのようなことを公にアピールしなければならない程の状況にあるのだと受け止めれば、わが国においては「何をか況や」ではないでしょうか。

  また、資源とは第二次産業の原材料のみを指すのではなく、人・物・金・情報といったあらゆるものが対象となることは言わずもがなでしょう。

  何気なく掲載された小さな囲み記事ですが、行政に携わる人や財界のリーダーである人々にはしっかり噛み締めていただき、『憂国』のをもって事に当たっていただきたいと思います。










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32年前の10月、日本と中国は平和友好条約にサインした

2010-10-30 09:10:25 | 社会・経済

    201097日に尖閣諸島海域で中国漁船がわが国の巡視艇に衝突し、業務執行妨害で船長を逮捕・拘留した事件以来、中国での反日デモが複数の都市で発生しています。デモの参加者・野次馬は半ば暴徒化し、日本製自動車の打ち壊しや日系企業・商店への投石・破壊が行われています。

  デモの首謀者は、

「反日デモを呼び掛けたのではない。日本製品の不買運動や政府による失業者全員への就業機会の斡旋を要望しているのだ」
と弁明しているとのことです。しかし、なにをどう言おうと、結果は反日デモとなっており、詭弁に過ぎないと思います。

  また、デモ参加者だか野次馬だか分かりませんが、近年彼らの反日運動が激しくなっているのは、江沢民首相時代に始まった中国の愛国教育が根底にあるとの評も伝えられています。
  行き過ぎた愛国精神はともすれば国粋思想に成りかねません。




    32年前の今月、わが国と中国の間で画期的な出来事がありました。


  それは
1978年(昭和53年)1022日のことです。


  中国から最高指導者の�眷小平副首相が来日しました。新中国の最高指導者が来日するのは戦後初めてのことです。目的は『日中平和友好条約批准書』を交換することであり、首相官邸で福田赳夫首相と�眷小平副首相立ち会いのもとで行われ、即時発効しました。
  これにより日中関係は「戦前からの長い不幸の時代に終止符を打ち、新しい時代に入った」と華々しく報道されたものです。

  一般に『日中平和友好条約』と云われているのは、
1978812日、東京でわが国と中華人民共和国との間で締結された「日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約」のことです。

  この条約は、
1972年の「日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明」(日中共同声明)を踏まえて、日本と中国の友好関係の発展のために締結された条約です。

  内容は基本的に日中共同声明の文面を踏襲したものとなっています。
  主権・領土の相互尊重、相互不可侵、相互内政不干渉が記述されているのが特徴です。
  中国側は賠償金請求を放棄する代わりに、日本側から
ODA等の巨額な経済援助を引き出し、その後の経済成長に繋げました。


  更に
19981122日、『平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する日中共同宣言』(略称、「日中共同宣言」)が江沢民国家主席と小渕恵三首相とによって発表されました。


  理由はどうであれ、今日の中国での反日運動はこれらの共同声明、条約、共同宣言に相反する動きであり、中国国民が日中間での合意事項を知らなさ過ぎるのか、はたまた中国政府が自国経済の発展を背景に、過去の合意を反故にしようとしているのではないかと思いたくなるのが現状ではないでしょうか。



《日中共同声明》

『日中共同声明』(日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明)とは、日本と中華人民共和国が国交を回復するために
1972929日、中華人民共和国の北京で、田中角栄首相と周恩来国務院総理とによって調印された共同声明です。


<共同声明の要旨>

○日中国交正常化の実現。

○日本国と中華人民共和国との間のこれまでの不正常な状態は、この共同声明が発出される日に終了する。

○日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。

○中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。

○中華人民共和国政府は、中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する。

○日本国政府及び中華人民共和国政府は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意する。

○両政府は、右の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、日本国及び中国が、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。

○日中両国間の国交正常化は、第三国に対するものではない。両国のいずれも、アジア・太平洋地域において覇権を求めるべきではなく、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国あるいは国の集団による試みにも反対する。

○日中平和友好条約の締結を目指す。



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  ・土地政策を考える




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土地政策を考える

2010-10-09 09:32:58 | 社会・経済

  最近、離島で他国の人に土地を売却しているとか、日本の領土の無人島に外国人が居住しているとのニュースが流れていたが、その後のわが国政府の対応が報じられてこない。日本政府は固有の領土についてどう考えているのでしょうか?

  土地を韓国人に売却していて話題になったのは、長崎県対馬。距離的には九州本土よりも韓国釜山のほうがはるかに近い。過疎化による財源不足に悩む対馬市が、相手構わず市有地の売却を進めているとのことです。

  外国人が居住している、あるいは居住しようとしているとして報道されたのは、島根県隠岐郡の竹島と沖縄県石垣市の尖閣諸島です。
  竹島には韓国が民間人の居住をすすめ、尖閣諸島魚釣島へは中国が民間活動家を上陸させているとして話題になりました。
  また、
201097日には尖閣諸島海域で中国漁船がわが国の巡視艇に衝突し、業務執行妨害で船長を逮捕・拘留していることが中国の反発を招き、国際的な政治・経済問題になっているとの報道があります。


  その土地を領有しているものの、外国人の居住割合が過半数を超えるようなことになれば、わが国が領有を主張しても、国際社会では『住民による帰属の選択』が民主的であるとの考え方が主流となってきており、結果として北方四島の二の舞になりかねません。

  対馬、竹島、尖閣諸島は、いずれも日本の“国境の島々”です。わが国政府には国境におけるリスク管理をもっと重要に考え、防衛策が実施できるようにしておくことが必要ではないでしょうか。




  学生時代に学んだことの一つに農業政策があります。この課目ではわが国の農業振興策、農地開発、農産物の流通、農家の事業所得改善などが主でしたが、農地の在り方というテーマもありました。このテーマでは、農地や山林は国、自治体の所有とし、農家は必要とする土地や山林を借り受けて生産活動をする。農地や山林を個人所有にしておくと、別の目的で売買、開発され、優良な農地、山林が喪失することになる。優良な農地、山林を維持する責任を個人に担わせるのは理不尽であり、国の責任として取り組むべき課題であろうという意見が趨勢でした。


  学生時代には、早稲田大、中央大、日大などの学生とも交友があり、書生っぽく『国家とは』といったことについて幾度と無く、夜明けまで議論したものです。
  学生運動が盛んだった時代です。体制の全てに対抗する運動家からは、私たちは“ノンポリ”に分類される学生でした。とはいえ、新宿地下広場などで反戦フォークゲリラ活動を行い、警官隊から逃げ回るようなこともしていました。


  その後社会人となって不動産業界にも関わり、パリ、フランクフルト、ローマ、ロンドンなどの不動産会社を視察する機会に恵まれました。この視察で、『土地は国のものである。土地自体には価値がなく、土地の上で何をするか、どう利用し、付加価値を高めているかに価値が有る。したがって、日本のように土地のみを売買する取引は成立しない。』という土地に対するヨーロッパ流の考え方に衝撃を受け、長年忘れかけていた『国家とは』という考えに立ち返る切っ掛けとなりました。



  『国家』とはあまりにも抽象的でみどころのないものです。国民一人一人は何となく“そのつもり”でいるという不思議なものだと思います。一定の国土(領土)があり、領海、領空、更には経済水域が国際協定で承認されており、この一定の範囲に居住する人達が、その国の法律によって生活を保護され或いは制限を受ける。この国民一人一人の漠然とした、或いは混沌とした帰属意識によって支えられている状態を国家として共通認識しているに過ぎないのだと思います。

  このようなことから国家を考えると、国家は、①国土(領地、領海、領空)、②国民、③国民に依る経済的活動とによって形成されていると言えるのではないでしょうか。

  そう考えた時、国家の三要素の一つである国土を分割し、私有物とすることに問題はないのでしょうか。自由に売買させてよいのでしょうか。まして、外国(人)に売却していいのでしょうか。私の持論では、「
No」になります。それでは国土は守れない。
  土地は国有化する。国有化のための買い戻し策は別途検討しなければなりませんが。国有化した土地の利用者からは、今の固定資産税を下回らない賃貸料を徴収するなども検討しなければならない課題となるでしょう。

  わが国領土の全てが国有地であれば、竹島のようなことは起こらない。無人島にあっては自衛隊が駐屯あるいは毎日、海上自衛隊や海上保安庁による巡視を実施するなど、外国民間人が居住するという『既成事実の醸成による国境の島々の実行支配』を未然に防ぐ対策強化にも真剣に取り組むことができるのではないでしょうか。




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何歳からが老人?

2010-09-11 08:46:08 | 社会・経済

「もうすぐ敬老の日だね。このまえ、町内の老人会から入会を勧められたよ。自分は60歳だから老人会はまだだと思うけど、老人って何歳からを言うんだろう?」
と問い掛けてきたのは、いつも入り浸っている喫茶店のマスターです。


  なかなか難しい質問ですが、医療保険制度や老人福祉法なども含めて考えてみたいと思います。


  まず、敬老の日は次のように定義されています。
9月の第3月曜日。
多年にわたり社会に尽くしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う日。

  次に、医療保険制度で高齢者に関する事項を拾ってみると、
  昭和
48年の健康保険(医療保険)では、70歳以上の老人医療費を無料化としました。
  平成
14年には、平成19年から老人健康保険の対象年齢を70歳から75歳に引き上げることを決定しました。
  平成
153月、高齢者医療制度を、65歳から74歳までの前期高齢者と75歳以上の後期高齢者に区分することを閣議決定しました。
  そして、平成
25年施行を目処に、年齢で区分する「後期高齢者医療制度」が廃止されることとなっています。


  また、

第一条(目的)  この法律は、老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もつて老人の福祉を図ることを目的とする。


第二条(基本的理念)  老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。


  これは老人福祉法ですが、老人の年齢は明確には定義されていません。

  しかし、同法

第五条の四(福祉の措置の実施者)には、
六十五歳以上の者又はその者を現に養護する者(以下「養護者」という。)に対する・・・

第十条の四(居宅における介護等)には、
市町村は、必要に応じて、次の措置を採ることができる。

  一    六十五歳以上の者であつて・・・
  二    六十五歳以上の者であつて・・・
  三    六十五歳以上の者であつて・・・
  四    六十五歳以上の者であつて・・・
  五    六十五歳以上の者であつて・・・

2 市町村は、六十五歳以上の者であつて・・・

第十一条(老人ホームへの入所等)には、
市町村は、必要に応じて、次の措置を採らなければならない。
  一    六十五歳以上の者であつて・・・
  二    六十五歳以上の者であつて・・・
  三    六十五歳以上の者であつて・・・

といったように、『65歳』という表現が随所で使われています。


  さて、もう一つの老人会ですが、これは老人会、老人クラブ、敬老会などと様々な呼び方がされており、町内会・自治会を主体とする地域自治に付随する高齢者への福祉を目的とした相互扶助組織であると言えるでしょう。

  殆どの老人会で、財源は自治会(町内会)と地方自治体からの援助に拠っていることが多く、自治会(町内会)、婦人会など同じ地縁組織に運営の力添え(労働力の提供)を求めている状況だと思います。
  地縁組織の一つである老人会への入会資格は、それぞれの老人会で歴史的、諾成的に定められているようで、
60歳であったり65歳であったり、70歳であったりするようです。


  そんな訳で、『老人とは何歳から?』の質問への答えをなかなか出し難いのですが、老人福祉法で一つの基準としている『
65歳』が妥当なところではないかと思います。
  老齢厚生年金が満額受給できるようになるのも『
65歳』からだしネ!




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出向先で役員となった従業員の労災保険・雇用保険の取扱い

2010-08-28 09:49:00 | 社会・経済

  受入出向者で出向先会社の役員になっている人について、労災保険と雇用保険に出向先会社で加入手続きするよう出向元会社から依頼があった。役員は労災保険の対象にならないと思うが、対象にすることができるのか。と質問されました。



  親会社で一般の労働者である者が、出向先で役員となった場合の労災保険・雇用保険の取扱いについて確認してみましょう。

1.出向とは

  始めに出向とは何かを確認しておきましょう。
  出向とは、出向元である自己の事業所に在籍したまま、出向先となる他の事業所で業務に従事することを指します。したがって、労働者は出向元と出向先の双方で雇用関係が成立し、出向元と出向先の協定等によってそれぞれの責任の内容が決定されます。

  この前提を押さえた上で、親会社に在籍して給与が支給されている労働者が、子会社に役員として出向した場合の労災保険・雇用保険の取扱いについて考えてみましょう。

2.労災保険

  通常、出向労働者は出向先の指揮命令下で業務に従事しているため、出向先の労災保険の被保険者となります。

  しかし、出向先で役員となっているため、被保険者になることができません。

  ただし、このような場合であっても出向先が中小企業に該当すれば、特別加入をすることにより保険給付を受けることができます。

  この際の保険料は、一般の労働者とは異なり、保険料算定基礎額に出向先事業所の業種に応じた保険料率を乗じて計算します。
  なお、この保険料算定基礎額は、特別加入申請をする際の給付基礎日額(
3,500円~20,000円)に基づき決定されます。

3.雇用保険

  出向労働者は、その者が生計を維持するために必要な主たる賃金を受ける事業所で雇用保険の被保険者となります。

  したがって、出向元で主たる賃金を受けているため、出向元の被保険者資格が継続されることになります。

  仮に出向先で主たる賃金を受けている場合には、役員として出向しているため、被保険者資格を継続することはできず、喪失手続きを行わなくてはなりません。

  特に注意すべきなのは、出向先事業所の規模や賃金の支払われ方により、被保険者資格の有無が変わる可能性があることです。
  このような事実が生じる場合には、出向労働者に対して事前に説明を行うなどの対応が求められます。



  参考までに昭和
35112日の労働局長の通達を記載しておきます。



  出向労働者に対する労災保険法の適用について
    (昭和
35112日基発第932号)


  ある事業
(以下「出向元事業」という。)に雇用される労働者(以下「出向労働者」という。) が、その雇用関係を存続したまま、事業主の命により、他の事業(以下「出向先事業」という。)の業務に従事する場合における労災保険法(以下「労災保険法」という。)の適用は、左記のとおりとするので、関係事業主に対し、この旨指導されたい。

一  出向労働者に係る保険関係について

  出向労働者に係る保険関係が、出向元事業と出向先事業とのいずれにあるかは、出向の目的及び出向元事業主と出向先事業主とが当該出向労働者の出向につき行った契約ならびに出向先事業における出向労働者の労働の実態等に基づき、当該労働者の労働関係の所在を判断して、決定すること。
  その場合において、出向労働者が、出向先事業の組織に組み入れられ、出向先事業場の他の労働者と同様の立場
(ただし、身分関係及び賃金関係を除く。)で、出向先事業主の指揮監督を受けて労働に従事している場合には、たとえ、当該出向労働者が、出向元事業主と出向先事業主と行った契約等により、出向元事業主から賃金名目の金銭給付を受けている場合であっても、出向先事業主が、当該金銭給付を出向先事業の支払う賃金として、徴収法第一一条第二項に規定する事業の賃金総額に含め、保険料を納付する旨を申し出た場合には当該金銭給付を出向先事業から受ける賃金とみなし、当該出向労働者を出向先事業に係る保険関係によるものとして取り扱うこと。

二 上記一の後段に係る事務取扱


(1) 保険料の納付について

  出向元事業主が、出向先事業主との契約等により、出向労働者に対して支払う賃金名目の金銭給付を、出向先事業に関する徴収法第一一条第二項に規定する賃金総額に含めたうえ、保険料を算定し、納付させること。


(2)  平均賃金の算定について

  出向労働者につき事業上災害が発生し、保険給付のため平均賃金を算定する必要が生じたときは、出向元事業主が、出向先事業主との契約等により、出向労働者に対して支払う賃金名目の金銭給付を、出向先事業が支払った賃金とみなし、出向先事業が出向労働者に対し支払った賃金と合算したうえ、保険給付の基礎となる平均賃金を算定すること。
  この場合には、出向元事業主の上記金銭支払明細書
(ただし、上記平均賃金を算定するための所要期間内に支払われたものに限る。)について出向先事業主の承認をうけ、これを補償費請求書に添付して提出するよう受給権者を指導すること。
  なお、上記平均賃金の算定が、労働基準法第一二条第二項の規定によるべき場合で、出向元事業の賃金締切日と出向先事業の賃金締切日とが相違するときは、それぞれに係る部分について各別に計算し、両者の合算額を、保険給付の基礎となる平均賃金とすること。


(3)  休業補償費のスライドについて

  労災保険法第一二条〔現行
=第一四条〕第四項の規定による労働基準法第七六条第二項の規定の適用については「出向先事業場における同種の労働者」を「同一の事業場における同種の労働者」として取り扱うこと。従ってたとえ、出向労働者が災害後出向元事業に復帰している場合であっても、同様であること。

(4) 保険料率のメリットについて

  労災保険法第二七条〔徴収法一二条第三項参照〕の規定の適用については、出向労働者に対する保険給付を、出向先事業に対する保険給付として取り扱うこと。

三  稟伺

  上記一の出向労働者の労働関係の所在の判断等について、疑義ある場合には、その具体的事情を具し、本省労働基準局長あて稟伺すること。


【参照サイト】

  厚生労働省法令等データベースサービス

  法令等データベースサービス-通知検索-

  労働基準法(平成20年12月)

  労働基準法施行規則(平成21年5月)

  兵庫労働局(平均賃金)




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パートタイマーの雇用保険加入資格適用基準

2010-07-24 09:19:26 | 社会・経済

  パートタイム労働者の雇用保険被保険者資格適用基準が、41日より改正されています。

  新基準では、パートタイム労働者について、次の
(1)及び(2)の適用基準のいずれにも該当するときは、雇用保険の被保険者となります。
  事業主は必ず「雇用保険被保険者資格取得届」を事業所の所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に、被保険者となった日の属する月の翌月
10日までに提出しなければなりません。

<適用基準>

(1)   31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。

  具体的には、次のいずれかに該当する場合

○期間の定めがなく雇用される場合

○雇用期間が31日以上である場合
○雇用契約に更新規定があり、
31日未満での雇止めの明示がない場合
○雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合(注) 

(注) 当初の雇入時には31日以上雇用されることが見込まれない場合であってもその後、31日以上雇用されることが見込まれることとなった場合には、その時点から雇用保険が適用されます。


(2)   1週間の所定労働時間が20時間以上であること。

    2010331日以前に雇用し、契約期間が6ヶ月未満、週20時間未満が条件となっているため、雇用保険の被保険者としての届出をしていなかった被用者について、新基準での洗い直しを早急に行う必要があります。
  新基準での対処が未だの会社は、
41日での遡及手続きが可能です。事業主の遵法義務(コンプライアンス)、従業員の権利保護責任の観点で、早急に被保険者届を行うようにしましょう。




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産業の空洞化は国家経済を崩壊させる

2010-06-26 10:41:42 | 社会・経済

  スケルトンのシマさん、貴方は、産業の空洞化が景気を悪くしている。労働市場を減少させている。その結果として国内の可処分所得を減少させ、ひいては、税収が減少し、社会保障を衰退させているとよく言っているが、それはどういうことなのかとの問いかけをされます。

  「産業の空洞化」とは、生産拠点の海外移転の進展や、製品の国内供給が輸入依存型になり、国内の製造業が衰弱化する現象をいいます。


    1985922日、G5(先進5ヶ国蔵相・中央銀行総裁会議。)により発表された、為替レート安定化に関する合意、所謂「プラザ合意」により急速な円高が齎されました。

  プラザ合意は、米国の深刻な経済危機に対して、
1970年代末期のようなドル危機の再発を恐れた先進5ヶ国(日本・アメリカ・ドイツ・イギリス・フランス)が、協調的なドル安を図ることとした合意でしたが、とりわけ、米国の対日貿易赤字が顕著であったため、実質的には円高ドル安に誘導する内容だったと言えます。

  この急激な円高に直面したわが国の国内企業は、安い労働力や土地を求めてアジア各地に生産拠点を移していきました。
  そのため、国内の生産は縮小、雇用も減少していきました。これを産業の空洞化といいます。

  更に、「失われた10年」の真只中の
2000年代、コスト削減のために、WTO加盟を契機に「世界の工場」として急速に台頭する中国など、グローバル化による新興国への国内工場移転が加速しました。
  そのため輪をかけて、国内の生産は縮小、雇用も減少してきています。

  一方、日本や欧米の投資を受け入れたアジア各国の産業は大きく成長し、その存在は、今やわが国の国内メーカーを脅かすまでになっています。

  私たちの周りを見渡してみても、廉価な家電製品やデジタル製品、AV製品、衣料品、加工食品の多くが「
MADE IN CHINA」であることに気が付くでしょう。

  ここまでは、第二次産業について言及していますが、同じことが私たちの生存基盤である“衣食住”の分野を担う第一次産業(農業、漁業、林業)でも起きています。
  町のスーパーマーケットなどの大型店舗やコンビニで販売されている、お手頃価格の食材の多くが韓国産、中国産であり、木材の多くが南米産。反面、日本国内産の値段が異常に高価であることに、既に気づかれているでしょう。

  わが国の労働者世帯では、この
20年、可処分所得の大幅な減少に耐えてきています。それを支えているのが、産業の空洞化先であるアジア諸国の低賃金を基に生産された製品であることは疑う余地もないことです。
  わが国政府は、国民が生活できるための代替策としてこの現象を容認し、今や、そうあることを前提に、経済政策、金融政策、社会保障制度などを考えるようになっています。国を預かることを職業としている人として、大きな過ちを犯しているのではないでしょうか。

  自国の産業崩壊を“良し”とする考え方は“変”ではないでしょうか。
  いまの政権を非難しているのではありません。
  自分たちの保身と高収入確保を最優先課題とし、そのために過去の政権を傀儡化してきた行政機関に反省を求めているのです。

  今の状態を継続すれば、早晩、わが国経済は立ち直り不可能な程に崩壊してしまいかねません。

  グローバル規模での地産地消が重要なのです。
  その前に、海外に移転した生産拠点の国内回帰を急がなければなりません。
  また、第一次産業にあっては、生産者から最終販売者に至る過程に存在する、マージンのみを目的とした流通業者による複雑な流通構造の撤去も行わなければなりません。
  そして、消費者にあっては、国内製品を購入することが、自国の存亡に如何に重要なことなのかを認識する必要があります。
  そのため、国民が自国で生産された製品の購入をし易くするための、国による仕組み作りも必要です。


  纏め的に表現すれば、大きくは次のようになるでしょう。

○ものを買えば、雇用が増えます。
  ただし、日本製の商品でなければなりません。

○国内の雇用を増やすには、国内で生産された商品を買わなければなりません。
  買い易い価格にするには、無闇な中抜き業者を排除しなければなりません。

○販売店では、国産品のバーゲンをするようにしましょう。
  それが本当のメセナ、企業による社会貢献だから。

○国は、国産品を売り買いする消費者と販売者を支援しましょう。
  エコポイントのような仕組が必要です。国家崩壊の危機を回避するために。





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業務執行権を有する役員とは

2010-05-15 10:16:47 | 社会・経済

Photo  厚生労働省が発行している「平成21年度 労働保険 年度更新 申告書の書き方」の4ページ労災保険『法人役員(取締役)の取扱い』の項目に、「代表権・業務執行権(注3)を有する役員は...」との記述があります。
「業務執行権を有する役員」の定義を調べているけどよくわからない。この手引きの用語説明にも出てこない。業務執行権を有する役員とはどういうことか。」
と悩んでいる人事・労務担当者がいました。


  会社には、その運営体制で異なるものの、会長、社長、専務、常務、取締役、監査役、顧問などと称される役員の方々がいらっしゃいますが、そのうち、どのような方が「代表権・業務執行権を有する役員」なのでしょう。
『会社法』を確認することで人事・労務担当者の悩みは解消すると思います。



  取締役とは、株式会社のうち取締役会非設置会社においては、対内的に会社の業務執行を行い、対外的に会社を代表する常設機関です。
  また、取締役会設置会社においては会社の通常の意思決定機関である取締役会の構成員です。

  取締役会非設置会社では、原則として、取締役それぞれに業務執行権と会社の代表権があります(会社法
348条、349条)。

  取締役会設置会社では、
取締役は、取締役会の構成員として会社の業務に関する意思決定に参加します。会社の代表権は、代表取締役が有し、他の取締役は有しません。
  また、業務執行権は、代表取締役と業務執行取締役に選定された取締役のみが有し(会社法
3631項)、その他の取締役は有しません。

  毎年開催される株主総会において新役員が改選されます。この株主総会後の臨時取締役会において、各役員の役割と権限・責務が決められます。

  いろいろ決まりは在りますが、多くの企業では

        業務執行権を有する役員≒取締役

と、平易に考えてもいいでしょう。



<<<  会社法抜粋  >>>

(業務の執行)

348

取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。

取締役が二人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。

3 前項の場合には、取締役は、次に掲げる事項についての決定を各取締役に委任することができない。

  一
  支配人の選任及び解任

  二
  支店の設置、移転及び廃止

  三 第
298条第1項各号(第325条において準用する場合を含む。)に掲げる事項

  四
  取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備

  五
  426条第1項の規定による定款の定めに基づく第423条第1項の責任の免除

大会社においては、取締役は、前項第4号に掲げる事項を決定しなければならない

(株式会社の代表)

349

取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。

前項本文の取締役が二人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する。

株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。

代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。

前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

(取締役会設置会社の取締役の権限)

363

次に掲げる取締役は、取締役会設置会社の業務を執行する。
    ①代表取締役
    ②代表取締役以外の取締役であって、取締役会の
    決議によって取締役会設置会社の業務を執行す
    る取締役として選定されたもの


前項各号に掲げる取締役は、三箇月に一回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない。












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生存権を考える

2010-04-17 09:57:38 | 社会・経済

「以前にリリースした『介護保険で齎された反福祉社会『景気回復の決め手は』『最低賃金』等の中で、生存権に関わる問題である旨の提議がなされていたと思うが、生存権とは一体どういうものなのか。」
といった質問にお応えしたいと思います。

  うまく応えられればいいのですが・・・


  生存権は、日本国憲法
25条が該当します。
  第
25条を考えるにあたっては、第13条も合わせて考える方がいいでしょう。
  また、第
25条第2項は、第1項を保障する政府の義務を明記したものです。これによって、政府が何らかの権利を国民から取得しようとするものではありません。



Photo



  世界の歴史において、憲法制定の初期の目的は、国家が市民生活に干渉することを防ぐことでした。

  その後、市場経済が発達し、巨大資本が現れることにより「もてる者ともたざる者」との格差が拡大し、個人の努力だけでは生きることすらままならない状況の人々が出るようになりました。このような経済的弱者を救済するため、生存権などの社会権が生まれました。

  日本国憲法第
25条は、個人がどんなに頑張って努力しても生きることが困難な人々に対して、あくまでも、いずれ一人一人が自立していくための支援を国に求めるものであり、国に依存すること、国が依存させ従属させることを当然としたものではありません。

  ワーキングプアなどの貧困層の出現、失業者の増加、高齢者介護における切り捨てなどは、行政の不備によって作り出された貧困や困窮だといえるのではないでしょうか。

  企業理論が罷り通った政策や認可等を始めとし、国民を貧困や困窮に導くような政策を実施させないように、私たち国民は一人一人では微力ですが、選挙での投票や言論活動によって初めて、国をコントロールすることができるのだと思います。

  憲法
25条は、国に貧困や困窮を救済してもらう依存的、恩恵的権利を保障するものではなく、理不尽な政策や社会構造を排除する権利だと思います。

  現在の社会構造上の問題を議論するとき、一つ一つの事象を議論する前に、このような全体観を共有することが重要だと思います。





<関連記事>

介護保険で齎された反福祉社会2009.11.21

景気回復の決め手は2009.12.5

最低賃金2010.1.23




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ODAを考える

2010-04-03 10:49:29 | 社会・経済

1955年(昭和30年)11月の戦後保守合同で結党された自由民主党が54年間担ってきた政権が、2009年(平成21年)916日、民主党に交代。」

Photo_2

「民主党は今後実施する事業仕分けにおいて、ODAも対象にするとのことで、大いに歓迎ムードではあるが、従前より不思議でならないことがある。例えば中国。わが国からODAやアジア開発銀行による資金援助を受けながら、他の国に援助を実施している。同じことなら、中国への援助を止めて、中国が援助している国へ、わが国から直接援助を行う方が理に叶っていると思うが、どう思う?」

  「どう思う?」って、かなりの無茶振りとは思いますが、わが国の
ODAについて確認することによって、この問いかけに、少しは応えられるのではないかと思います。

    ODAとはOfficial Development Assistance(政府開発援助)の頭文字を取ったものです。政府または政府の実施機関が、開発途上国の経済・社会の発展や福祉の向上に役立てるために、資金や技術の提供を行うことです。提供先は開発途上国(二国間援助)または国際機関(多国間援助)になります。

  有償資金協力(円借款:貸し付け)については
OECF(海外経済協力基金)が担当し、贈与についてはJICA(国際協力事業団)が担当しています。


  わが国は、戦後は
ODAの受け手でした。その後、戦後賠償の意味での出し手となり、援助の主旨・理念が整備されて今日に至っています。

  中国に対して、戦後賠償がなされていないことを不思議に思われるのではないかと思いますが、終戦後、中国は敗戦国に賠償を求める権利を放棄したからに他なりません。このことは日本国内ではあまり知られていません。日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明(日中共同声明)覚えている世代の人数が減少している。)

  さて、中国の
ODAですが、200710月、米国の対外経済援助研究機関の「グローバル開発センター」が発表した調査報告では、中国の対外援助が年間約20億ドルに上り、アジア、中南米、アフリカなどの諸国への経済援助を増大し始めたことを指摘しています。
    20億ドル(2007年当時で約2300億円)は日本の平成19年度(2007年度)のODA総額の約3分の1に相当します。日本は今も中国に年間1000億円(約8.7億ドル)程度の援助を供与しており、中国はその倍以上の額を他国に供与するという奇妙な現象が続いているのです。

  質問の着眼点はこのことだろうと思います。

  同報告書はさらに中国の援助が欧米諸国や日本の
ODAとは異なり、受け入れ国に政治的透明性、人権尊重、腐敗防止、環境保護、経済管理の円滑さなどの条件をつけていないことが特徴だとし、その分、自国側の政治、戦略の狙いを顕わにして追求できると述べています。


  日本政府は、中国への
ODAに関する国民からの批判を受け、有償資金協力(円借款)と無償資金協力について、2008年度を最後に打ち切りとしました。
  しかし、国民向けには対中国
ODAを削減すると表明する一方で、アジア開発銀行を経由した対中国援助を増加させることでODAを補完する方針を打ち出しています。アジア開発銀行を経由した対中国援助は1986年から2007年までの間に23000億円が行われてきましたが、さらに2008年から2011年までの間に5000億円の資金援助を行うとしています。


    54年の永きに亘る自民党政権下での官僚らしく、国民への説明がなされないまま、『アジア開発銀行による資金援助はODAではない』という理屈で、すり替えを見事遣って退けたと言えるでしょう。


    200911月、米軍沖縄基地撤退による基地跡地の原状復帰費用を日本政府が肩代わりするという、日米政府間での国家機密レベルの密約があったことが明白な事実となりました。

  これと同様、戦後のわが国政府と中国政府との間にどのような申し合わせがあるのか知る由も有りません。
  わが国政府は、中国は勿論のこと、他の国々に対する援助や協定について、国民に対する秘密主義を早々に撤廃し、実施に至る背景や妥当性を分かり易く十分に国民に説明し、詳らかにする義務があるのではないでしょうか。



〔参考〕

外務省・外交政策・
ODAのページ

外務省・
ODA総合戦略会議に寄せられた意見の概要









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印章、印鑑には決まりがあるの?

2010-03-06 10:22:40 | 社会・経済

  今年も新人が入社する時期が間近となっています。新入社員に“使用する印鑑”について見解を求められたら、貴方はどう回答しますか?

  一般的には、印章、印鑑は壊れにくく、捺し方や経年劣化で変形しにくい素材のもので、印影は円又は楕円で囲まれたもの。大きさは長径が
6mm超~20mm未満のものを使用するのがいいと考えられています。認印の標準的なサイズは10.5mm12mm、印材はプラスティック、木、牛角などです。


Photo  会社の書類(回覧、交通費計算書、稟議書・申請書など)に捺印する印鑑について、大半の人は“認印”を使用していますが、一部に“日付印”や“シャチハタネームに代表されるネームスタンプ”を使っているのをみかけます。

  捺印欄に使用する印鑑は“認印”でなくていいのだろうか。
といった疑問は多くの一般事業会社で潜在的にある疑問事項だと思います。


  会社で使用する個人印については、以下の事項を踏まえ、それぞれの会社で決めていただければと思います。

  社内書類に使用する印鑑に関する「社内規程」があれば、その規定に依ります。

  使用印章についての社内規程が無く、永年の慣習で日付印やシャチハタネーム等の使用を認めている場合がありますので、その場合にはこれらの使用を一概に「いい」とも「いけない」とも断言することはできません。

  公共交通機関を利用した交通費精算のための「交通費計算書」は、領収書が発行されない場合に経理伝票(出金伝票)に添付する証憑として、多くの企業で利用されています。このような、経理伝票や添付する書類に捺印する印鑑は、社内規程として「会計規則」や「金銭出納規程」などの条文の一部にでも印章に関する記述、例えば「認印」といった表現があれば、それに準じるようにする方がいいでしょう。

  一般的には、使用の目的や場所を問わず、各自治体が制定している「印鑑条例」(実印として登録できる印鑑の基準)に規定されている材質、形状に準じた印鑑を使用するのがいいと考えられています。
  因みに神戸市の印鑑条例では以下のように規定されています。(他の自治体でも同様と思います。)



****(神戸市印鑑条例抜粋)*************************************************************************************

(
登録を受けることができない印鑑)

4条 次の各号のいずれかに該当する印鑑は、登録を受けることができない。

(1) 住民票又は外国人登録原票に記載されている氏名、氏、名又は氏及び名の一部を組み合わせたもので表されていないもの

(2) 職業、肩書その他これらに類する事項を併せて表しているもの

(3) 印影の大きさが1辺の長さ20mmの正方形に収まらないもの又は1辺の長さ6mmの正方形に収まるもの

(4) ゴム印その他印鑑の形態が変化しやすいもの

(5) 縁のないもの

(6) 前各号に掲げるもののほか,規則で定めるもの

************************************************************************************************************


  捺印(押印)することにより発生する、権利・義務、効力等は、組織内、組織外を問わず諸法令の定めに依るところとなります。

○民法第
968条、第969条、第970
○戸籍法第
29
○戸籍法施行規則第
62
○明治
32年法律第50号(外国人ノ署名捺印及無資力証明ニ関スル法律)第1
○商法第
32
○刑法第
164条、165条、166条、167条、168
○民事訴訟法第
228
○印鑑条例
など





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100%子会社を吸収合併する場合の社会保険・労働保険の手続き

2010-02-20 09:50:42 | 社会・経済

 会社分割は、法人の事業部門の全部又は一部を、既存法人や新設法人に移転する制度で、「新設分割」と「吸収分割」とに区分されます。
  「新設分割」は、分割した事業を新設の会社として承継させる方法
(2 30)です。
  「吸収分割」は、分割した事業を既存の別会社に承継させる方法
(2 29)です。
  事業の全部を既存法人に移転すれば、実態上は「合併」と同様の効果が得られることになります。

  会社分割制度を活用すると、比較的簡便に目的を達成できることから、敢えて現象的表現をすれば、この制度を用いた「分社」、「合併」が多く行われるようになりました。

  最近では、この不況下にあって、企業運営の効率化、
TCOの低減が企業にとって重要課題となり、重複する業務について、親会社が子会社を「吸収合併」するケースが増えてきています。

  吸収合併においては、会社法、商法、税法などへの適合性に多くの目がいきます。
  とかくそれらの陰にかくれてしまう、子会社から親会社に転籍する従業員と廃止子会社に纏わる労働保険、社会保険の手続について整理してみました。


  蛇足ですが、一定の要件を満たし、株主総会決議を不要とすることができる吸収合併について、吸収する親会社側では「簡易合併」、吸収される子会社側では「略式合併」と言います。


1.社会保険(健康保険、厚生年金保険)

  事前に社会保険事務所、健保組合に相談すること!

  吸収合併により吸収された子会社はなくなるので、社会保険(健康保険、厚生年金保険)については、管轄の社会保険事務所及び健康保険組合で子会社の被保険者全員の健康保険被保険者証を添えて資格喪失の手続きと事業所廃止の手続き(全喪届)を行うことになります。
  そして親会社を管轄する社会保険事務所及び健康保険組合で改めてこれら元子会社の従業員を被保険者にする手続き(資格取得届)を行います。

<子会社の手続>

◇健康保険
 厚生年金保険被保険者資格喪失届(全社員分)

(手続概要)
被保険者が事業所を退職した、死亡した、事業所が廃止になった等、被保険者が資格を喪失したときは届出しなければならない。

(手続根拠)
健康保険法第
36条、第48
健康保険法施行規則第
29条、第51
厚生年金保険法第
9条、第14条、第27
厚生年金保険法施行規則第
22

(添付書類)
健康保険被保険者証(被扶養者分も含む。)

(提出先)

(1) 厚生年金保険
   事業所の所在地を管轄する社会保険事務所

(2) 健康保険
【協会けんぽ】
  事業所の所在地を管轄する社会保険事務所
【組合健保】
  加入している健康保険組合


(提出期限)
当該事実の発生から
5日以内


◇健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届

(手続根拠)
健康保険法第
33
健康保険法施行規則第
20条、第22
厚生年金保険法第
8
厚生年金保険法施行規則第
13条の2、第14

(添付書類)
原則次のいずれかの添付が必要となる。
・解散登記の記載がある法人(商業)登記簿謄本
・雇用保険適用事業所廃止届のコピー

◇上記の書類の添付が困難な場合は、次のいずれかを添付すること。

・給与支払事務所等の廃止届の写し
・合併、解散、休業等異動事項の記載がある法人税、消費税異動届の写し

・事業廃止等を議決した取締役会議事録の写し


(提出先)
事業所の所在地を管轄する社会保険事務所
―組合健保の場合は健康保険組合にも届出が必要―

(提出期限)
当該事実の発生から
5日以内


<親会社の手続>

○健康保険厚生年金保険
 被保険者資格取得届(吸収する全社員分)

(手続根拠)
健康保険法第
3条、第35条、第48
健康保険法施行規則第
24
厚生年金保険法第
24
厚生年金保険法施行規則第
3条、第15

(添付書類)

[被扶養者がいる場合]健康保険被扶養者(異動)届

(提出先)

(1) 厚生年金保険
   事業所の所在地を管轄する社会保険事務所

(2) 健康保険
【協会けんぽ】
  事業所の所在地を管轄する社会保険事務所
【組合健保】
  加入している健康保険組合

(提出期限)
当該事実の発生から
5日以内

(その他)
子会社の従業員に、年金手帳の提出を求めること。
表紙の色がオレンジの手帳の場合は、「基礎年金番号通知書」の提出も求めること。


2.労働保険(雇用保険)

  事前に公共職業安定所に相談すること!

 

 雇用保険では原則として被保険者の同一事業主の認定手続きを行います。
  この方法は、資格の取得・喪失の手続きではなく、親会社と子会社を同一事業主とみなして同一事業主における転勤と同じように転出・転入の手続きを行う方法です。こうすれば資格期間が同一事業主の下で通算されるので、子会社に勤務していた期間についても親会社の勤務期間とすることができ、従業員に不利益を与えなくて済みます。



  同一事業主の認定手続きをする場合には、合併契約書、株主総会議事録、取締役会議事録、労働者の移籍に関する労働協約など、営業譲渡契約書、会社の登記簿謄本、移籍労働者の名簿、その他公共職業安定所が指定する書類が必要なので、事前に管轄の公共職業安定所の窓口に相談することが必要です。


<親会社の手続>

○雇用保険被保険者転勤届

(手続根拠)
雇用保険法第
7
雇用保険法施行規則第
13

(添付書類)
・同一事業主要件証明書(ハローワークで入手)
・合併契約書
・株主総会議事録(簡易/略式合併では不要)
・取締役会議事録
・労働者の移籍に関する労働協約など
・営業譲渡契約書
・会社の登記簿謄本
・移籍労働者の名簿
・異動辞令書類
・賃金台帳
・転勤前事業所に交付されている
  被保険者資格喪失届
・氏名変更届
・その他公共職業安定所が指定する書類

(提出先)
事業所の所在地を管轄する社会保険事務所

(提出期限)
当該事実の発生から
10日以内


<子会社の手続>

◇雇用保険の事業所廃止の届出
(雇用保険適用事業所廃止届)

(手続根拠)
雇用保険法施行規則第
141

(添付書類)
事業所廃止の事実が確認できる書類
(詳細は公共職業安定所に問い合わせる)

(提出先)
事業所の所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)

(提出期限)
事業所を廃止した日の翌日から起算して
10日以内


◇労働保険徴収法では、子会社における労働保険料(労災保険、雇用保険)の精算手続きが必要になります。

  保険年度の初日(
41日)から子会社が廃止になる日までの期間について、労働保険料を算定することになります。
  この手続きは、労働保険料の確定申告書を記載して、保険料の不足が生じればこれを納付し、過払いが生じれば還付の手続きをします。


3.日程

(前提)
A社:非上場(合併存続会)
B社株式の
100%を保有する特別支配会社、合併対価は軽微
B社:非上場(合併消滅会社)


<最短スケジュール>

 

(注)
公告の予約手配をする頃には、公認会計士、司法書士へも詳細説明を行い、協力を要請しておくことが重要です。


合併日は、経理担当者の立場で考えれば、決算がほぼ確定している
101日、41日にすれば、開示資料作成の負担が少なくて済むようです。




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