★マラン・マレ:ヴィオール作品集
(演奏:ミーネケ・ヴァン・デル・ヴェルデン(ヴィオラ・ダ・ガンバ))
曲目詳細の紹介は割愛します。
ヴィォールのための組曲、小品の間に、L.クープラン作曲によるハープシコードのソロが曲間のつなぎのように4曲ほど挿まれています。
(2000年録音)
みなさん今年2006年(!)は、マラン・マレ生誕350周年に当たる記念年です。
巷ではモーツァルト生誕250周年とかまびすしいですが、我がSJester制作本部では世情に流されることなく、マラン・マレの生誕350年記念特集を総力を挙げて敢行するものであります。
かかる重要な作曲家のメモリアル・イヤーがかくも忘れられた扱いを受けることは極めて不当であります。
「メディアにおかれても、リストの没後120年よりキリがいいじゃないですか?しっかり情報提供してくださいよ!」などと言いたいところですが、リストの記事を見たのはは“ショパン誌”だから「マラン・マレの特集なんて組めねぇよなぁ~」という事情は理解しております。
責任があるとしたら、私が目にした音楽関係の他誌だね。
書いてあったのに、私が気が付いていなかっただったならごめんなさいだけど。
ちなみに、今回気づいたのはレコ芸の2007年1月号の某所に書いてあるのを先ほど見たためです。
まぁ年初、年の瀬にこんなブログを自分が書いてるなんて考えてもいなかったからなぁ。
私のアンテナがきっと低かったんだな・・・。うん、うん。
なんてことを言っているヒマはない!!
とにかくすぐやらないと、もう50年ぐらい出来ないから・・・。ヘタすりゃこっちの命も危ない。
ここまで「あと猶予はどれほどあるんだ!?」的状況では、誰も350周年中にこの記事を見られないでしょうね。
ここまでくるとモーツァルトでさえ最早お呼びでなくて、音楽は今年あと紅白の残りと蛍の光を聴くだけだと思ってらっしゃる方ばかりかもしれません。
そういえば紅白ってもう何年見てないんだろう?
大晦日の晩にテレビ見ること自体ほとんどないし・・・なんて言っていると、投稿自体今年に間に合わなくなっちまうぅぅぅ!!!
そんときゃバックデートしますケド。
さてミーネケ・ヴァン・デル・ヴェルデンのヴィオラ・ダ・ガンバ、グレン・ウィルソンのハープシコードによるマラン・マレのヴィオール作品集です。
一言で言って本当に素晴らしい!!!(大絶賛)
ジャストの潤いの音色、伸びやかな表現は古楽器のそれの最良の特徴だし、古楽器に往々にしてある音色の不安定さがありません。したがって音色は軽いのに、極めてリラックスしてくつろげる。
演奏解釈も奇を衒わないオーソドックスなもの、でも退屈とは無縁。いつまでも聴いていたくなるような演奏です。
プログラムはマレのヴィオールの組曲や小品を随意に並べた中に、ハープシコードのソロ(クープラン作曲)が効果的に差し込まれているといった体裁。
伸びやかで張りのある旋律を多様に引き分けている他、例えば“セント・コロンブ氏のトンボー(墓)”の中間部など短く区切った音もひとつひとつ特徴を描き分け、印象的に弾かれていることも、わくわくしながら聴かせてもらえる要因のひとつでしょう。
もちろん、ハープシコードのグレン・ウィルソンの好演の貢献も見逃せません。
ただ、奏者以外にこのムード作りに最も貢献しているのはほかならぬ録音でありましょう。
中音域の潤いにはさきほど触れましたが、ときおりヴィオールがバスを奏でたときの音色などとても芳しく、その一音で雰囲気が出来上がってしまいます。
というのは、この点で次に紹介する平尾さんの盤とは録音のコンセプトが違うのではというぐらい耳に届く音の印象が違うのです。
こちらは“音色はある程度克明に録ることを心がけながらも、聞いた際の雰囲気重視”、平尾さんの録音は“努めて明瞭に音を拾いあげた、音の密度(情報量)の高いはっきりクリアな収録”を目指しているのではないかと思います。
もちろんどちらが正しいとかいう問題ではありません。
かねてこのブログで話題にしていることが、ここでも感じられたということです。
★マラン・マレの横顔Ⅱ
(演奏:平尾 雅子(ヴィオラ・ダ・ガンバ))
1.組曲ト短調 (第3巻.1711)
2.組曲ニ長調 (第4巻.1717)
3.ジャリヴァリ(第3巻.1711)
4.組曲ホ短調 (第2巻.1701)
(1997年録音)
近年我が国の古楽器の演奏の水準は目を見張るものがありますねぇ。
私は古楽オーケストラの演奏は、特に弦楽合奏は、えてして音色が毛羽立ったようになるところにちょっとひっかかるときがありますが、音色が不安定でわずかな弾き方の差でニュアンスが変わることを承知したうえで、それをきちんとコントロールできる演奏家によるものであるなら、ソロ、アンサンブルともに逆に魅力を感じます。
繊細な音色の変化によって立ち上る雰囲気が一変してしまう、そんな妙味を楽しみに聴くことができるのです。
ここで聴く平尾雅子さんの演奏は居住まいを正してはいるものの、気負ってはいない演奏。
曲自体の要因もあるのでしょうが、ヴェルデンの演奏と比べると低音がふんだんに盛り込まれて下半身が安定した曲が目立つように思います。
そして先ほど述べた音色なのですが、本当に古楽器かと思わされるほどに、これが極めて安定しています。
シャリヴァリにおける闊達な音色に含まれる古楽器特有の金属的な音が、こんなにも同質の音色を揃えられるというのも、非常な訓練の賜物だと思います。
伸びやかに弾いたときの音色は、金属的な音も含めて極めて精妙にコントロールされています。艶消しの音色になったり、ふっとボウイングの力を弱めて計算の上で金属的な音色を溶け込ませたり、それが曲にふさわしくとても自然にできているあたり、センスがいいとしか言いようはないですね。
演奏家がいかにこの楽器と一体になっているか、楽器固有の特性もありましょうから、それをどれほど手の内に入れているかということを強く感じさせずにはおきません。
雰囲気も上々で、個々の楽器の音はそれぞれ伸びやかに収録されていながら、ぎゅっとアンサンブルは締まっていて、密度間も高いです。
本当にヴィオラ・ダ・ガンバの音が美しく収録されています。
非常に微妙なところではあるのですが、録音に関してもう少し低音の音をルーズにしたらもう少し気楽に聴けるかなとも思いました。
今年このシリーズもⅣ(未聴)まで来ましたが、Ⅲまでの中ではこのⅡが最も多彩なプログラムに思われ好きです。
平尾さんは質の高いディスクを満を持して発表される方。。。
今後もぜひご活躍いただきたいアーティストですね。
★マラン・マレ;音階その他の器楽曲集(1723年出版)
(演奏:寺神戸 亮(バロック・ヴァイオリン))
1.パリのサント・ジュヌヴィエーヴ・デュ・モン教会の鐘
2.音階 (小オペラ形式による)
3.ソナタ《ラ・マレジェンヌ》 (マレ風のソナタ)
(1998年録音)
ここで寺神戸さんが弾いているヴァイオリンの音がいいですね。
えてして古楽器のヴァイオリンというと、刺激的な金属音という感じの音色のものが少なくありませんが、そういう音を選択しておられるときもあるのでそういう音が出ない楽器ではないにもかかわらず潤いのある音色を多用し、曲が中低音域で奏でられることが多いこともあって、私にとってとても落ち着いて聴きやすいディスクです。
曲調も概ねリズムもよく立っている明るい感じのものであるため、充実した演奏ながら深刻ワールドに引きずり込まれるようなことも余りありません。
美しい音色・アンサンブルに耳をそばだてながら、おぉもうすぐ年越しじゃぁぁぁ!
大晦日も押しせまって、このような名演に心躍らされるとは幸せなこってす。
おかげさまでなんとか2時間あまりを残して仕上がりましたねぇ・・・。
これなら平均アクセス数からすると15人ぐらいの方は、マレ生誕350周年を私とオンタイムで共有できることになりますな。
などと言っている間にも、どんどん共有できる時間がなくなってしまいますね。
さっさと投稿しなくては!!
それではみなさま、良いお年を!!
今年お付き合いいただいたこと、心から感謝いたします!!! (^^)/
(演奏:ミーネケ・ヴァン・デル・ヴェルデン(ヴィオラ・ダ・ガンバ))
曲目詳細の紹介は割愛します。
ヴィォールのための組曲、小品の間に、L.クープラン作曲によるハープシコードのソロが曲間のつなぎのように4曲ほど挿まれています。
(2000年録音)
みなさん今年2006年(!)は、マラン・マレ生誕350周年に当たる記念年です。
巷ではモーツァルト生誕250周年とかまびすしいですが、我がSJester制作本部では世情に流されることなく、マラン・マレの生誕350年記念特集を総力を挙げて敢行するものであります。
かかる重要な作曲家のメモリアル・イヤーがかくも忘れられた扱いを受けることは極めて不当であります。
「メディアにおかれても、リストの没後120年よりキリがいいじゃないですか?しっかり情報提供してくださいよ!」などと言いたいところですが、リストの記事を見たのはは“ショパン誌”だから「マラン・マレの特集なんて組めねぇよなぁ~」という事情は理解しております。
責任があるとしたら、私が目にした音楽関係の他誌だね。
書いてあったのに、私が気が付いていなかっただったならごめんなさいだけど。
ちなみに、今回気づいたのはレコ芸の2007年1月号の某所に書いてあるのを先ほど見たためです。
まぁ年初、年の瀬にこんなブログを自分が書いてるなんて考えてもいなかったからなぁ。
私のアンテナがきっと低かったんだな・・・。うん、うん。
なんてことを言っているヒマはない!!
とにかくすぐやらないと、もう50年ぐらい出来ないから・・・。ヘタすりゃこっちの命も危ない。
ここまで「あと猶予はどれほどあるんだ!?」的状況では、誰も350周年中にこの記事を見られないでしょうね。
ここまでくるとモーツァルトでさえ最早お呼びでなくて、音楽は今年あと紅白の残りと蛍の光を聴くだけだと思ってらっしゃる方ばかりかもしれません。
そういえば紅白ってもう何年見てないんだろう?
大晦日の晩にテレビ見ること自体ほとんどないし・・・なんて言っていると、投稿自体今年に間に合わなくなっちまうぅぅぅ!!!
そんときゃバックデートしますケド。
さてミーネケ・ヴァン・デル・ヴェルデンのヴィオラ・ダ・ガンバ、グレン・ウィルソンのハープシコードによるマラン・マレのヴィオール作品集です。
一言で言って本当に素晴らしい!!!(大絶賛)
ジャストの潤いの音色、伸びやかな表現は古楽器のそれの最良の特徴だし、古楽器に往々にしてある音色の不安定さがありません。したがって音色は軽いのに、極めてリラックスしてくつろげる。
演奏解釈も奇を衒わないオーソドックスなもの、でも退屈とは無縁。いつまでも聴いていたくなるような演奏です。
プログラムはマレのヴィオールの組曲や小品を随意に並べた中に、ハープシコードのソロ(クープラン作曲)が効果的に差し込まれているといった体裁。
伸びやかで張りのある旋律を多様に引き分けている他、例えば“セント・コロンブ氏のトンボー(墓)”の中間部など短く区切った音もひとつひとつ特徴を描き分け、印象的に弾かれていることも、わくわくしながら聴かせてもらえる要因のひとつでしょう。
もちろん、ハープシコードのグレン・ウィルソンの好演の貢献も見逃せません。
ただ、奏者以外にこのムード作りに最も貢献しているのはほかならぬ録音でありましょう。
中音域の潤いにはさきほど触れましたが、ときおりヴィオールがバスを奏でたときの音色などとても芳しく、その一音で雰囲気が出来上がってしまいます。
というのは、この点で次に紹介する平尾さんの盤とは録音のコンセプトが違うのではというぐらい耳に届く音の印象が違うのです。
こちらは“音色はある程度克明に録ることを心がけながらも、聞いた際の雰囲気重視”、平尾さんの録音は“努めて明瞭に音を拾いあげた、音の密度(情報量)の高いはっきりクリアな収録”を目指しているのではないかと思います。
もちろんどちらが正しいとかいう問題ではありません。
かねてこのブログで話題にしていることが、ここでも感じられたということです。
★マラン・マレの横顔Ⅱ
(演奏:平尾 雅子(ヴィオラ・ダ・ガンバ))
1.組曲ト短調 (第3巻.1711)
2.組曲ニ長調 (第4巻.1717)
3.ジャリヴァリ(第3巻.1711)
4.組曲ホ短調 (第2巻.1701)
(1997年録音)
近年我が国の古楽器の演奏の水準は目を見張るものがありますねぇ。
私は古楽オーケストラの演奏は、特に弦楽合奏は、えてして音色が毛羽立ったようになるところにちょっとひっかかるときがありますが、音色が不安定でわずかな弾き方の差でニュアンスが変わることを承知したうえで、それをきちんとコントロールできる演奏家によるものであるなら、ソロ、アンサンブルともに逆に魅力を感じます。
繊細な音色の変化によって立ち上る雰囲気が一変してしまう、そんな妙味を楽しみに聴くことができるのです。
ここで聴く平尾雅子さんの演奏は居住まいを正してはいるものの、気負ってはいない演奏。
曲自体の要因もあるのでしょうが、ヴェルデンの演奏と比べると低音がふんだんに盛り込まれて下半身が安定した曲が目立つように思います。
そして先ほど述べた音色なのですが、本当に古楽器かと思わされるほどに、これが極めて安定しています。
シャリヴァリにおける闊達な音色に含まれる古楽器特有の金属的な音が、こんなにも同質の音色を揃えられるというのも、非常な訓練の賜物だと思います。
伸びやかに弾いたときの音色は、金属的な音も含めて極めて精妙にコントロールされています。艶消しの音色になったり、ふっとボウイングの力を弱めて計算の上で金属的な音色を溶け込ませたり、それが曲にふさわしくとても自然にできているあたり、センスがいいとしか言いようはないですね。
演奏家がいかにこの楽器と一体になっているか、楽器固有の特性もありましょうから、それをどれほど手の内に入れているかということを強く感じさせずにはおきません。
雰囲気も上々で、個々の楽器の音はそれぞれ伸びやかに収録されていながら、ぎゅっとアンサンブルは締まっていて、密度間も高いです。
本当にヴィオラ・ダ・ガンバの音が美しく収録されています。
非常に微妙なところではあるのですが、録音に関してもう少し低音の音をルーズにしたらもう少し気楽に聴けるかなとも思いました。
今年このシリーズもⅣ(未聴)まで来ましたが、Ⅲまでの中ではこのⅡが最も多彩なプログラムに思われ好きです。
平尾さんは質の高いディスクを満を持して発表される方。。。
今後もぜひご活躍いただきたいアーティストですね。
★マラン・マレ;音階その他の器楽曲集(1723年出版)
(演奏:寺神戸 亮(バロック・ヴァイオリン))
1.パリのサント・ジュヌヴィエーヴ・デュ・モン教会の鐘
2.音階 (小オペラ形式による)
3.ソナタ《ラ・マレジェンヌ》 (マレ風のソナタ)
(1998年録音)
ここで寺神戸さんが弾いているヴァイオリンの音がいいですね。
えてして古楽器のヴァイオリンというと、刺激的な金属音という感じの音色のものが少なくありませんが、そういう音を選択しておられるときもあるのでそういう音が出ない楽器ではないにもかかわらず潤いのある音色を多用し、曲が中低音域で奏でられることが多いこともあって、私にとってとても落ち着いて聴きやすいディスクです。
曲調も概ねリズムもよく立っている明るい感じのものであるため、充実した演奏ながら深刻ワールドに引きずり込まれるようなことも余りありません。
美しい音色・アンサンブルに耳をそばだてながら、おぉもうすぐ年越しじゃぁぁぁ!
大晦日も押しせまって、このような名演に心躍らされるとは幸せなこってす。
おかげさまでなんとか2時間あまりを残して仕上がりましたねぇ・・・。
これなら平均アクセス数からすると15人ぐらいの方は、マレ生誕350周年を私とオンタイムで共有できることになりますな。
などと言っている間にも、どんどん共有できる時間がなくなってしまいますね。
さっさと投稿しなくては!!
それではみなさま、良いお年を!!
今年お付き合いいただいたこと、心から感謝いたします!!! (^^)/
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