テレビ番組に「HR」というのがありました。かなり以前の話で、昔の番組と言っていいかも知れませんが・・・。
娘が出産前に退屈しのぎに借りてきたレンタルビデオのなかに、その懐かしいビデオが混じっておりました。
日本初のシチュエーションコメディーと銘打った、スタジオに観客を入れての生放送ドラマ(コメディー)は、興味があって毎週欠かさず観たものでした。
当時は、視聴率もかなり良かったと思いますよ・・・多分。
作り手や出演者の熱気が直接画面から飛び出すような印象があります。
圧巻は1本のドラマが途切れることが無く、スタートしたら終わりまで突っ走る、場面転換も出演者が走りそしてカメラも追っかけるという、映像演出が凄かったし新鮮だったのですね。
照明・音声・カメラそれにセットをつくる美術担当などかなりの苦労があっただろうし、一作一作を手作りで作り上げていくという、喜びもあったのではないでしょうか。
私のような者にもそれが伝わってきましたし、未だにこのHRを越える番組を日本のテレビで観たことはありません。
むか~し、ルーシーショーや奥様は魔女なども観客の笑い声などが入って臨場感を味わえましたが、あれも途中の場面転換は編集されたものでした。
脚本・演出の三谷幸喜氏もその後作っていないのは、相当の体力・気力・集中力が必要で、継続して作るということの困難さを知ったからでしょうね。
それでもあの時の出演者や映像作りに奔走した人達、それに裏方として支えた人達のチームとしての働きは見事なもので、きっとその後の財産になったのではないでしょうか。
最近のVTR画像の隅に、スタジオの出演者の顔だけをちょっこと出して生を装う安手の演出はもうほとほと飽きてしまいました。
芸人の協同組合のような雛壇芸も飽きました。
HRの手法は真似出来ないでしょうが、せめて新しい映像作りにチャレンジしてみる気骨のあるテレビ人はいないのでしょうか。
久し振りにHRを観せられて、ついついあらぬことをのたまってしまいました。