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カンチャン狂騒曲

日々の事をあれこれと、大山鳴動してネズミ1匹がコンセプト。趣味さまざまなどを際限なく・・。

歴史と創作

2012-06-21 11:58:14 | 本と雑誌

六月から、謡曲「道成寺」の稽古が始まった。

何やら相当に難しそうな雰囲気に皆さんと顔を見合わせる。

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作者も世阿弥だの観阿弥だのと作者がはっきりしない。

話の元になっている出所もはっきりしない、登場人物の名も有ったり無かったりはたまた違ったりしている。

おそらく、この辺りの元本からこの時代くらいに作られたものでしょうと、謡本の解説には書いてあって、なかなか正直でいいと思う。

NHKの大河ドラマ「平清盛」に賛否両論がある。

映像が汚い等という意見から始まって、脚本やキャストまで・・・様々な意見があるようだ。

史実や時代考証を重視してリアルに表現しようとした制作側の意図と、予定調和でもいい規定の物語を安心して役者の演技でも楽しみながら見ましょうとか、どうでも良いから視聴率を稼いで地域興しに貢献させてくれという見る側(+利用する側)の意見が一致しないことのようだ。

以前も大河ドラマで人気俳優の織田信長を、早々と本能寺で死なせないでくれとのご婦人方の陳情に、苦慮したNHKはまあ信長の死を引き延ばすわ、回想シーンを多用して何度も登場させるわ等の裏技を駆使して視聴率を稼いだ事があった。

先例に倣って、今度もやってくれるだろうと目論んだ要望陣(視聴者&地域興し組)も、説を曲げない制作陣にいささか呆れ気味。

お陰で低視聴率に陥ってしまったらしいが、それはまあどうでもいい話だ。

要は、面白くない史実に枝葉をつけたり魅力的な登場人物を付け加えたり色恋や人情話に脚色したりしているうちに、芝居や物語本が一般的に広がって史実は置き忘れられてしまうのである。

「忠臣蔵」や「義経」や「聖徳太子」などなど、庶民の楽しみから時の権力者の政に至るまで都合の良いように創作され・改作され広められていったのだ。

歴史書の姿をとった読み物も、編纂された時代と時の権力構図を把握すれば、その意図するところが推測できる。

まあまあ抑えておさえて、こんな事ばっかり考えながら時代劇を見ていても面白くない。

結局、歴史を曲げるのも、芝居や物語本を変えるのも、それで恩恵を受ける側・読んだり見たり楽しんだりする側のなせる業ということですな。

でも、時々でいいから人類学とか民族学(考古学・言語学)とか地質学やら多種多様な専門家の先生方に「え~っと、その時代の地層から発掘されております」とか「その時代には生まれておりません」とか「放射線測定による鑑定の結果時代は更に遡る」などという史実をひっくり返すような話も有った方が更に面白くなるし、期待したいと思う。

コメント
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