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教科書でお馴染みの童謡詩人金子みすゞは夫に浮気され自殺して 文壇から忘れられていた

2017-12-21 04:36:17 | Weblog

◆初めて投稿した童謡が 行き成り雑誌四誌に掲載
ACジャパンのCMで「『遊ぼう』っていうと『遊ぼう』っていう」と云うフレーズの『こだまでしょうか』と云う詩が流され、多くの人の心に温かで優しい印象を残した詩人の金子みすゞ(1903~1930)。『私と小鳥と鈴と』の「みんなちがってみんないい」と云うフレーズも多くの人に愛されている。
みすゞは大正末期から昭和初期にかけて作品を発表した詩人で、彗星の様に突然現れ、彗星の様に去って行った。
金子みすゞはペンネームで本名は金子テル。山口県に生まれる。
父親の金子庄之助は下関の書店、上山文英堂の清国営口支店長だったが、みすゞが三歳の時に死去している。
物を書くことが好きだった様で、大津高等女学校に入学すると、校友誌『ミサヲ』に毎号執筆した。
学校を卒業した後は、母ミチの再婚相手である義父の上山松蔵が経営する上山文英堂で働く様になる。
書店で働きながら、二十歳頃から童謡を雑誌に「金子みすゞ」のペンネームで投稿する。
初めて投稿した詩が『童謡』『婦人倶楽部』『婦人画報』『金の星』の四誌に掲載されるなど、その才能は最初から光り輝いていた。選者の詩人・西条八十(『青い山脈』の作詞などで知られる)に「若き童謡詩人の中の巨星」「氏には童謡作家の素質として最も貴いイマジネーションの跳躍がある」と大絶賛され、大きく注目された。
1926年、みすゞは義父の上山松蔵の勧めで、上山文英堂の番頭格だった男性と結婚し、娘も一人授かる。だが、結婚生活は不幸せなものだった。

◆女遊びを止めない夫によって 性病をうつされてしまう
夫・宮本啓喜は、結婚を反対していたみすゞの弟の正祐(後に劇団若草を立ち上げる上山雅輔。『正祐』は本名)と不仲だったこともあり、上山松蔵から徐々に冷遇される様になる。元々放蕩村無頼だった啓喜は女性問題も起こし、上山文英堂を解雇される。これだけでも問題を抱えた夫と言えるが、啓喜はみすゞにとって生甲斐である詩の投稿や、投稿仲間と連絡を取ることまでも禁じてしまう。詩人として輝かしい未来が約束されていた道を、啓喜は閉ざしてしまったのだ。しかも、女遊びを決して止めなかった啓喜は、女遊びで感染した淋病をみすゞにあろうことか、うつしてしまう。当時、淋病は不治の病であり、彼女は大きな絶望を感じたに違いない。
1930年2月、離婚が決まったが、一人娘の「ふさえ」を夫に渡さなければならなくなった。最早、この世にみすゞを引き留めるものはない。これでみすゞの決意は固まったのだろう。

◆自殺し忘れ去られるが 再発見と再評価される
1930年3月9日、写真館に行って写真を撮り、その夜、母ミチと娘ふさえと桜餅を食べる。
二人が寝入った後、みすゞは遺書を書く。遺書には娘を夫の啓喜ではなく、母ミチに託してほしいことが書かれてあった。
翌日、上山文英堂の二階でみすゞは自殺。カルチモンと云う睡眠薬を服用したものとされている。
詩人としてスタートを切った書店で、自ら短い人生を終わらせたのである。

金子みすゞの詩は現在、国語の教科書やメディアなどでしばしば取り上げられ詩集も数多く刊行されているので、知らないひとがいない程だが、実はその存在は長いこと忘れ去られていた。
再び知られる様になったのは、岩波文庫の『日本童謡集』に収録されたみすゞの「大漁」を読んだ詩人・矢崎節夫(現在、金子みすゞ記念館館長)らによる再評価によってであった。
みすゞの詩は曲がつくことを想定したものではなかったが、再評価に伴って、多くの詩に曲がつけられて歌われる様になった。
近年は冒頭でも書いた様に、テレビCMで幅広い層にみすゞの詩が知られる様になった。2011年の東日本大震災後、テレビCMの差し替えが行われ、みすゞの詩を使ったACのCMが頻繁に流れたこともあり、これまでみすゞの存在を知らなかった人たちの関心を呼び、詩集は瞬く間にベストセラーになった。
更に、悲劇的でドラマチックなみすゞの人生は映画、ドラマ、舞台の絶好の素材として取り上げられ、金子みすゞブームを起こした。こうしたみすゞの人生を知れば知るほど、今まで以上に彼女の詩が胸に沁みるものになることだろう。(画像・自殺の前日に撮ったみすゞ最後の写真、みすゞの詩「こだまでしょうか」)

*まとめ
 夫に詩作を禁じられ、性病をうつされ、子を奪われて自殺する

       

       


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