Mayumiの日々綴る暮らしと歴史の話

日日是好日 一日一日を大切に頑張って行きましょう ξ^_^ξ

◆海の底への誘い 船幽霊

2024-07-04 13:57:04 | Weblog

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『絵本百物語 船幽霊』

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『今昔画図続百鬼 舟幽霊』

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『土佐化物絵本 船幽霊』

船幽霊は海上で溺れ死んだ人の魂魄が、夜の紛れに、航海する船を沈める為に現れるという。
中国では、船頭が食物を与えると、この怪異は消え失せると伝えられているが、
我が国にもしばしば出現することがある。
その妖異の始まりは、波の上に一握りの綿が風で飛んで来たように見え、
浮び漂ううちにそれが大きくなり、顔かたちができて眼鼻が具わって来る。
かすかに声がして、友だちを呼ぶように聞こえる。
そのうち行き成り数十の鬼が、遠く、あるいは近くに出没する。
船に乗り込むばかりに船ばたへ手をかけ、船の航行を止めようとして、船頭は逃げることができない。

幽霊は声をあげて「イナタ貸せ......」という。
このイナタというのは船頭たちの俗語で大柄杓のこと。
馴れた船頭は、柄杓の底を抜いて海上に投げ入れる。
この杓で船幽霊は海水を汲んで船に入れ、船を沈めようと図るが、沈められないで済む。
万一、底のある柄杓を与えれば船は沈没する、と伝えられている。
                  『世事百談』 巻三
  *⑅୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧⑅*

私が出合った怪異である。ーーー十七、八年以前(1781~1784)、
讃岐(香川県)の金毘羅様にお詣りして厳島(広島県廿日市市)へ回ろうとする海路、
音頭の瀬戸(広島県呉市の海峡)を過ぎて、船は留まり、夜明けを待って船を出し、
二、三里(1キロメートル弱)ばかりも過ぎた頃であった。船頭が急に「静かに!」という。
何事かと怪しむうち、水面に烏帽子のような物が浮かんでいるのが見えて船と行違った。
「今のは何だ」と訊くと「アレです」としか言わない。
よくよく尋ねるとそれは海蛇で、烏帽子状のものは海蛇の尾の先であった。

これを見て後、また暫くすると、東北の方角から、子どもの声で「ホイ、ホイ」と三度ばかり呼ぶ声がした。
すると船頭は、また手真似で人を制して、その方向へ向かって「よいわ、そこに居れ、そこに居れ」と呼びかけた。
その日は霧が立ち込めて四方が見えない。
初めは同じく航行する船からの声かと思ったり、霧の向こうにある島から、
鳥の声が人の言葉に聞こえたかと思ったりしたが、この船頭の応答によって、それは怪異であると知った。

その後、それが何であったのか、船頭に問いただしたかったが、
船中では縁起を担ぐ風習が強い為、訊くのは諦めた。
考えてみたが、これこそが船幽霊だったのであろう。
                  『閑田耕筆』 巻一
  *⑅୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧⑅*


                                江戸時代 怪奇事件ファイル

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菜根譚 前集184項

2024-07-04 13:50:01 | Weblog


コモンマロウ(Mallow) Malva 穏やか 柔和な心

居官有二語。曰、惟公則生明、惟廉則生威。居家有二語。曰、惟恕則情平、惟倹則用足。

官に居るに二語あり。曰く、「惟公ならば、則ち明を生じ、惟廉ならば、則ち威を生ず」と。
家に居るに二語あり。曰く、「惟恕ならば、則ち情平らかに、惟倹ならば、則ち用足る」と。
 

「公務と家庭の二つの戒め」
官職にある時の戒めとしてニ語ある。
それは「ただ公平無私でさえあれば、明朗な政治が行なわれ、
ただ清廉潔白でさえあれば、威厳のある態度が出て来る」と云うニ語である。
また、家庭にある時の戒めとしてニ語ある。
それは「ただ思いやりが深くさえあれば、
家族の心は穏やかであり、ただ倹約さえすれば費用は十分に足りる」と云うニ語である。

 


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