今月の「婦人画報」(8月号・ハースト婦人画報社)は、「日本の手仕事、世界へ」という手仕事特集。
この号のきもの紹介は「能登上布」
市川実日子さんが着る上布。
地味ながら素敵。
この上布の模様、雪輪なのですが、この雪輪が蚊絣の集まりでできているそうです。
すごいね。
蚊絣とは、皆さんご存じのように、「蚊」が飛んでいるような模様で作った絣模様。
この「蚊絣」の「蚊」って、小さなものという意味があるそうです。
有吉玉青さんが書いていました。
「~~かそけしのか、とも聞こえる」と。
「かそけし」とは「幽し」と書き、「いまにも消えそうな様子」のことです。
今はもうあまり耳にすることのない美しい言葉です。
いまにも消えそうな十文字の模様、それが「蚊絣」~~、いいですね。
こんな風に思いながら身に付けると、自分もまた一緒になって消えそうなはかない、いとしい存在に思えてきます。
だから大切に、飛んでいかないようにそっと身に着ける~~。
実際の蚊はね、あれを使って~~。
ラフなヘアに栗山さんの藍型帯が素晴らしい。
こんなシックな紅型欲しいな~~。
で、もう一つの特集は、「婦人画報」の創刊特集。
「婦人画報」を創刊したのって、国木田独歩なんですね、初めて知った。
「花子とアン」での白蓮の相手役の中島某って俳優は独歩の「玄孫」(孫の孫)なんだってね。
ワタシが独歩を知ったのは、有島武郎の小説「或る女」のモデルから。
実在の人物を材に取った小説です。
この本、日本版「風とともに去りぬ」並みの面白さで、若いときにもう夢中になって読んだものだわ。
主人公の「奔放な女」葉子が最初に結婚するのが独歩なのです。
葉子がどんな女かというと、最初の登場するシーンでは、列車の出発時間に遅れても、悠々とホームを歩いて、汽車や乗客を待たせる~~。
乗客も乗務員も、彼女のあまりの美しさに、抗議の声さえ発することもできずホームをゆっくりと歩く彼女に見惚れている、というもの。
「早すぎた女」は、結局悲惨な最期を迎えるんだけどね。
そんな小説を思い出させてくれた今月号でした。
アールヌーボーの創刊号の表紙が美しい。
そうか、独歩が創刊したのか、婦人画報~~。
きものの知識とともに、死語ともいえる美しい日本語を教えていただきました。
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