きもの好きにはすっかりおなじみの映画「細雪」
男のきものの見本市といわれる映画「ぼんち」
どちらも監督は市川昆さんです。
市川昆さんは映画界でも屈指のきもの通というか、きもの好きだった監督さんです。
その彼が大原麗子さんと組んで作ったあまりにも有名なCMが「少し愛してなが~く愛して」
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YouTube: 大原麗子 サントリー レッド・オールドCM集 (追加・再編集)
今でいうスイーツ妻?
旦那はいつも不在、で、拗ねている
これが代表作かと思えるほど、このCMのなかの彼女は魅力的です
男性なら誰だって、こんな女性がウイスキーとともに家で待っているなら、まっすぐに帰りたくなるもの。
ところが実生活の彼女は、「家に男は二人いらない」などといって離婚してしまったほど、仕事に生きた女性です。
ギラン・バレー症候群とい筋肉が動かせなくなる病にかかったのは28歳のとき。
以来病気と闘いながらの芸能生活。
その彼女が62歳で自宅で倒れていたニュースは多くの人に衝撃を与えました。
晩年には奇行も多く、最初の夫だった渡瀬恒彦に会いたい、会いたいと、弟にダダをこねていたという話もあり、実際の彼女は、CMのように可愛い女だった、と思いたいのはファンの心理でしょうか。
同じ市川監督と組んだ映画「おはん」(宇野千代原作)は、二人の女(吉永小百合と大原麗子)のあいだを行ったりきたりする、これもダメ男を描いたものですが、おはんの夫を横取りした女おかよに大原。
「しっかり稼がな」と、彼女も「夫婦善哉」の蝶子さんタイプの女です。
舞台は徳島。ここは阿波浄瑠璃が農村舞台で行われていて、映画でもそのシーンがあります。
絞りにオレンジの半襟がステキ。
おかよが、雨のなか、男を迎えに行って抱きつくシーンがあります。
「大事なきものが濡れるわい」と注意する男に、
「きものの一枚や二枚惜しいて男はんが抱けますかいな」と啖呵を切るおかよ。
好きなシーンですが、もう言えない。いえ、きものはプチプラですか惜しくはないのですが、言う相手がいない
大原はこの映画の女の気持ちがどうしても理解できなくて、市川監督は何度も何度も撮り直しをしたといいます。
まあ、別れた女房と愛人のあいだをうろうろする男、たいていの女は理解できないと思いますが、そこは役者さん、そういう男から離れられない女を演じなければならない。
なかなか演じられない彼女は、本当は「普通のシアワセを求める女性」だったのかもしれません。
「みんなの死に方」(河出書房新社・青木由美子著)
芸能人から作家、タレントまでいろんな人の死に方を描いて興味深い一冊です。
大原麗子さんのことも。
メメント・モリ(死を忘れるることなく生きよう)
一人で倒れていたという彼女の最期を知ると、三輪明宏さんのことばを思い出します。
「私は、どんなどん底にいたときでも、ほかの人を羨ましいと思ったことがない。どんなに幸せそうに見える人でも、人には見えない悩みや苦しみを抱えているものよ」
極上の笑顔
紬もちょっと珍しい?
お亡くなりになった今も愛され続けている彼女、これからもこの笑顔は「なが~く愛される」に違いありません。
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長くとは言わないから少し~?