二日ほど、秋のような気持ちのよい日がつづいた。そして、Kさんから梨が届いた。
ぱんぱんに張ったみずみずしい果実。あふれる香りの豊かさ。部屋中が秋になった。
そして、毎年届く梨の味に、Kさんとの想い出と感謝の気持ちがあふれる。
梨といえば二十世紀梨、という時代があった。
そう、今はもう二十一世紀なので、変わるのも当然か。
これは、幸水らしい。ていねいに梨の種類と出荷時期が写真付きで入っていた。
梨ばかりでなく、最近はどの果物もすばらしいできばえ。
栽培技術の進歩なのか。消費者の欲求以上の進歩。
甘くて柔らかいりんごを食べながら、固くてすっぱいのもよかった、なんて言う。
ぜったい、今のりんごのほうがおいしいのに。まるであまのじゃく。
大きくてあまーいいちごにもひと言のたまう。酸味がないね、なんて。
ただ、みかんだけは言わせてほしい。
みかんの酸味はどうしてもほしい。夏みかんを口をとんがらせて食べた記憶が懐かしい。
単なる郷愁なんだろうか。ほんとのところはよくわからない。